【第13話】雑貨屋でひっつき虫を手に入れる(2)
ペンの棚には魔法ペンと、えんぴつ、あと筆があった。
魔法ペンは高価なためか、ガラスケースに展示されている。
ちなみに鉛筆は1本300円、筆は1000円と書かれている。
インクも同じ棚に置いてあった。
全体的に高い気がする。やはりこれらも職人の手作業なのかな?
「魔法ペンは3種類あるのか」
違いが判らなかったので店員さんに魔法ペンの違いを聞いてみた。
「まず魔法ペンっていうのは、中に魔力回路と小さな魔石が入っているものを言います。
特徴としては鉛筆のように削る必要がないし、筆のようにインクにつける必要もない。
このペンが1つあればずっとこのまま書き続けられます。
でも一応魔道具だから、壊れることもあるし、それぞれ使える年数も違うのよ。」
「へぇ年単位で変わってくるんですね」
「そうよ。じゃあまずこの左の魔力ペンなんだけど。
これはスタンダードなペンで、大体3年ほど書けるといわれているわ。
3年ほどたつとインクが薄くなってきて、最後には書けなくなるわ。3万円ね」
高いな!
「沢山書いたら3年持たないっていう事もあるんですか?」
「いいえ、そう勘違いしている人もいるけど、本当に3年書き続けられるのよ」
「おお、それいいですね」
「いいでしょ。いいオトナのヒトはみんな魔力ペンを使っているわ」
まあそれは人それぞれだと思うけど。
「次にこの真ん中の魔力ペン。これは上部スイッチを切り変えれば、ななんと!3色まで色を変えることができるわ」
途中から乗ってきたのか、大げさに驚いて見せながら説明をしてくれた。
色のラインナップは赤、青、緑だね。
「高価すぎてウチには置いてないけど、もっと沢山の色が出るペンもあるのよ?」
「へえ~」
「先にお金を出してくれたら取り寄せもやっているわよ」
「その時はよろしくお願いします」
「はい。で、この3色のは書けるのは1年ね。」
「1年ですか、長いような短いような」
「最初のに比べるとそうなるわよね~。中に入れる魔石も最初の方が1つなのに対して、3色ペンは2つ入れないといけないのよね。お得感としてはないわ。色数で勝負しているペンよね」
「なるほど」
「じゃあ最後の右端の魔力ペンね。これはすごいわよ。
普通魔力ペンって、一回書いてしまうと消せないんだけど~」
そういって店員さんは俺の顔を見ながらためる。
あ、まさか。
「なんとこのペンで書いた文字なら、キャップ部分の石を当ててこすってあげるだけで、文字が消せるんです!」
フリ●ションじゃん!
異世界用にも作ってるの? 実は支社があったり?
「すごいですね、このフリ●ション」
「え? ふりく?」
「あ、何でもないです、価格はどんなものでしょうか」
「えと、まずは使える年数なんだけど、2年よ」
「2年ですか」
ちなみにと聞いてみたが、熱で消えたりはしないらしい。
「それで価格が左が3万円。真ん中が5万円、一番右のペンが9万円よ」
「高いですね」
「うふふ、真ん中のか、一番右のを買ってくれるんなら、そのかごに入っているノートは無料にしてもいいわよ」
おお。真ん中の3色ペンの方は買えちゃうな。
「ちょっと、相談していいですか?」
「猫に相談するの?」
店員さんは不思議そうにオモチを見ながらそういった。
「この子はケットシーなのでちゃんと会話できますよ」
でもこのタイミングでしゃべってくれないオモチ。あれ?
