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【第83話】遠征(3) 到着!メルスの町

総合評価 500 pt

ありがとうございます(^O^)/

遠征2日目。



てしてし、てしてし。


「ケイタ、起きて、朝にゃよ」


「う・・」


何か、とてもかわいいものが俺を起こそうとしている・・・。


がぶり。


寝たふりをして、てしてしを堪能していると鼻をかまれてしまった。



「おはよう・・・オモチ」


目をあけると、オモチが顔のすぐ横に座って、こちらを見ていた。



「おはよう、もうすぐ夜が明けるにゃ」


「了解・・・周りは、問題なさそう?」


「1匹、モンスターが入り口のところに居るぐらいにゃ」


「そうか。ちょっとトイレ行きたいけど大丈夫かな」


「反対側の入り口でかなり離れているから問題ないと思うにゃ」


モンスターは、入って来たときとは違う入り口にいるようだ。


「了解、ちょっと外へ行くよ」


「うに、ボクも一緒に出るにゃ」


「装備は、鉄壁の腕輪だけでいいよね」


寝る時、鎧などは脱いで指輪に収納している。

現在は長袖、長ズボンの布の服に、収納の指輪とバリアの指輪、、鉄壁の腕輪しかつけていない。

今から鎧を装備する余裕はない。


「うに、大丈夫にゃ」


昨日防犯用に設置した柵を収納しながら外に出る。

ふとトイレに、子猫についてきてもらう37歳男性。というワードが頭をよぎったが忘れることにする。



集会所の外は、他の建物に囲まれておりモンスターの姿を見ることは出来なかった。

薄暗い中、トイレと思わしき場所へ案内してもらう。


「はあ、この温度がもう少し続いてくれたら嬉しいんだけどな」


ひんやりした空気の中、無事に用を足した後は2階の寝床にしていた部屋に戻る。


「とりあえずごはんにしよう」


「うに」


「エリア洗浄」


部屋ごと、まるっと綺麗にしてから朝ごはんを出してもらう。


「今日も暑くなるんだろうな」


「そうにゃね」


「・・・ここは雨も防げていい場所だよね」


天井を見る。


「そうにゃね」



「ごちそうさまでした。紅茶をお願いします」


「どうぞ」


朝ごはんを食べ終え、少し休憩する。



「何でこの村は放棄(ほうき)されたんだろう」


「井戸の水が完全に干上がってしまっているのが、たぶん関係しているにゃ」


「なるほどね」


オモチは既に探知で調査済みだったようだ。有能が過ぎる。

10分ほど休憩してから後片付けを始める。


「そういえばさっきの、モンスターが居る反対側の入り口って、メルスの町方面になるの?」


「なるにゃ、・・・まだ同じ場所に居るにゃね」


「え? 何してるんだろうね、そいつ」


「う~ん・・・今は考えても意味が無いから行ってみるのにゃ」


「そだな、わかった」



オモチに案内してもらい町の入り口へ行くと。


「あれか・・・デカいな」


目の前には、入り口の大きな柵に張り付いている、巨大な茶色いカマキリ。

日本でよく見かける緑色のではなく、葉っぱなんかに擬態(ぎたい)してそうなカマキリだ。


気持ち悪いのでウォーターバレットで瞬殺すると、黒いモヤになり魔石だけを残した。


「はあ」


「ご苦労様にゃ」


「どっかから、飛んできたのかな?」


「あの岩山の向こう側にいっぱいいるにゃ」


「うええ。近づきたくないな」


「大丈夫にゃよ、どれだけ居ても、ケイタなら負けないにゃ」



「・・・そうか。 まあいいや。

 じゃあとりあえず、この門をまっすぐ行ってみよう」


