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その6


____【英雄召喚】______


イスリールに伝わる、秘伝中の秘伝

王家の血を引く乙女のみが、

その魔法を可能とする


1500年前に、たった1度だけ

王女ルーラが使用し


英雄エウロンがその祈りに応え


イスリールを救ったと言う。


_____________________



襲撃から半日ほど

イスリールは慌ただしく

復興と次の戦いの準備を進めていた


まだ壁に大穴の空いた玉座の間

そこには襲撃を生き延びた、3人の人影があった。


ー ッゴホン!!

王女は軽く咳払いをし


「昨夜は見苦し所をお見せしました、バーサーカー族の戦士オグナ殿」


王女の顔には疲れよりも

どこか不甲斐ない自分を責めるように

暗く半笑いで沈んでいる


「そなたの働きに、イスリールを代表し〜感謝を…申し上げます…はぁ〜」


なぜか肩を落とす王女は、大きな溜め息をつく

昨夜の出来事が彼女の頭をぐるぐる、ぐるぐると

悩ませていた。



〜襲撃の直後〜


益荒男(マスラオ)となったオグナが呆気にとられている

2人に声をかける


「大丈夫か?ケガは……」

2人の顔は、どこかこの世の物では無い何かを

見るようである。


「おい…」

座り込む女性にオグナは手を差し伸べた


「ひぃいいいいい!!!!!!!!!」


耳をつんざく悲鳴!

驚き怯えた顔で、ダーっと女性は後ろに飛び退く


「へ!変!変態ーーー!!わいせつーーーーー!!犯される!!犯されるーーーーーーーーーーーー!!!」


(…………ん?変態?)


「お…おのれ!へ…変態!!姫さま!姫様はこのユッケが!命に代えても!お守りしますぞー!!!」


わなわなと震える2人


「…あのー…」と、戸惑うオグナ


「ギャーー!!」

2人が絶叫をあげる!


オグナは状況が良く飲み込めない

周りをキョロキョロ見回し

周囲には自分しかいない事を確かめると

えっ?

っと大きな、クエスチョンマークを頭に浮かべながら

自分自身を指差した。


ぐんぐんぐんぐん!!!!

と首を縦に振る2人


(俺かーーーーーーーーーーーー!!!)


絶句するオグナ

すっかり忘れていたが、

今の自分は、筋肉の大群勢が身を包む!筋肉の重戦車!

バーサーカーで、ある事を


(地元じゃ、みんなムッキムキだったから、忘れてたなぁ、その感覚…)


「あ、あの…」


「ギャーーーー!!!!」



〜そして、今〜



「巻き込んでしまい、申し訳ございません。」


なぜか肩を落としオグナに謝る王女。


「やはり姫様の魔法は失敗でござましたな。」


神官も肩を落としている。


「でも、ユッケ!召喚には成功しました。

確かにエウロン様では!!…ございませんでしたが…」


「左様でございますな!だから幼い頃より

あれほど苦手な魔術の勉強はサボらぬ様にと…あっ!

えーっ…オグナ殿とおっしゃいましたかなぁ?

此度は本当に助かりました、大変感謝しております。

その…褒美は後で使いの者に運ばせますゆえ…」


「いえ、アレは我が身を守っただけで…それよりも、どうして自分が…」


オグナの発言を遮るようにユッケが、すかさず口を挟む!


「いきなりコトで、申し訳ございません。

国同士の諍いに巻き込んでしまいまして…

言い難い事でございますが、姫様は昔から魔法の扱いが、若干苦手でございまして。

アナタ様を呼び出すつもりは、毛頭無かったのです。

今回ばかりは……何とお詫びを申し上げればよいか」


「もう一度…もう一度よ、英雄召喚を行うわ!ユッケ!」


「何を!姫さま」


「次こそは、大丈夫よ!」


「まぁ確かに昨夜のコトは…ぶっつけ本番でございましたし…失敗も致し方ない部分があったとは…思いますが」


「成功に決まってるわ!もう感覚は掴めたもの!」


「そうでございますねぇ…また直ぐにボルドーの者は国境を超えてくるでしょうし」


「善は急げよ、ユッケ!英雄召喚の準備を!

オグナさんは……その辺りでジっとしていて下さい。」


「いや…あの…」


部屋の中央の瓦礫などが、そそくさと片付けられ

張り切る王女が、さっそく祈りを捧げ始める。


「我は願う、彼の英雄を…」


床に魔力の光が走る


それを見ていた、オグナは、ふと思う。


(召喚魔法と言うより、あれは…転送魔法じゃ…?)


「来たれ!!」


煌々とした光が部屋に溢れる


ービカッ!!


「やった!」

王女の顔に笑みが浮かぶ


その召喚陣の中央に………………………オグナがいた!!


「なにーーーー!!!!」

王女がまた金切り声を上げる


オグナの顔は困惑そのものだ


「ちょっと邪魔しないで下さい!今は一刻の猶予もないのです」

王女の言葉に、しかめっ面のオグナ。


苛立たしげなユッケに押される様にオグナは部屋の隅に追いやられる。


再び英雄召喚の祈りを捧げる王女


城の地面に魔力の光が走る


するとオグナの足元もビカッっと光り


「来たれ!!!!!!!」


ボンっと、オグナの身体が召喚陣の中央に現れる


「もう!!!!!!何あんた?!!

アナタが凄い速さで走れるのは

戦いの時に見せていただきました!

だから邪魔をしないでください!!」


「こちらへ!!!!!!!」とユッケ


ついには、オグナを廊下に追い出して

バタン!!と大きな扉を閉めた。



釈然としないオグナが廊下を歩き始めようとした、

その時!!


足元の床が輝きを放ち


(…またかよ!!)


召喚陣の中央から現れるオグナ

ビービーと泣く王女

絶句のまま固まる神官ユッケ


「もうやだー!!」

王女の泣き声が城中に響いた



やだー!は、こっちのセリフだ、と

オグナは頭を掻いた


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