【第86話】遠征(6) 帰宅!
また更新頻度を少し下げます(>_<)
よろしくお願いします。
(火、木、土、日 → 火、木、土)
(^^)/
翌日。
てしてし、てしてし。
「ケイタ、起きて、朝にゃよ」
目をあけると、ちょっとだけ離れたところにオモチが座っていてこちらを見ていた。
「・・・おはよう、オモチ。警戒したって」
「むだだ~」
オモチを捕まえようと手を伸ばすがするりと避けられた。
毎回ではないけど、前によく、起こしてくれたオモチを捕まえては布団に引きずり込んでいたので警戒されたようだ。
「もう屋台のおじさんたちが、いつもの場所に集まり始めたにゃ」
オモチは探知のスキルで知りえただろう情報を教えてくれた。
「そうか・・・早いな」
のそのそと起き上がり、ベッドに座る。
仕込みの時間とかもあるだろうから、起きたのはもっと前だろう。
「洗浄」
洗浄の魔法でスッキリした後は朝ごはんを頂く。
「きょうはガッツリ行きたいから、鳥のから揚げのサンドイッチ2つと、スープをお願い」
「はい、どうぞにゃ。鳥のから揚げのサンドイッチはこれで終わりにゃ」
「そうか、じゃあまた補充だな」
オモチは俺にご飯を出してくれた後、自分用に焼き鳥(串は外して返却済み)を取り出した。
「では、「いただきます」」
食事を終え、革の鎧に着替えてから宿を出た。
馬車乗り場につくと、すでに屋台は開店しており、オヤジが3人が談笑していた。
「おはようございます」
「おお、来たか」
「はい、みなさん、今回もよろしくです」
「おう、もうみんな用意はできているぞ」
以前と同じように持参した器に料理を入れてもらう。
そして俺の動作に合わせてオモチが料理を収納していく。
前回と同じ数を貰い、前回と同じ、ちょっと多めの金額を渡す。
収納が終わってから、もう少し買っておけば良かったかなと思った。
季節によって内容を変えているようだし、次回からはそうしよう。
頭が回転し始めてからそう決意した。
「時々、こうやって買いに来ます」
「おう、じゃあ頑張って続けて行かないとな」
という事で、以下がオモチの収納に入った。
・スイカジュース ×5
・メロンジュース ×5
・ミカンジュース ×5
・サンドイッチ ×15
・具沢山の冷たいスープ×15
「ありがとうございました。ではまたです。お元気で」
「おう、気を付けてな」
ドライな感じだけど、ここに長々と居ても仕方ない。
俺とオモチは足早に首都側の出口へと歩いて行った。
国境を越え、今はサワコタの門の外に居る。
「ん~」
手に持っている地図から目線を上げる。
アナログ時計の例で言うと、首都を中心とした場合、今は8時方向に居るはずだ。
(メルスは9時方向にあった)
「前回はこの、道なりに走ったんだけど・・・今回はこっちだ!」
最初にわだちが残る道を指さしてから、びしりと首都のあるであろう方角に指をさす!
「うに!」
オモチもつられて気合を入れたようだ。
がんばるぞ!と両手を胸の前に持ってきてこぶしを作っている。
「では、首都を目指して、1日目、行ってみましょー! 「おー!」」
「おっと、また腕輪付けるの忘れてた」
一歩踏み出して気づいた。
「にゃふり」
猫形態に戻っている途中だったオモチがまたもやこけた。
「ううう・・・」
「あはは」
「じろり!」
「悪い」
移動の腕輪×6を付けてからオモチを撫でる。
「さて、お待たせ。出発しようか」
「うに、さっさといくにゃ」
◇◆◇◆◇◆
「オモチ、お昼にしようか」
会話もなく無心で走る事、数時間。
太陽が真上に来たのに気づき声を掛けた。
汗が滝のようだ。
「了解にゃ」
「よし、この辺で・・・」
見渡すまでもなく、またもや日を遮ってくれそうなものがない。
「パラソルを出すにゃ」
「ありがと、じゃあ・・・まあここでいいか。ウォーターバレット」
ウォーターバレットを地面に弱めに撃ち、パラソルを差し込める穴を作る。
俺がパラソルを穴に差し込んでいる間にオモチがテーブルセットを日陰に出してくれたのでそのまま座る。
「まずは水分だな・・・」
俺は自分用に木のコップ、オモチ用に浅い木の小皿を出す。
ちなみにここに来るまでにも、大体1時間に1回の小休憩は挟んでいた。
しかし真夏の草原、汗が出続ける。
「汗が机にたれる・・・。洗浄、ウォータークリエイト」
