表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/246

【第62話】北東の森でトレント狩り!(4) 狩り1日目

「ウォーターバレット・バルカン」


俺はオモチの指示のもと、射程に入っているトレントをどんどん撃ち抜いていく。

トレントの硬い表皮を砕く際の、乾ききった木が割れる音が連続して草原に響き渡っていて、若干耳が痛い。


そしてトレントの密集度がすごいので討伐数もすごい。

どんどん黒い霧になり木が減っていく。


(みき)の太さなどによって、3~5発と倒せる弾の数が違いちょいちょい森の中に弾が消えていくのだが、神経を使うので途中から気にしないようにした。

きっと奥の方でトレントに当たっているだろう。


弾は1発MP5、MP回復強化で3秒に1回復する。

前にゴブリンの群れを倒したときは狙撃だったので間がかなりあったが

今は1秒間に2~3発撃ち出しているのでMPがどんどん減ってきている。


MP切れで休み休みやっていたが1時間もするとレベルが1上がっていた。


「はあ、これは終わらないな。この森はトレント100%なのかな?」


「うに、たぶん、今見えている範囲は草原だったと思うにゃ」


「トレントが増えすぎてせり出してきているってこと?」


「多分そうにゃ」


「ダンジョンだと一定数以上増えないって言うでしょ?」


「地上は制限はないはず、なんだけどさすがに前線でもないのにこれは増えすぎにゃ」


「え、前線って?」


「ぜ、前線は前線にゃよ」


「正しい判断の為にも、後でその話教えてほしい」


「わかったにゃ、本当はレベル100になったらって決まりがあったけど

 ケイタはレベル100以上の実力があるから教えるにゃ」


「・・・参考までに100以下の人に教えた時、オモチに何かあるの?」


「まあ、色々とあるにゃ」


「ううむ、レベル100ってあと51だな・・・」


思考の海に入りそうになった時、さっきからしていた”ずもも”という軽い振動音にハッとする。


「オモチ、この音ってもしかして。」


「え? ・・・ああ、あそこを見るにゃ、ケイタがトレントを倒して出来た空地(あきち)に、

 後ろの方からトレントが移動して来て根を下ろしたにゃ」


「ほんとだ」



日本で見た、海中のウニやヒトデが移動する動画を思い出す。

数年前に知ったが、ウニやヒトデは自分で移動できる。

今、目の前のトレントって見た目が木だけどモンスターだし移動できる。

でも実際に目にすると、ウニやヒトデの時と同じ衝撃を受けた。


「やばくない?」


犬や猫がゆっくり歩いている時と歩行速度が同じぐらいだった。

このトレントの集団が首都に向かって移動して来たら・・・

壊滅するよね?


そのことをオモチに説明してみる。


「基本的に通常沸きをするモンスターはそういった侵攻をしないにゃ。

 ただ数を増やすのが関の山にゃ。ただし、進化をした上位種には

 そういった指揮を執る個体もいるかもしれない、けど・・・」


オモチの考えを聞く。

基本的には上位種になっても、自分のナワバリをじんわりと、自分を中心に広げることはある。

それ以外だと、襲ってきた冒険者を撃退するために、簡単な命令を下位種へしたりするらしいが、やってしまえ!、盾になれ、逃げる時間を稼げ!ぐらいなものである。


冒険者が一定方向からやって来ていることに気づいても、その方向に拠点があって、そこを落とさないと襲撃は無くならない、という考えには至らないとされている。



「オモチ。さっきの最前線の話、しなくていいよ」


「うに、いいのにゃ?」


「うん、レベル100になったらお願いする」


「ううう・・・もしかして今の話で分かってしまったのかにゃ」


「予想はついた。でもあってるかは分からないよ。

 今ならオモチからは何も聞いていない事には変わりないでしょ」


「そうにゃね・・」



このトレントの集団が、世界の縮図みたいなものだろう。

これが世界規模で起きていて、俺がいるこの人間が住む領域を守ってくれている超人たちが居て・・・


このトレントの集団を見るに、ある意味ここも最前線なのだろうけど

俺でも削れるこんなレベルじゃないんだろうな。


オモチが言った最前線が、本当の意味で最前線なんだろうな。

そこが決壊したら人間界が終わる?こわいな。


モンスターとは意思疎通が出来ない。

だから和解はない。戦い続けるしかない。


「はあ・・・途方もないな」


「大丈夫にゃ、ケイタにはボクがついているにゃ」


「ありがとうオモチ」


ダメだ、まだ笑えない。

ここに着いて、目の前の巨大な森がトレントの集合体だと認識してから顔がこわばっているのが分かる。


プラスに考えようとしているのに、希望が湧いてこない。

久しぶりに感じるな、この絶望感。

何もかもが途方がないように感じる。


「ケイタ、レベルにゃ。

 レベルを上げれば大抵のことは何とかなるにゃ」


「ああ、そうだな、それだ」


オモチの脳筋な発言に笑いそうになった。


この世界はレベルがある。

レベルを上げて行けばステータスが上がって何とか出来ることも増えるはずだ。


モンスターにはレベルがない。

だからこちらはレベルを上げればいい。


長い時間を掛けて魔素を吸い過ぎると上位個体になってしまうらしいが、

それだって、そのモンスターより強くなれればいいだけのはずだ。

いいぞ、前向きになってきた!


