56、力のありか
小さな町で宿を見つけた。四階建ての宿だった。食事は出なかったので外に出てすぐの路地裏の食堂に入った。外はもうすっかり暗くなっていた。
店の主人に魚料理を勧められたのでそれを注文して待っている間、マニギスと話をしながら時間を潰した。近くに大きな川があるらしい。
マニギスの話では、万魔殿は蒼い庭園にいる御力を持った者、あるいは源力という力を持った犯自由技能使いたちで構成されており、彼らは内地にいる御力を受け継いだ子どもたちを外壁から守っているとのことだった。
御力の直系たる継承者が殺害される事件が起きてから、蒼い庭園の御力を受け継いだ子どもたちは内地へ隠れるようにして逃れた。御力使いの存在が筒抜けになり、事件の後も蒼い庭園は敵に狙われ続けることになってしまうからだ。そのため内地の各地には御力を受け継いだ子ども、またはその子孫たちが身を潜めるように存在しているらしい。
敵の首謀者は飾家の者であることがわかっている。外壁と外門は飾家に伝わる特殊能力だ。髄家と飾家は対になるような形で遥か昔につくられたと言われている。境界の内と外で睨み合うような形でバランスが保たれると予想された。ところがある日、予想外のことが起こる。ある髄家と飾家の血族同士が結ばれ、その間に子どもが生まれたのだった。子どもは飾家の持つ外壁、外門能力を有した上に御力をも持って生まれたのだった。御力によってどこまでも強化される飾家の能力の存在は両家の間で怖れられた。まだ幼かった子どもは六畳結界の奥へと封じ込まれる結果となってしまった。しかしその行為は裏目になり、子どもは結界内でどこまでも力を高め、梵天と呼ばれる能力を覚醒するに至った。現在の飾家の分家の長である飾蒲生である。
外壁と外門が悪意の元に使われている。飾蒲生は髄家の人間を恨んでいる。使用が禁じられている闇属性魔法九番の同位改変を真っ先に編み出した。
闇属性魔法同位改変九番教祖。殺した相手の力を奪い取るパッシブスキルだ。
自分を結界の中へ閉じ込めた髄樹一の祖父、喪郎を殺した。
湧き上がる能力に溺れるかのように力を集め出した。彼の心が今、どこにあるのか。何を思っているのかは誰にもわからない。ただ髄家への怨恨と力の欲求のみが彼を支配しているようにしか見えなかった。
どこまでも力を高めていく敵に対して、できることは死なないことだ。
慶一が焼き払った外壁は二体。もう相手にも気づかれているはずだ。同じ御力でも外壁を瞬時に根源から焼き払うことはできないはずだ。炎属性のスキルのためなのか、あるいはまた違う要素が慶一にだけはあるのか、このときはマニギスにもわからなかった。




