自傷する
自傷する
窓の外には、滝のような雨が降っている。
風雅な雨音なんてない。ただ叩きつけるような恐ろしく大きな音が延々と続く。一つ一つの雨粒の殴打を、絶え間ない濁音の連続を、焦点を絞ったり緩めたりしながら私の鼓膜に塗り重ねる。
私は部屋の窓を大きく開け放して、その前に小さく体育座りをしていた。なんだか怒られているような気分だ。時折流れ込む雨粒が私の頬を張り付ける。目の前の床では大きな雨粒たちが絶え間なく融合を繰り返し、水たまりの体を成し始めている。
ただ雨を見つめている事だけが、意味のある事に思えた。息を殺して、衣擦れの音も起こさぬようじっと耐えて。そうして私はいつからか雨に溶けて消えて行った。。
***
傍らに置いてあったiPhoneの液晶に、友人からのメッセージが表示された。私と雨との美しい融和はそれで簡単に途切れてしまう。
「加藤先輩に文句言われっぱなしでいいの?」
ほんの一瞬、ほんの一瞬だけ数日前に言われた嫌味が頭をかすめる。
『本当、身勝手だよね。』
頭の中の嫌な汚れを拭うように、画面の水滴を払ってから、私は極自然に、いっそ機械的に加藤先輩のトークを開いた。そのまま、指に任せて「申し訳ございませんでした。以降気をつけます」と打ち込む。
別に良いじゃないか。言われっぱなしでも。私が謝れば終わるんだから。
そんな文言を、文字を打ち込むように心の中に浮かべていく。私の好きな私であるための儀式はあまりに人間的で或いは醜悪にも見えた。
小さい頃から、よく言われていたように思う。「怒らないの?」とか「文句言えば?」とか。
別に、怒る人を、もしくは文句を言う人を卑下する訳ではないが、私にとってそれは避けたい行為だった。それをする私はあまりに醜く下品だ。私は綺麗に生きていたい。落ちずに、汚れずに。綺麗なものは綺麗だから綺麗なのだ。綺麗なのはいい事だ。ただ憧れて、理想に近づく行為を、人々は「自分を大事にしてない」って言うけど。あなたちよりは、私自身の方が私を大事にしているはずなのだ。
そんな思考たちが波のように頭を埋めていった。
深呼吸を繰り返しながら、私は少しずつ平静を取り戻そうとした。
雨の音はいつの間にか輪郭を失っている。先程までの柔らかな強迫観念は上書きの結果深層に沈んでしまった。
窓を閉めようかと立ち上がろうとした瞬間に、自分の腕を無性に噛みたくなった。一人の空間にかまけて、思いっきり歯を突き立てて、少しずつ少しずつ固く鈍い歯が柔らかな肌に食い込んでいく感覚を楽しむ。不安になるほど、食い込む感触が気持ちいい。歯が当たったその部分だけ、感覚が停止しているような錯覚に陥る。埋まっていく歯の方にばかり意識が向いていくに連れて、自分が自分を傷つけている感覚は快感に融和して見えなくなる。
しばらく楽しんだ後、力んで固くなった顎をゆっくりと開くと、腕にはくっきりと歯形がついていた。前歯の先の形が真っ赤に変色したM字の連続を描いている。でも別に血が出ている訳でもない。毎回肉が断たれるほど噛んだ気でいるのに、口を開けてみればなんてことはない。この赤い跡だって数日すれば消えてしまう。
今度こそ立ち上がって窓を閉めると、聞こえていない気でいた雨音も消えてしまって、マイナスを示すような寂しい気持ちがした。
残っていたのは、扇風機のファンを回すモーターの音だった。
***
幼い頃の夏の思い出。
私が育ったのは北関東の地味な方、周りと同じような小さな一軒家。
西側にあった畳張りの和室が好きだった。
いつも私は、西日の差し込むオレンジ色の和室で、夕方のニュースをブラウン管の、箱のようなテレビで見ながら、夕飯を待っていたのだ。
