表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
110/136

89、VS釈迦(1)

 金剛の前まで来ると、釈迦は屈みこんで何かをし始めた。


 ゴッ、ゴッ


 どうやら体を砕いているようだ。うつ伏せで倒れていた金剛の体をバラバラにした。

 樹一たちも復活を恐れて体を壊そうとしたができなかった。そんな梵天の体を釈迦は簡単に壊している。何故こちら側に有利なことをするのだろうか。

 壊し終わると釈迦は立ち上がり、天を仰いだ。

 そして手を合わせ、深く身を沈めた。外門の発動だ。

 周囲の景色を丸ごと飲み込んでいき、全員がそれに捕らわれた。


「ぐっ」


 飾蒲生自身が灰論(リザルト)を使っていることは十分に考えられる。周囲に強い光が集まっていれば迎え撃ってくるのは当然だ。

 茂みから出て戦闘の態勢を取った。樹一が釈迦の正面に立ち、御力を限界まで一気に上げる。外門を相殺した。浦須正也は右腕に打、左腕に斬の力を全て集めて釈迦に襲い掛かった。樹一が印を結び、無残を高めていく。エネルギーボールを放たれる前に何とか倒したい。後に控える外安幸久とヴェリスもいつでも行動を起こせるようにして構えた。


 ドゴゴゴゴゴゴ――!!


 釈迦は手を合わせ、仁王立ちのまま浦須の攻撃を受けている。防御をする気配はない。外門を展開中は他のことができないようだ。少しずつ後退っていく。一方の樹一は御力を高めた状態で戦闘ができる。


 樹一が無残を十六倍まで引き上げた。限界値だ。異様なエネルギー体が浦須の後ろに出来上がった。

 浦須はとどめの一撃を入れ、釈迦を硬直させると左へとはけた。


 両腕にエネルギー体を提げ、飛び上がった。

 二つのエネルギー体を一つに集め、仰け反った釈迦の腹部へと叩き込んだ。


 グオゴゴゴゴゴゴゴ――!!


 激しい地鳴りと共に爆心地で土煙が舞い上がる。


「はあ、はあ」


 樹一がその場で膝をついた。エネルギーを全て出し切った。しばらくは定型技能(プラクティス)も使えない。


 やったか――?


 やがて煙が晴れ、釈迦の姿が暗闇の中に浮かび上がった。

 樹一が満身創痍で見上げたところに、腹部に大きな穴を穿たれた釈迦が立っていた。


 釈迦はそのまま前のめりに倒れ、動かなくなった。


 ついに釈迦を倒した――。


「ジュエース様!」


 ヴェリスと外安も駆け寄ってくる。

 樹一は携帯端末を取り出し、アリサへと繋いだ。


「アリサ。状況はどうなっている」


『変わりません。目標は九番の真上です』


 もし死んだのなら足跡(トレール)は回収されるはずだ。

 釈迦は生きている――。


 しかし、あの状態ではもう戦えない。今は瀕死でこれからきっと死ぬのだろう。

 そう思って三人は再び釈迦の方へと向くと、祈るようにその様子を見ていた。


 すると今度は粉々になった金剛の破片が動き始めた。

 液体のようになったそれは釈迦の方へと動いていき、腹部を補うようにして融合した。

 釈迦の腹部が再生された。


「そんな――」


 再び起き上がる釈迦。


 完全に復活したようだ。

 梵天の体を砕くのは証拠隠滅のためだった。梵天は火の民のレプリカだ。本物にたどり着かれるのを防ぐためだった。

 しかし、咄嗟に彼らがダークマターと呼んでいる黒丹(インボーク)は再生に使えるのではないか、飾蒲生がその場で試したことが上手くいった。たまたまだった。


 再び窮地へと立たされた樹一たちにできることはもうない。

 樹一は歩くのがやっとだ。


 それを理解したかのようにとどめの追い打ちが行われた。


 エネルギーボールだ――。


 黒い太陽が上空に作られ始めた。

 追い詰められた状態での容赦のない攻撃。


 外安が三人の前に立つ。

 受け止められなければ終わりだ。

 受け止めても倒す手段がない。


 絶望的な状況で太陽が四人の元に降ってきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