門の先には、微かに道だった痕跡が、数メートル先まで続いていた。

この先に何かあるって事だろう。


「うに、了解にゃ」



収納の指輪から移動用の腕輪を取り出して付けていると、

オモチが小さな口を大きく開けてあくびをしていた。


つられてあくびをしてしまった。

俺もまだ少し眠い。



「・・・よし、じゃあ2日目、今日も張り切って行くぞ! 「おー!」」


二人で右手を空へ突き出し、移動を開始した。


まずは軽くジョギングするスピードでゆっくり走りだす。

十分早いのだが、目の前のどこまでも続く草原をみてちょっとだけ嫌になる。

しばらくして体が温まったのを確認してから魔法を使うと伝える。



「スピードはこのぐらいでいいかな?・・・クイックアクション!」


【クイックアクション】

 ステータスの速さと移動速度が2倍になる、消費MPは10秒に1


魔力が体を包み終わると同時に景色が一変する。



「ヒャッハー! うおっ」


すぐに足がもつれて転びそうになったけど、ケンケンでなんとか持ちこたえる。


「とと・・・」


「ケイタ大丈夫にゃ?」


「この辺は草の背が高いね」


「そうにゃね」


目の前の草原、草が膝ぐらいまであり、気付かずに石や太めの枝を踏んで、走るテンポをずらされたりしてちょっと走りづらい。

ふと思いつきオモチに聞いてみた。


「魔法で道を作るか?」


「いいんじゃないかにゃ、周りに人はいないにゃ」


道があれば次回以降、行き来しやすくなる。

俺とオモチは足を止める。



「じゃあ・・ウォータークリエイト」


右手に収納から取り出した愛用の杖を持ち、大きな水球を作る。

そのまま進行方向に狙いを定めて・・・


「ウォーターボール!」


直径2メートルほどの水球を射出する。


ウォーターボールは地面を軽くえぐりながら進み、草や石、枝などを空中に巻き上げながら綺麗に道を作って行った。

そしてかなり先で木をなぎ倒しつつ爆散した。


杖を収納しつつオモチにこだわりポイントを説明した。


「地面はえぐったけど水分は一切土には浸み込んでないよ」


「それは走りやすそうにゃね」


オモチのかわいいお手てにも優しい。


「よし。じゃあ行こうか」


「おー」



◇◆◇◆◇◆



しばらく走っては道を作るという事を繰り返しながら進んでいると、木々が多くなり、やがて森になった。


落ち葉が根っこを隠すように落ちており、じゃまに感じるようになった。

今日は平気だけど、雨の日は滑りやすそうでもある。


さらに進んでいると広い川に出た。

地図を広げて場所を確認する。


「この川かな」


「たぶんそうにゃ」


「じゃあこの川を越えれば・・・」


川は全体的に浅そうだが、中央部分だけは色が変わっているので深くなっているようだ。


「オモチちゃん、橋を収納していたり・・・」


「ふみゃ!? そんなのある訳ないにゃ!」


「だよね、小屋も収納してないぐらいだもんね」


「だから、そんなもの収納している人なんていないにゃ!」


オモチが両手を上げて抗議の声を上げてきた。

かわいい。


「ええ・・・?!」


「なんでケイタがびっくりしているのにゃ!?」


「あ、でもだったらあれ、あれならあるよね?」


「・・・なんにゃ?」


「流石に小舟なら収納しているよね?」


「・・・・・」


「・・・・あれ?」


「ないにゃ!」


オモチはお手てで×を作ってから、ない!と言った。

そのポーズがかわいくて、思わず頭を撫でる。


「ふふふ、ごめんごめん」


「・・・ふふふ、ケイタよくそんなくだらないこと思いつくにゃあ」


「いや、ただからかっているだけじゃないんだよ?