しかし、当時の私にはニュースなんて退屈でしかない。
その時は気まぐれに、扇風機のボタンを弱・中・強と順番に押して、風の違いを感じていた。
風を感じている内、いつからか私の視線は、操作ボタンから回る羽根へと移っていった。ボタンをいじることもやめ、弱にしたままで羽の内の一枚に集中し、ギリギリ目で追えそうな速度のそれと一緒に目を回す。何度も速度に追いつけずに羽を見失う。それが面白くていつまでもいつまでも眺めていた。
その内不思議になってきた。いつまでも、いつまでも私は扇風機に惹かれていたが、これの何が面白いのだろうか。正直もう飽きてきている私もいる。なのに、やめることが出来ない。羽が追えたら、羽のスピードに追いつけたら、そうしたら終えられる、しかし追えども追えども追いつかない。その内、集中力も切れてきて、一つの羽に狙いを定めることすら出来なくなってきた。扇風機の風を正面から浴びて、乾いた目に瞬きが止まらない。そしてその度見えていたはずの羽は一瞬のうちに消えてしまう。段々と怖くなってくる。自分で扇風機を眺めているだけの、それだけの事なのに止められない。いやむしろ、自分の決めたルールだからこそ、クリアするまでそこから逃げられない。ふと浮かんでしまった空想が私を絡め取って逃がさない。
その内に、私の恐怖心は新たな解決法を導き出した。扇風機が壊れてしまえば良い。扇風機を破壊することは、正式な敗北の表明だ。スイッチを切る、コードを抜く、そんなのは自分の決めたルールを侮辱する止め方でしかない。しかし、扇風機を破壊すれば自身が被る被害という罰とルールの破棄という罪との間で均衡が生じる。馬鹿みたいだと言う自分もいる。しかし、私は従うしかない。扇風機を破壊しなければならない。しかも、破壊するのであれば羽を壊さなければ、羽を止めなければならない。それがルールに対する誠意だ。目の前にある旧式の扇風機は羽を覆うガードの目がまだ粗い。試しに放射状に伸びるガードの外側に指を合わせてみる。…入る!幼い私の指は十分に回転する羽に触れる事が出来る。
高速で回る羽根に指を差し入れたら、指は切り落ちるだろうか。それとも、扇風機の羽が吹き飛ぶだろうか。いや、ともすれば爆発するかもしれない。破滅的な想像は私を惹き付けて放さない。指の先に、高速で回転する刃が音もなく滑り込む、一瞬だけ体に異物が侵入する感覚の後、切り落とされた人差し指が滑り落ちる。落ちた指先を見て、私は何を思うだろうか。痛みか、それとももっと美しい何かだろうか。残った指からあふれ出る血液を考えて、胃の中から何かがせり上げてくるような気すらした。
扇風機に指を差し入れる想像に魅了された私は、しばらく甘美なあめ玉を口の中で転がすように楽しんだ。
想像すれば想像するほどに、実際に差し入れた時の感動が大きくなるような気がして、随分と長いことそのまま止まっていた。
いつからか、目の前の扇風機はゆっくりと、ゆっくりとその羽を回していた。
自分の中に沸き上がる衝動が、ついに頂点に達したのだろう。頭がくらくらしてきた。自分が自分を保っている内に、この扇風機を破壊しなければならない。その脅迫的な意識が、私の世界を塗り替えて行った。怖い、でもやりたい、でも怖い、でもやりたい、でもやっぱり怖い、でも…やらなきゃいけない…
意を決した時、声がした。
「ごはんできたわよ-。」
私の世界はかきけされた。
***
今になって思い返すと、なかなか気持ちの悪い子供だったと思う。
