金貨争奪戦・その1
_______________【英雄の遺産】_________________
神話や伝承、伝説に登場する人物が
使用もしくは、作ったとされる様々な道具や武器
とりわけ、
魔王討伐を果たしたの英雄達、彼らの残した品々を指す
現代において、確実に存在が確認されているのが3つ
・法師ルドの遺産【黄金水晶】
・魔道士エウロンの遺産【魔杖・アルマダ】
・剣士ライデンの遺産【銀槍・無明長夜】
英雄の遺産を手にした者は、
約束された成功と、一国をも凌ぐ力を授かると云う
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今しも領土拡大の野心に燃える1つの国。
大陸西方部に領土を構える国:ボルドー
3代に渡り着実にその領土を広げるこの国は
大陸統一の旗を掲げ、日夜その行動を起こしている
軍事国家であった。
「で、イスリールの様子は?」
片肘をつき玉座より声を掛ける男
ボルドー皇帝:ボルドー・レイヴン・ハート
この男、元は王位継承第6位に位置していたが
先代である父と叔父、2人の兄を殺し、
姉を自殺に追い込み、義弟も手に掛けて
皇帝の座に就いた、切れ者。
骨肉の権力争いが絶えなかったボルドーにおいて
見事に下克上を成功させた。
「薔薇の鴉」の異名で知られる若き皇帝だ
「イスリール国王不在のタイミングでの襲撃、見事でございました。」
「世辞はいい」
「はっ!未だイスリールは混乱の極みにございます。
此度の件で、死亡した元老レイメーンの存在が大きいかと、また反撃の整えや、非常時のイスリール兵招集も未だ進んでいない様子」
報告をあげるのは、
ボルドー重騎兵団将軍:パーシバル・パトリック
「……あのウォーカー・モーリー・レイメーンを討てただけ…良しとするか。生き残ったキコルの部下は何と?」
「『二ク…ニクノバケモノ』と…他は何も申しません。
以降は、ただ、ぶるぶると震えるばかりで
余程の体験をしたものかと存じます」
「……肉の…化け物?」
どの様な魔法か?
想像が及ばない魔法の行使。
軍事魔術士キコルを、いとも容易くに返り討ちする、
何か…
レイブンはニヤリと口角を上げる
「パトリック下がって良いぞ」
「は!」
将軍が部屋を後にすると…レイヴンが1人声を出す。
「どの様な遺産だと思う?」
すると玉座の影の辺り、何も無い場所から、不気味な声で
「…話しに残る召喚魔法…もしくは、すでに失われた別の古代魔法…どちらにせよエウロンの秘技が込められた遺産かと」
「面白い…ハークラインの魔杖や、ヌアダの銀槍
それらに並ぶ…いや!それらを超える遺産かもしれん」
〜 一方その頃、イスリールでは〜
「いえ、それは!姫さま、お考え直しを!!」
大きなユッケの声!その声は明らかに困り果てている
「どう考えも、無茶でございます!!!!!!」
「大丈夫よ!みんな納得するわ!!」
えっへん!と自信満々!
何やら威張った様子の王女 : エレナ・リズ・イスリール
「こんなムキムキの!どこがエウロン様でごさいますか!!!!!!!!」
ユッケがオグナに指を指す
「しょーがないでしょ!ムキムキなんだもん!!!」
「国民が何と言いますか!!」
「だからこそよ!!」
ヒートアップを続ける2人、蚊帳の外のオグナは何とも言え無い表情で2人を見つめる
「こんなに国が大ピンチの時に
何もしなかった王女だとか、儀式が失敗だったとか!
皆に不安を与える方が、よっぽどダメよ!」
「しかし!!!皆が知ってる物語や伝説には、
必ず!か!な!ら!ず!美の女神より美しい姿だったと、残っているのですよ!」
「知っていますそんな事!でも、本人を見た事ある人間なんて、もうこの世には存在しないわ!
だからこそ、アレを持って来てもらえれば!と言っているんです!」
「反対です!!仮に手に出来たとしても、こんな国民を騙す様な…」
「騙すのではありません!!!!!