冷たくおいしい水をコップに出す。
何度もお代わりをして、落ち着いた頃に疲労を思い出す。
「ヒーリング」
目の前でくつろいでいたオモチにヒーリングを掛けてやる。
「ありがとにゃ」
「どういたしまして。ヒーリング」
続けて自分にもヒーリングを掛け、疲労を回復する。
「さて・・・」
収納の指輪から杖を取り出し地面に軽く刺す。
「ウォータークリエイト」
杖を持っていない方の手で大量の冷水を作り、大体半径3メートルぐらいに撒く。
そして地面の水が温まって蒸発する前に、魔法的に干渉して水を冷却し続ける。
「・・・よし、そろそろいいな」
「ひんやりにゃ」
早速さっき購入したサンドイッチ、具沢山の冷たいスープを取り出し昼食にした。
「ご馳走様、おいしかったね」
「おいしかったにゃ」
「やっぱ3つ並んでやっているからか、合わせてるよね、スープとサンドイッチ」
「あ~。そうかもにゃ」
「あつ。冷水をお代わりしよう」
「にゃ?」
先ほどと同じように、冷水を撒いて地面を冷やしてから、オモチと談笑を続ける。
走り始めたら無言なので、ちょっと会話をしてオモチ成分を補充するのだ。
「スイカジュース下さいな」
「どうぞにゃ」
オモチが出してくれたスイカジュースを小皿に少し移してから飲む。
「しっかり甘いな、ちょっとシャリシャリもする」
「おいしいにゃ」
「やっぱ時間停止は最強だな」
「そうにゃね~」
しばらく談笑してから夜の事を思い出す。
「帰りも、あの廃村に泊まろうか。まだ過ぎてないよね?」
「まだにゃ。あっちのあたりのはずにゃ」
「了解。案内よろしくね」
「ふふ、任されたにゃ」
オモチはわざわざケットシー形態になって、もふもふのお手てで自分の胸をもふりと叩く。
かわいい。
俺も・・・と手を伸ばしたら逃げられた。
今日の目的地は廃村と決まっているので、お腹が痛くならないようペースを落として走った。
◇◆◇◆◇◆
「うげ」
廃村が結構な至近距離になったあたりで、前回はなかった異常事態をはっきりと目の当たりとしてしまった。
「村の入り口と、中にも数匹居るみたいだにゃ」
巨大なカマキリが町の至る建物に留まっていたのだ・・・
「なんでやねん」
「きっと、ケイタとオモチが一晩村の中に居たから、その残り香で誘われて来たんじゃないかにゃ?」
「はあ・・・まあいいや、考えても仕方ない」
俺はそういうと容赦なくウォーターバレットを打ち込んでいく。
既に反応してこちらへゆらゆらと歩いてきていたカマキリたちからどんどん黒いモヤに変わって行く。
「どうかな」
しばらくして、敵影が見えなくなった頃にオモチに聞いた。
「後は村の中に居る6匹だけにゃ」
「了解、でも見た感じじゃ、どこにいるか分からないから教えて下さい」
「こっちにゃ」
オモチの誘導で残り6匹を倒し、そのまま村の中央にある集会所へ向かった。
集会所付近は魔よけのお香を焚いていた影響か、一番集まっていそうだったのに1匹もいなかった。
「じゃあ魔よけのお香台を設置しようか」
「了解にゃ」
前回地面に挿した穴がそのまま残っていたので、同じ場所に設置していった。
「もうちょいは明るそうだから、今日の夜ご飯は外で頂くか」
「了解にゃ」
やっぱり廃村は不気味だったけど、夕焼けを見ながらオモチと雑談をしながらだったから、途中からはそんな事を忘れて、紅茶まで楽しんだ。
「今回の遠征は成功だったな」
「そうにゃね」
「道中には特に強いモンスターも、変な地形で通れないなんて事もなかったし、これならメリーさんと一緒に行くことも出来そうだ」
「そうにゃね、おじいちゃんたちが年齢で亡くなる前に、メリーさんを連れていくにゃ」
「そうだな」
「ところでメリーさんはどうやってこの平原を移動するのにゃ?」
「自力で走るのは・・・無理そうだな」
「そうにゃね~」
「まあ、それは半年くらい後の話だよね、ゆっくり考えよう、メリーさんも交えて」
「うに。そうにゃね」
気付くと辺りが真っ暗だ。
夜のひんやりした空気を少しだけ楽しんでから、トイレに行ってから集会所に入った。
壁で入り口を塞いでこの前と同じ部屋にテントを設営した後、もう少しだけ雑談することにした。
テントの前にテーブルセットを出して、コップとお皿においしい水を出す。
「明日には首都だな」
「そうにゃね」
「首都についたら、何をしようかな」
「ポーション作ったり~」