自分で定めたルールに魅了され、自分が破滅する事に悲劇的な願望を抱え、狂気を見いだしていた私。あれを今の私は妄想癖だと一蹴して、誰にでもある一寸した恥ずかしい思い出だと言うことも出来る。ただ、あの時の私に見えていた世界は確かにそこにあったのかもしれない。どうしてと訊かれても説明は出来ない。ただ、扇風機は確かにゆっくりと回っていたのだ。何故なら私はそれを見たのだから。きっとあのままだったら指は切り落ちていただろう。
いや、やめよう。こんな事考え続けても良くない。なんだか疲れているみたい。
私は、正しく、理想のままに、恥じらいを感じる事のない生き方がしたいんだ。狂気だとか、自傷癖だとか、そういう恥ずかしいことは私の理想の中にはない。扇風機で指をはじき飛ばしてどうなる。扇風機の羽根を眺めて、どうやったらトランス状態に入れると言うの。馬鹿みたい。馬鹿は嫌い。
なんだか、急にさっき腕につけた歯形が馬鹿馬鹿しく見えてきた。ほんの少し前までは、一寸した甘美な痛みをもたらしてくれたその痕が、今はとても恥ずかしいものに思える。明日誰にも会う予定がなくて良かった。でも完全に消えるまではしばらく長袖かな。暑いけど。
甘いものが食べたくなった。沈んだ時は金額を気にせずアイスを買って食べるのが一番効く気がする。ハーゲンダッツを二つ買って交互に食べたら一週間分の元気くらいは補充できると思う。甘くて吐き気のする妄想より、甘くて冷たいアイスクリームの方がずっと素晴らしい。
コンビニにでも行こうか。
部屋着代わりのTシャツの上から、ボタンがかかったまま脱ぎ捨てられていた白のシャツを被る。下半身にはハンガーにかけてあった黒の薄手のワイドパンツ。肌寒いかもしれないが、コンビニまではすぐだ。上着が濡れる方が面倒。この格好で行こう。
お気に入りの傘はやめて、壊れかけのビニール傘を片手にドアを開ける。
外を降る雨は柔らかな霧のように変わっていた。先ほどまでの勢いは既に失われたらしい。
***
傘を開いて、薄ら明るい道路へ飛び出す。
いつも不思議だ。空は雲で覆われて、それにきっと言葉の内では「暗い」と言って差し支えない世界。視界だって確かに雨に紛れている。でも世界ははっきりと見える。それぞれの色はぼやけて、明度も彩度も水を混ぜて薄めたようではあるが、それもなんだか白ぼけて見える。
考えだしたら、明るいとか、暗いとかよく分からなくなってきた。確かに暗い。晴れている日みたいに、目を刺すような光はない。でも、雨に濡れた葉は、濃い緑に白を上塗りしたような鈍い色を鮮やかに主張している。
傘をさしたまま、雨の当たらない軒下で停止している自分に気づいて、ふと恥ずかしくなった。誰も通らなくて良かった。
恥ずかしさを洗い流すような気持ちで、目の前の水たまりに大きく一歩目を踏み出した。小さな音がして、水飛沫が撥ねる。幅の広いズボンの下のふくらはぎにひやりとした水滴が吸い付く。遅れて、使い古したスニーカーに雨水が染み込んでくる。こっちは冷たいのは一瞬だけ。すぐに生ぬるい初夏の水たまり。次の足を踏み出す頃にはもうただ気持ち悪さだけが残る。
でも、私はその行為が好きだった。潔いことは美しいことだ。別にそんなに高尚な心持ちで言うんじゃない。雨の中を歩いて、徐々に水を含んでいく靴や靴下を意識し続けなくてはいけない自分を見つめるのが嫌だというだけの話しだ。どうせ気持ち悪さをぬぐえないなら、初めから一番気持ち悪い状態まで飛び込んでしまえば良い。そうすれば、足下など気にせず歩いて行ける。
足下を見る代わりに、私は目の前を見た。でも、それでもまだ勿体ない気がして、空を見た。