「ありがとうナイスアシストのオモチ。

 あとは付与での補強だよね」


「そうにゃ、今ケイタは付与装備のお蔭で防御力に関してはレベル150以上と同等にゃ」


「おお、流石フルで付与しまくっただけはあるな!」


「そうにゃ、だから最悪の話、トレントに囲まれてしまってもダメージはないはずにゃ」


「ってマジかそれ」


恐怖心が霧散した。

まあ実際の所、露出している顔だけはガードしなきゃイケないんだけどね。


「はああ・・・」


「ケイタ、大丈夫にゃ?」


「うん、もう平気になった。だってダメージ無いんでしょ?」


「ないはずにゃ」


一番最初にほしい言葉だったよそれ。

俺はオモチのおでこにコツリとおでこを当てる。


「よし、じゃあもう平気。あいつらには俺の経験値とお小遣いになって貰う」


「う、うに! やるのにゃ!」


「よし、もうそろそろMPの回復も終わるしやるか」


「「おー!」」


二人で顔を見合いながら右手を天高く突き上げた。




◇◆◇◆◇◆




結局、座標的に1歩も前には進んでいないが、トレント狩りは順調に進んだ。


最初は射程圏内にいるトレントをMPが切れるまで倒し続けていたが、

そこからMPが回復するのを待っている間にちょっとした時間ロスが出ていた。


時間が経つにつれて戦い方がスムーズになってきて、

MP切れを起こす前に、ある程度近場のトレントが居なくなったタイミングで休憩を入れ、

トレントが近場まで来たタイミングで、倒すようにしていたら討伐数が上がった。


後はウォーターバレットの撃ち方も自然と変わった。

トトトっと、3回を1セットにして撃つようにした。


弱い個体なら1セットで倒せるし、

幹が太いのは2セットで倒せて、

上級個体になると4~5セットで倒せた。


リズミカルで何か良いし、撃ち方を固定したので、相手を見て何発撃つかとか考えないようになって、ストレスも殆ど感じなくなった。


上級個体は他のトレントより二回りほど巨大なので遠目から見ていると分かりやすい。


これを夕方まで繰り返した。



「レベルが今日だけで7もあがったよ」


「おめでとにゃ」


「今までの停滞は何だったのかという勢いだよ」


「殆ど休みなく倒していたからにゃあ」


「途中から、しばらく上級個体が続いた時間があったのが大きかったと思う」


「それは確実にそうにゃね」


俺が遠距離攻撃している間、オモチは高速でドロップアイテムを拾ってくれていた。


「オモチも大活躍だったね」


「えへへ・・」


テーブルセットを出してもらい、しばしのオモチとのふれあいタイムを過ごす。


「さて、ごはんにしようか」


「うに、まあサンドイッチしかないけどいいかにゃ?」


「別にサンドイッチは嫌いじゃないよ。あと串焼きのお肉もお願い」


「はい、どうぞ~」


「ありがとう」


嫌いじゃないけどちょっと飽きている。

これはどこか持参したお皿に盛ってくれる感じの定食屋を見つけるしかないかな。

どちらにしても器を買い足す必要はある。


食事を終えテントの場所を決めることにした。

俺が固定砲台をしていた場所からほんの少し下がった場所だ。

何となくいい場所だと思ったので、明日もそこから再開しようかなと思った。


「じゃあテントはここ、ここから10m先8か所にお香を焚こうか」


「うに」


オモチがポフリとテントを張る。


「大股で歩いて、大体10歩でいいよね」


「いいと思うにゃ」


「・・9、10。

 よし、じゃあ地面に魔物除けのお香を置いて、ファイヤークリエイト」


ボシュー


指先からバーナー状の炎を出してお香に火をつける。

ハーブのいい匂いがしている。


「よし、次」


大体でテントを中心に8方向にお香を焚き終わった。

後は寝る前にテントの近くにもお香を焚けばいい。


しかしここは草原なので見渡しがいい。

森の中で同じことをやろうとすると骨が折れそうだ。


「何か簡易的に壁でも作れればいいんだけどね。あ。」


「どうしたのにゃ?」


オモチが首を傾げてそう聞いてきた。

体全体もちょっと傾いている。

オモチを撫でつつ、メモ帳を取り出し、イメージを書いていく。


首都のような巨大な壁が必要なわけではない。

ちょっと乗り越えられないであろう高さ、大体150cmほどあればいいだろう。


飛び越えてくるモンスターはどこまで備えても飛び越えてくるだろうから、とりあえず下位種のゴブリンとか、トレントなどのあまり高さが無くても大丈夫なモンスター向けで作ってみようかな。

とりあえず鉄壁の壁というよりは、迷い込んでテントの前まで来れないように壁を作るイメージだ。

そんな感じの事を書いていく。


続いて(くい)2本の間に布を張ったようなイラストを描く。

漢字の、円のような形で、下半分は地面に埋まる部分だ。


(くい)の素材はまっすぐな木。

布はテントと同じ丈夫な素材の布。


両方ともに耐久性アップの付与がされている。

あらかじめロープでしっかり結んで固定されている。

他に短めのロープを持参していれば(くい)同士を結んで固定することも出来る。


これをあらかじめいくつも作っておけばいつでも簡単に、簡易壁がテントの周りに張り巡らせられる。

今は詳しい仕組みは思いつかないけど、ジョイントで高さを増やせるようにできたらもっといい。


(くい)の半分は地面の下だが、設置も俺がやる分には簡単だ。

ウォーターバレットで杭の直径と同じ大きさの穴を地面にあけ、そこに(くい)を刺し込んでいくだけだ。

こういうのはシンプルがいい。


「帰ったら杭用の木と、テント素材の布を買いたいね」


「なんだか面白そうにゃ」


「キャンプの達人たちの意見も聞きながら、わいわい出来るといいな」


「そうにゃね。みんなでやると楽しそうにゃね」



来て初日、帰る楽しみも出来た。

明日も日が昇る頃には活動できるようにしたい。

ささっとテントの周りに魔よけのお香を焚いてから、鋼鉄1cmの耐久性があるテントに入る。


神官さんから借りた寝袋にオモチと入ってちょっとだけおしゃべりしてから意識を手放した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