表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/136

18、本陣

 防衛街区から東に一里ほど離れた山の中で一人の男が地面に座り込んでいる。

 傍らに鳥の死骸がある。


 カラスのようだ。目を開けたまま死んでいる。


「おい、ジロウ」


「――んあ?」


「これ以上進めるな。暗雲が途切れる」


「また伸ばせばいいだろ」


「お前が入ったことで向こうも感知してる」


「わかるよ、何か飛んできた」


「……そこにいろ」


「あはい」


 まだ日が上りきらない空の一部が黒く淀んでいる。山の中腹辺りのちょうど真上だ。

 暗い森の中に鉄塔が頭から突き刺さり、その真ん中ぐらいの鉄の骨組みの上に女が座っている。

 暗闇の中から降ってくる声と女が対話を始めた。


「カミラさまは?」


「お姿はまだ見れない。お前からもよく言っておけ」


「はあい」


 言っても聞かないのはわかっている。

 このまま続けるか敵にやられるかしかない、ユノカはどちらでもいいみたいに胸のポケットから飴を取り出して口に入れた。

 空を見上げると暗雲の向こうに太陽が見える。真っ暗な中に月のように見える。


 間もなく正午だ。もうすぐ太陽が真上に来る。

 ジロウは重い腰を上げた。黒いカラスは体長が一メートルほどあり、両翼に真円の穴が開けられ木に磔のようにされている。


「……次のが来た」


 暗闇にぼやけた太陽に何かが重なった。

 それはまるで砲弾のように段々と迫りながらこちらに突っ込んできた。


 ドゴオォォ!!


 爆音とともに周辺一帯を破壊した。

 その真ん中で人影がゆっくりと起き上がる。


「よお、ブッ殺しにきたぞ」


 源力を纏った空丸が弾着し、魔軍の場力を破壊した。


 四番並み火、風属性自由スキル「明後日(アサッテ)」。



 ひしゃげた鉄塔の前でジロウは無言のまま惨殺の構えを用意し始めた。


 後方に吹き飛ばされたユノカは深山が勝手にやってくれるだろう。


 賊山中腹。

 魔軍の本陣での殺し合いが始まる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