斜め上を向く傘の縁が描く直線の下に、灰色をした雲が見える。意外と白い。それから少し青い。灰色と括ってしまうには勿体ない。世界は、私がこうやって独り静かに言葉にするには、勿体ない事ばかりだ。でも、私は見たものを少しずつ言葉にする。もしかしたら、私が白くて少し青い雲だと思うのは、灰色の雲だと言うのと同じ事かも知れない。それでも、私は世界を私のものに塗り直すのが好きだ。
私の見ている世界は、私のものなんだ。
なんだか急に世界が明るくなった。彩度を増した世界はまぶしく輝いて、眼鏡のレンズの汚れているのが嫌に気になった。服の裾で拭ってみたが、雨に濡れた服では汚れを塗り広げたようになってしまった。目の前が白むのが妙に気になる。
私はそれでも白暈けた世界を愛した。
***
家を出て、古くさい家と錆びたスポーツ用品店の横を抜け、大学の周りを迂回して、橋を渡れば、コンビニがある。徒歩にして約5分。しかし、橋の上に差し掛かる頃には水を含んだ服が肌に張り付いていた。もう少し隠せる服を着てきたら良かったような気もしたけれど、清々しい気にもなった。
大学の入り口から真っ直ぐに伸びる橋は、いつもは大学に通う人間で花火の日の露店前のようになっている。しかし、今目の前に伸びる橋には誰一人として人が居ない。
なんでもないコンクリートの橋、緑のペンキが剥がれかけた鉄骨の欄干、橋の此方と彼方に際限なく生えた緑、全てが見慣れたものでしかない。いつもだったら何の気にもしない。日常の風景。人の世のもの。しかし今見ている景色はいつものそれとは全く違った。まるで聖域じみた威厳がある。コンクリートや鉄骨には年を経た人工物が持つ特有の不気味で、それでいて一種神々しい趣がある。生える緑は水に打たれて鮮やかに揺れている。世界の全てが生命をもっている、そして全てに神がいるようなそんな敬虔な思いが心を掠めた。
傘を肩に任せて、小さく両手を合わせた。私が今表したい形がそこにあるという確信があった。
一歩、橋の上に右足を載せた。
ゆっくりと、コンクリートの橋を足の裏で叩くように進む。なんだか、受け入れられた気がした。無性に勿体ない気がして、私は傘を閉じてしまった。ショーシャンクのジャケットみたいに、全身で雨を受けたい気分だった。
橋の中腹まで来た時だった、突然世界が輝いた。文字通り、輝いたのだ。
降り注ぐ雨は一つ一つが宝石のようにキラキラと輝いて見える。空を仰ぐと、ほんの少しだけ雲が切れていた。青い空から差し込む明かりが世界を瑞々しく彩って、私はその全てを食べてしまいたいような、恐ろしい愛情を持って世界を受け止めようとした。
抑えきれない欲望に身を焦がされた私は、欄干にかけよって身を乗り出した。そこに待ち受ける景色は、やっぱり私の世界だった。
濁った水は恐ろしい勢いで動いている。耳を澄ますとゴウゴウと流れる音が聞こえてくる。撥ねる水飛沫は一つ一つが光にあたって輝いて、そしてまた濁った水の中に消えて行く。水の勢いに押される緑がしなやかな身体を精一杯使って地にしがみつこうとしている。世界は強く、大きく、美しい。その全てが私のものだ。その全てが、私のものなのだ。
はやる気持ちは、私の足を動かした。欄干に片足ずつゆっくりとかけて、上半身を乗り出していく。歓迎されている。歓迎されているのだ。私は今呼ばれている。美しい世界は私のものだ。全てを、味わい尽くしたい…。
私は足に力を込めた。
***
マカダミアと、ラムレーズンにした。
びしょ濡れの私は、アイスを二つだけ買ってコンビニを出た。
帰りに再び橋を通った。今度は、学生が数人通っていた。橋はただの橋だった。