オモチがそこで言葉を止め、俺を見た。
これはこの前オモチとやった連想ゲームもどきか。
お代を出して、交互に何かを言うといった遊びだ。
今回で言えば「首都でやる事」がお題だな。
「う~ん、土魔法を調べたり~」
「付与のお仕事をしたり~」
「東の森の壁を登りに行ったり~」
「あ、そうにゃね、東の森最奥でも、ケイタの実力なら大丈夫なはずにゃ」
「そう?」
「うに。あそこはほぼゴブリン種しか沸かないからにゃあ」
「そうか。じゃあ、あっさりと攻略完了しちゃうか」
「うに、しちゃうにゃ!」
軽いノリで行ってみたら軽いノリで帰ってきた。
ちょっと前までは過保護が目立っていた子猫オモチだけど、
今はだいぶ信頼度が上がってきたようだ。
「よし。じゃあ方針も決まったところで、明日も早いしもう休もうか」
「そうにゃね」
俺とオモチはテントの寝袋にもぐりこんでからお休みを言い合った。
◇◆◇◆◇◆
てしてし、てし、あむ、ざくり
「あぐぐ・・・ひーひんぐ」
朝から流血してしまった。
防御力アップの腕輪×2なんて、オモチの前では全く意味がない事を身をもって理解する。
オモチはケットシー形態になり、俺があむりとした方の手をだし、反対の手は腰に当ててこういった。
「洗浄20回」
「あ、朝からですか・・・」
「うに」
洗浄は消費MP5だ。
たった5だけど、20回やると100も使う。
「わかったよ、じゃあその前に・・」
オモチを持ち上げて、おなかやおでこにちゅうとやる。
「うーやめるにゃー」
おなかに、鼻をぐりぐりしたりしてオモチ成分を補充した。
「ふう、よしじゃあやりますか」
オモチを仰向けに両手で包むように持ち、洗浄を20回唱えた。
「20回にゃ」
「悪いな」
「平気にゃ」
「そうか。でも思ったんだけど、20回も洗浄して大丈夫なの?」
「どういう事にゃ?」
「カサカサになったりしないの?」
猫マッサージを始めながら聞いてみる。
洗顔フォームで顔を何度も洗うとカサカサになる。
20回も洗ったら油がなくなって確実に肌が荒れそうだ。
「石鹸とかと違って、ある程度になったら後は気持ちがいいだけにゃよ」
「そうなんだ、じゃあ最適な状態で止まる感じなんだね」
「そういう事にゃ。何度も洗浄させたのは、気分の問題にゃ」
「はっはっは」
でしょうね!
「ご飯を食べたら出発にゃ」
「そうだな、よし」
二人でテントを出て伸びをする。
いつものように気分で朝ごはんをオーダーしてゆっくり食事をする。
今日は目玉焼きトーストとホットドック、フローラさん特製の紅茶だ。
「またカマキリのモンスターが来てるにゃよ」
「俺らそんなに匂う?」
「モンスターにとっては、そうかもにゃ。
少なくとも体臭ではないにゃよ?」
「魔力的な臭いかな。
モンスターは建物を壊したりはしないんだよね」
「うに、狙うは人間とか、一部の生き物だけにゃ」
「それもそうか。この村だって、綺麗に残っているもんね。
じゃあ帰り道に遭遇したモンスターだけを倒すっていうのもありかな?」
「そうにゃね、カマキリは首都とは反対側から来ているから、倒すとなると戻らないといけないにゃ」
「うん、じゃあ放置しよう」
「了解にゃ」
鎧に着替えてから外に出る。
ちなみに速度増加の腕輪は付けた?と、お香を30秒で回収して来たオモチに確認されたので、仕方なく装備済みだ。
「うう。すでに暑いな。・・・よし、じゃあ首都を目指して頑張って行きましょ~。 「おー!」」
カマキリは後方にしかいなかったのでガン無視となった。
◇◆◇◆◇◆
「お、首都が見えた」
周りを見るとまだ明るい。
もうすぐ帰れると思うと自然とペースが上がったのか、夕方に差し掛かる頃に到着したようだ。
「あいのちから?」
「むずむずするから、やめろ」
流石にヘロヘロになったので、ヒーリングで二人の体力を回復する。
最後の小休憩だ。
水も飲んだ。
「よし、じゃあラストスパートだ」
「おー!」
ラストスパートとは言ったが、門の近くまで来ると冒険者たちの列が見えた為歩きとなる。
冒険者用の入り口はカードを見せるだけなので(実際はゲートに何かを判断する仕掛けがありそうだが)列がどんどん消化されていく。
俺とオモチも並び始めて5分ほどで首都の街に入ることが出来た。
誤字報告ありがとうございます。
反映させて頂きました!




