表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/136

55、井黒へ

 翌日、市長館の玄関で空丸を見送る。


「じゃあな。あちらへの手続きは済んでるだろうから、着いたら白井から来たことと名前を告げればいい」


 由瑞たちがギルド長へ報告して、井黒のギルドで受け入れてくれるように取り計らってくれているだろうとのことだった。


「短い間だったけど、楽しかったよ。またいつか機会があったらな」


 そういうと空丸は来た道を引き返し、口女の検問所へと戻って行った。

 深山へは挨拶はいいだろう。家もわからないし。

 ということで慶一は一人、南側ではなく、西側の検問所を目指して歩き始めた。


 街の人々は身を寄せ合い、浩二のスキルの効果もあって後遺症もなく普段の生活に戻ったようだ。市外へ避難した人たちも戻ってきている。

 福地宏明とは連絡が取れていないが、じきに帰国するだろう。ほとんど被害者を市民の中に出すことなく口女での災厄は終わりを迎えた。


 ギルドのIDカードを提示して検問所を出たあたりでまた雪が降り始めた。

 季節は冬へ入ろうとしている。月乃の村では雪は冬の間にたまに降るくらいで一面の雪景色は滅多に見ることはない。

 朱里はどうしているだろうか。

 故郷が懐かしくなり、迷ったけれど、慶一はこのまま直接井黒を目指すことにした。


 以前の名残で西方面にも舗装された道が続いている。しばらくはアスファルトの道だろう。真っすぐ西へと歩いていると。


『ご苦労様でした。また一人旅ですね』


 マニギスの声が聞こえてきた。


「あんた、見てたのか?」


『だいたいのことはわかります。万魔殿の使い方も馴染んできたようですね』


「なあ、万魔殿っていうのは何なんだ? 詳しく教えてくれ」


 慶一は疑問に思っていたことを思い切って聞いてみた。自分が突然みなぎるほどの力に包まれる現象もわからないままだ。


『スキルの連携とあなたの中に眠る力の扱いを少しずつ覚えてほしかったのです。万魔殿はあなたに馴染んでほしかったが為に作ったあなたへの協力者たちです』


「万魔殿はあんたの創作ってことか?」


『はい、気分を害してしまいましたか?』


「何でそんな回りくどいことを」


『今も言った通りあなたに力を解放してほしかったからです。御力は強力です。溜め込んではいけません』


「御力というのは何なんだ?」


『遥か古代人が持っていたと言われる力です。御力とは言いましたが、あなたの中にあるのは少し違う、もう少し私の言い方に付き合ってもらえるなら御力(タキオン)という言い方で理解してほしいのです』


「……」


『これ以上は実際に人物と会って聞いた方がいいでしょう。まずはあなたの出生の地、井黒に行ってほしいのです』


「やっぱりそうなのか。あんたが何者なのかも全然わからないが、井黒に行くしかないんだな」


『はい。あなたの求める答えもきっとそこにあるはずです』


 しばらく歩くと、雪の中を真っすぐに伸びる舗道の先にちらほら家並みが見えてきた。内地の町に出たようだ。今日はこの辺りで宿を取ろう。

 井黒まではまだ数日かかる。マニギスはちょうどいい話し相手になっていた。


 慶一を一人にすることを心配していた空丸や深山だったが、その必要はどうやらいらなかったようだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