 本当にあったら便利でしょ」


「でも小屋も小舟も、職人さんにお願いして作ってもらうものだからにゃあ」


「首都では売ってなかったもんな。職人、探すか~」


「収納は任せてにゃ」


「うん、収納は任せた」


「うに、任されたにゃ」


オモチはかわいいお手てで、自分のもふもふの胸をもふりと叩いた。


それを見たおれはにっこり。

それを見てオモチもにっこり。


俺がその仕草を好きなの知っているからな~。小悪魔的な子猫だ。



「さて、じゃあ、あとはどっち行くかだが・・」


俺は川の上流と下流を見て飛び石や、渡りやすそうな場所がないか確認する。


「ケイタ、あっちに橋があるにゃよ」


「え?そうなの」


「うに。行ってみるにゃ」


さっきのやり取りは・・・。

何でもないようなそぶりで歩きだすオモチ。

上流へ歩いていくと整地された場所に出た。


「あ、向こう側に村があるんだね」


橋を渡った先にはメルスの村と同じように石を積み上げて作られた壁に囲まれた村があった。


「へぇ~ たくましいな」


「こんにちは」


木の上から声が聞こえた。

遠目からは気づかなかったが、木の上には見張り台があった。


「あ、こんにちは」


「冒険者の方ですか?」


「はい、メルスの町に行く途中です」


「そうでしたか、では、この橋を渡った先の村を、反対側へ突っ切った先に、メルスへ続く道がありますよ」


「本当ですか、ありがとうございます」


「いえいえ、では気を付けて」


「ありがとうございました」




「オモチはあの人いるの分かってた?」



橋を渡りながら聞いてみる。


「分かっていたけど、平気そうだから黙っていたにゃ」


「へぇ~」


「言った方がよかったかにゃ」


「どっちでもいいよ」


「わかったにゃ」



村の入り口には前面がオープンな小屋があり、その前には槍を持った人がいた。


「こんにちは」


「こんにちは、メルスの町まで行こうと思って、よらせて頂きました」


「それなら村をまっすぐいくと反対側に道が続いているよ。

 大人の足でメルスまで、大体半日くらいかな」


「そうですか」


「泊まって行くのかい?」


「いえ、まだ昼ですし、そのまま行っちゃいます」


「わかったよ、気を付けてね」


「ありがとうございます」



村を歩いていると、子供たちが嬉しそうに走ってきた。


「こんにちはー」


「ねこちゃんがいるー」


「もう行っちゃうの?」


「みんな元気だね、このままメルスの町へ行くよ」


「ねこちゃんなでてもいいですか?」


「オモチ、どうする?」


「いいにゃよ」


「喋った!」


「このこはケットシーだから喋れるよ」


「「「へぇ~」」」


子供たちが一斉にオモチを撫でている。

オモチは耐えている。


「ふわふわしている」


「かわいい」


「この村には猫いないの?」


「犬しかいない」


「かわいそうだからダメなんだって」


「へぇ」


しばらくオモチと村の子供たちが戯れた後、お別れをする。


「またね」


「ばいばいねこちゃん」


「ばいばいにゃ」



村の裏手にいる見張りの人に挨拶をしてメルスへの道を歩く。


「見張りを置けるなんて、結構人がいるのかなここ」


「村は川に沿って横に広がっている感じにゃ。100人ほど居るみたいだにゃ」


「へぇ、メルスの町もそのぐらいだよね?」


「メルスの町は数えてないけど、200人以上は居るにゃよ」


「そんなに居たんだ、やっぱ泉のお蔭で安全だからかな」


「きっとそうにゃね」



村の外に出ている人達もおり、その人たちがスムーズに出入りできるよう見張りを立てているようだ。

見張りと言っても、相手はモンスター限定らしく、その証拠に俺はノーチェックですんなり出入りできた。



村が見えなくなった頃に走ることにする。

狭い道だし、くねくね曲がっているので、ひとまず魔法による加速はなしで進む。


村から離れると下級モンスターがぽつぽつ出るようになってきた。

村の収入にもなっていそうだし、進路を塞ぐモンスターだけにしぼって倒していく。

魔石は走りながらオモチが回収してくれた。


そうやって走る事2時間。

目の前が開けてきた。



「おおお!! これはメルスの町の外壁だ」


「お疲れ様にゃ!」


「やったー お疲れ様ー」


ホントに着いた~と、しゃがんで猫形態のオモチとハイタッチする。


石壁の左側には門があり、門番がこちらに手を振っていた。




「どうも、お疲れ様です」


「お久しぶりですね」


「あ、俺の事覚えていらっしゃいましたか」


「ええ、結構長くいらっしゃいましたし、事件もありましたからね」


「そうでしたね。でも今回はすぐ発つつもりです」


「そうですか、わかりました、では、ようこそメルスの町へ!」


門番さんは大げさに、門の横に移動し両手でメルスの町へ続く道へ、どうぞのポーズを取った。


「ははは。ありがとうございます、では失礼しますね」


「はい、ごゆっくり」



久しぶりのメルスの町は、大きく変わるところはなかった。

強いて言えばこの時間になっても、まだ窓が開いている家が多いという事ぐらいだろうか。


「微かに香る、虫よけのお香の匂いは、どの町でも夏の風物詩だよね」


「そうにゃね」


もう夕方だ。

前にもお世話になった宿で部屋を確保したらご飯を頂いて、今日はもう休もうと話をしながら歩いて行った。

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