何だか妙に疲れた身体を引きずるようにして私は家に帰った。
***
家に帰って、ゆっくりと熱いシャワーを浴びた。アイスを買いに行くために風邪を引いたりしたら笑い話だ。出来ればそれは避けたい。
火照った体に、きつい冷房が心地良い。さあ、ゆっくりアイスを食べよう。
さっき、もしあの瞬間に蛙が跳ばなかったら、私はどうなっていただろうか。
橋の欄干に足をかけて、力を込めようとした瞬間だった。目の端で、小さな茶色の蛙が川に飛び込むのが見えた。川岸にいる、小さな蛙がその背中の突起の一つ一つが数えられそうなほどに鮮明に見えた気がした。濁流に飲み込まれて、その細い筋肉の詰まった腕や足はあらぬ方向に曲がり、膨れた腹は水に合わせて自由に姿を変えた。それでも蛙は、ただ歓喜の声を上げていた。
その姿が私にはひどく羨ましく見えて、私が手に入れるはずだった世界は、その小さな蛙に奪われてしまった。
その瞬間に世界は一斉に彩度を失ってしまった。
アイスは、確かに私の心を楽しませた。しかし、心の求めるものはそこではない、と私は知っていた。
知らず知らずの内に、私の目は扇風機を捉えていた。いつからか、美味しいアイスは味を失っていく。橋の上にいた私は未だ満たされずにいた。
やはり私の視線は、回る羽根へと向かっていた。あの日のように羽の内の一枚に集中し、ギリギリ目で追えそうな速度のそれと一緒に目を回す。何度も速度に追いつけずに羽を見失う。いつまでもいつまでも。
いつまでも私は扇風機に惹かれていた。やはり、やめることが出来ない。羽が追えたら、羽のスピードに追いつけたら、そしたら終えられる、本当か?本当にそうなのか?その内、集中力も切れてきて羽の一つに狙いを定めることすら出来なくなってきた。扇風機の風を正面から浴びて、乾いた目に瞬きが止まらない。そしてその度見えていたはずの羽は一瞬のうちに消えてしまう。段々と怖くなってくる。自分で扇風機を眺めているだけの、思い出の繰り返し、それだけの事なのに止められない。いやむしろ、あの日以上に逃げられない。ふと浮かんでしまった願望が私を絡め取って逃がさない。
私は知っていた。私の願望を知っていた。扇風機を破壊しなければならない。しかも、破壊するのであれば羽を壊さなければならない。あの日の想像のように。目の前の扇風機の羽根に指を差し入れなくてはならない。
高速で回る羽根に指を差し入れたら、指は切り落ちるだろうか。それとも、扇風機の羽が吹き飛ぶだろうか。いや、ともすれば爆発するかもしれない。指の先に、高速で回転する刃が音もなく滑り込む、一瞬だけ体に異物が侵入する感覚の後、切り落とされた人差し指が滑り落ちる。落ちた指先を見たい。美しくあふれ出る血液を考えて、私は胃の中から何かがせり上げてくるような気すらした。
私はそれに殉じねばならない。
いつからか、私は羽を目で追うのをやめていた。
自分の中に沸き上がる衝動が、ついに頂点に達したのだろう。あの日のように頭がくらくらしてきた。自分が自分を保っている内に、やりとげなければならない。
やらなくては…、逃げられない…、やり遂げなくては…。
「…ダメ」
必死に目を逸らした。扇風機の静かに回る羽の音が私の頭の中を一杯に埋める。苦しい。私はいつの間にか息を止めていたようだ。
その内、呼吸が落ち着いてきても、風を切る音がその鋭利さを失うことはなかった。そこには何一つ嘘はなかった。
私はいつかきっと、あの橋から落ちて死ぬだろう。そんな予感が急に頭を過ぎていった。何故だか分からなかったけれど、きっとそうなるだろうと思った。