オモチは魔力ペンのガラスケースを見ていた。
そしてふうとため息をついてこちらを見てくる。
「まあこの後も買い物があるから無駄遣いは出来ないか」
「・・・5万円までならだいじょうぶにゃ」
「ん、いや、それらは自分で稼げたら買いに来ることにするよ」
「この3万円のでも大丈夫なのかにゃ?」
「うん、1色で事足りるよ」
「了解よ。ほかにも色々あるから見ていってね、値引きはするわよ」
そういって店員さんはウィンクして戻っていった。
俺はケースの下部についている、「買う場合はこの札をカウンターに持ってきてね」の3万円の札を買い物かごに入れた。
「お」
この雑貨屋さん、小さいながら本のコーナーまである。
本当にコンビニのようだな。
いろんなジャンルの本が少量づつ置かれている。
魔法関係の本も気になるが、このクラフト系の「魔道具入門」とか「付与魔法のいろは」など心惹かれる。
「ケイタは本を読む人なのにゃ?」
「俺は本が大好きだぞ」
「おお~すごいにゃ」
「いるよね~そういう適当なコメント言う、本にあまり興味ない人種」
オモチは猫だけど。
「え、ごめんにゃ」
オモチは急に焦りだして謝ってきた。
「ん?大丈夫だよ?ごめん今のいい方びっくりさせちゃったかな」
「うう。キライにならないでほしいのにゃ・・・」
オモチは右足に、ひしっと抱き着いてきた。
「わるい、この言い方がとっても仲良しだった仕事場の人によくしていた言い方で、・・冗談のようなものだよ」
「冗談? 仲良しに言う言い方だったのにゃ?」
オモチは抱き着いたまま、顔を上げてそう聞いてくる。
「ああ、その職場では一番仲の良かった友達だったやつだよ」
「そ、そうなのか、急に悪口を言われて怒らせてしまったとおもったにゃ・・びっくりしたにゃ・・・」
そういうと、オモチはがっくりとうなだれてしまった。
しかしすぐに復活した。一番の仲の良かった友達と、強調したのが効いてくれたかな?
でもその後、オモチはひっつき虫になってしまった。
何も言わずに右足にひっついている。
正面から右足に抱きついて、俺の右足に両脚を揃えてつま先立ちで立っている。
悪いとは思うがかなりかわいい。上から見ると毛玉に見える。
オモチは強い言い方はダメだなと自分を戒めた。
仕方ないので、そのまま本を物色する。
魔道具も付与もかなりあこがれがある。
この2つの価格は1冊3000円だ。
パラパラとめくってから購入を決める。
「オモチ、この2冊の本を買うよ」
「うん。どうぞにゃ」
魔法の本も興味はあるが、今は変な癖をつけないって事でクリフトさんと進めている所だからやめておこう。
一通りの水魔法が習得出来たらその時に買おう。
俺は右足にオモチをひっつけたままレジに向かった。
「ふふ、仲がいいのね」
多分会話は全部聞いていたんだろうな、と思った。
お会計は以下の通りとなった。
A5リングノート ×3 1500円
A6リングノート ×1 300円
魔道具入門 ×1 3000円
付与魔法のいろは ×1 3000円
魔力ペン ×1 30000円
値引き -2800円
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合計 35000円
結構値引きしてくれた。
「値引き多いですね、助かりますが」
「お客に値切られて損した気分になるぐらいなら、最初から自分で値引いた方が気持ちがいいわ」
店員さんはそういって笑った。実はオーナーさんとか店長さんなのかもしれない。
「今から魔石を魔力ペンに入れるけど、入れた後は返品が効かないわ」
「はい、よろしくお願いします」
「はい。じゃあペンのデザインはどれにする?この7種類の中から選んでね。」
示されたものを見てみると、まず基本の3パターンの装飾があり、そのうちの2パターンには赤、青、黒の色違いがあり、残りの1パターンは木の素材のままの色で、森の中の風景が彫刻されていた。
クリフトさんのと同じ黒いカラーもこの中にあった。
「では、この木のやつでお願いします」
「おっけー、じゃあちょっと集中するから話しかけないでね」
「はい、お願いします」
魔石をセットする作業は5分ほどで終わった。
そのうちの2分は説明書を読む時間で、残りの3分は交換作業だった。
ペンのふたを開けて魔石をセットする板を取り出し、魔石を正しくセットしたら逆の手順で戻していく。という感じだ。
最後に試し書きをして、描けるようになったらキャップを付けて、梱包してから袋に入れてくれた。
「5年後に魔石を入れ替えたら、またこのペンは使えるようにならないんですか?」
袋に1品づつ丁寧に入れてくれるのを見ながら聞いてみた。
「それは無理ね。5年もたつと、回路と魔石が一体化してしまうとかいう話よ?」
「なるほど・・・」
うまいこと魔石をカートリッジタイプに出来たら行けそうな気もするぞ。
何の実力も実績もない俺が言うのもあれだけど。
「また来ますね」
「は~い、またよろしくね」
店員さんは雑貨屋のドアの外まで出てお見送りしてくれた。
誤字報告ありがとうございます。
反映させて頂きました!