少しでも皆に安心を与え、いち早く不安を取り除くのです!!きっと皆も、『へ〜昔の美の基準って今とは全然違うんだぁ』ぐらいに思ってくれます!」
「違い過ぎます!!!」
「噂と現実じゃ、話しが違うなんて良くある事よ!
それに、あの変態モード(益荒男状態のオグナ)を見せなきゃバレ無いでしょ!」
「今!バレるとおっしゃいましたか?バレるとおっしゃいましたか?!!!!」
「言ったわよ!!!!!!」
「やはり騙すつもりではございませんか!」
「バカ…違っ!バカ!!国民の心のケアが最優先だと言っているのです!」
「な!何ですか!今の言葉は」
ワーワーと怒鳴り合う2人、間に立つオグナは困り顔だ
2人が何を話しているのかと言うと
《救国の魔法・英雄召喚でエウロン様を呼び出した》
と、発表するのか?しないのか?
もちろん、オグナがエウロンの転生した姿であり
召喚、もとい転移が成功したとは、2人とも知らない
またオグナ自身も、金貨の秘密やエウロン本人である事は口にしていない。
しかし、王女様は「成功」と言い切ると言うのだ
間違ってはいないのだが………
「オグナさん!骨身の塔から、銀龍の骨を持ってきて下さい」
_______________【骨身の塔】____________________
イスリールの外れに建てられた、古い塔。
1500年前に魔導士エウロンが倒した銀龍の群れ
その魂を祀る大きな墓場
骨身の塔内部には、未だ銀龍達の怨念が渦巻くと噂があり
150年に一度は盛大な鎮魂祭が、今もイスリールで開かれている
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「銀龍の骨ですね?わかりました。すぐに持って帰ります」
「よろしいのですか!!」
オグナの返事に喜ぶ王女
オグナにとっては、非常に面倒な頼み事だ。
しかし…オグナは断らない
金貨が凄いアイテムだと勘違いをしてる彼らを前に
その真実の卑猥さを、どうしても伝える事が出来ないオグナは、なんとも申し訳無い気持ちから、二つ返事で了承した。
まとめると
救国の伝説、エウロンのドラゴン狩り
イスリールにて、知らぬ者のいない物語
一体でも、たやすく国を滅ぼすとされる凶悪な銀龍
それを群れごと倒した英雄・魔道士エウロン
ボルドーからの侵攻を
英雄召喚によって食い止めた姫君
彼女の祈りに答え、国を救いに現れた人物
ー 伝説の英雄!魔道士エウロン!!ー
それが証拠に彼は銀龍の遺骨を持っていた
見れば納得!英雄エウロンその人だ!
これが王女の閃いた作戦で
「危険でございます!!!!
塔の中がどうなっているか、詳しく判ら無いのですよ!
もしかしたら、強力なアンデッドやゴースト達が発生しているやも知れません」
「たぶん大丈夫ですよ!どうにか出来ると思います」
心配するユッケとは対照的に、気の抜けたオグナの答え
「そうよ!オグナさんの強さはこの目で見たじゃない
あのキコルを簡単にやっつけちゃったのよ!」
「しかし…」
やはりユッケは心配そうだ。
「余程のモンスターでも、出ない限り大丈夫よ!
それこそ銀龍が生きていれば話は別だけど」
「それはそうですが…」
「では、そろそろ行ってまいりますね」
「待たれよオグナ殿!アンデット相手に素手は些か危険かと、触れれば毒や呪いにかかるやも知れません!武器庫に立ち寄り何か武器の用意を…」
「それには及びません、村を出る時、父から武器を頂いていますので」
「…どの様な?」
ユッケに聞かれ、オグナが側の青い包みの解く
中から出てきたのは、スッと削り出されシンプルな木の棒
(あっ…やっぱりコイツ バーサーカーだぁ〜)
と、改めて心に刻む2人であった。
城の門前まで案内されると
「ここを出ると、遠く正面に骨身の塔が見えます。
良いですか!誰にも見られ無い様に!」
「もし見られたとしても、必ずその姿でいなさいよ!」
「絶対に、絶対に、人前であのムキムキモードには、ならないで下さいね!」
「絶対よ!」
代わる代わる王女エレナとユッケに釘を刺されたオグナははい!と1つ頷いて
単身、骨身の塔へと乗り込んで行く




