その3
所々崩れた洞窟、岩の下には壊れた機械の様な物が散乱している。
その最奥で煌々と魔力の光は放つ1つの容器
中に、三メートルほどだろうか大きな昆虫の様な生物が溶液の中に浮かんでいる。
その顔は人間の髑髏の様にも見える
その容器の前で片腕の無い異形な姿の生物が立っている
片腕どころか胴体の半分以上を欠損している様だ
もうその命は長くて無いであろう、立てているのが不思議なぐらいだ
ー 失敗したか ー
異形の頭に声が響く
「ギギギ…」と声をあげ異形はバタリと倒れてた。
死体は人間の姿に形を変えている。
ー やはり10番台のナンバーズでは歯が立たないな… ー
ポコポコっと溶液が泡立つ
ー 行け、必ず28号を殺せ ー
8つの影が洞窟から飛び出して行く。
ー 28号…必ず…必ず…殺す…ー
さらに泡立つ容器
ー この体が完成すれば、お前など… ー
〜郷の宿屋にて〜
「成る程な…」とオグナ
向かいに座る女性に話を続ける
「で、なんで命令に背いたんだ?」
「さぁね、なんでかな…姿が似てるから…とか…わかんないけど…とにかく人間は殺したく無かった…」
女性は表情暗い
彼女の話では、
自分は、Dr.アリマによって生み出された人造人間の1人であり、
生命エネルギーを摂取し続けなければすぐに老化し死んでしまう失敗作とのこと。
Dr.アリマの命令に背き、研究所から逃げ出し追われていた所をオグナに助けられたそうだ。
魔力カプセルから出て、かなりの時間が経過しているのに、まだ生きているのが信じられないと語った。
しかし今の彼女は、すこぶる健康体だ
オグナの生命エネルギー、彼女が言う所の【生命力】を取り込んだ事によって
お肌はぷるぷる、髪はサラサラ、腹筋はバキバキの状態
オグナの生命力の影響で肉体が変異し筋肉質な体つきに変化している。差し詰め女性格闘家とでも言う様な筋肉の付きっぷりだ。
「で、コレからどうする…」
「こっちが聞きたいよ…どうしたいんだろ、私…」
「いや、そう言うんじゃ無くて」
ん?と不思議そうにオグナを見る女性
「服は買いに行くだろ!先に下着かな?いや、先に武器屋でマントとか買って…」
「何を…言ってる?」
「え?だから、コレからどこに行くかって話し、武器屋か服屋か…」
「えっ?」と困惑の色を強める女性
「だから、何を…」
「俺は!あんたが、どう生きたいかなんて知らねぇ!けどな、服を着なきゃ何処にも行けないだろ?その上着は俺のだし…着替えはさっき破れたし…よし!」
パンッ!と両膝を打ち 立ち上がるオグナ
「まぁ…ちょっと待ってな!取り敢えず、マントかローブ買ってきてやるから」
おもむろに部屋を出ようとするオグナ。
「待ちなよ!何んで助けてくれるのさ!私は人間じゃ無いんだよ!」
「そうか…でもな、オレは助けた人をすっぽんぽんのまま歩かせる程バカじゃ無いんだ」
バタンと扉を閉めて、オグナは出て行く。
「変な奴…」と女性は独り言ちる。
程なくして革のサンダルとローブを買ってオグナが戻って来た。
「はいよ!コレに着替えな…そう言えばあんた名前はあるのか?」
「名前?実験体28号」
ローブに着替えながら女性が答える
「ふーん…なんか別の名前とか無いのか?」
「別の名前?」
「実験体28号、それって人間が『私の名前は人間です』って言ってる感じだろ?」
「でも28号としか言われた事が無い」
「んー呼びにくいなぁ。」
「じゃあ、好きに呼べば?」
「ま!考えとくわ」
ー きゃあああ!!ー
郷に響く、女性の悲鳴!!
異変に気付き部屋の窓から外を見るオグナと28号
「…こいつは違うな」赤い肌に真っ白な髪。
その足元には、大斧に叩き潰された女性の死体
「遊ぶな、20号…28号の情報は既に頭に入ってるだろ」
「あ?てめぇにゃ関係無ねぇだろう?指図するな26号!!」
大斧を肩に担ぎなおす20号
と、それを冷ややかな目で見つめる26号と呼ばれた執事風の男性。
「20号、ズニノルト26号ニ殺サレル」
巨大な体つきの大男。その皮膚は継ぎ接ぎされたのか
まばらな色をしている。
「いいんじゃない?殺したって!目撃者は減らしたいし」
大男の右肩に座るボンテージ姿の女性が長い爪を気にしながら喋りかける。
ー 貴様ら!!! ー
ー うおおおお! ー
異変に気がついた数人の冒険者数名が、
その者達に刃を抜いて飛び交った!
「これこれ」突如現れた長い髭の老人
老人の垂れた眉が片方上がり、ギンッ!と瞳が光る
ブジャッ!っと音と共に
冒険者達の体が絞られた雑巾の様にギュルギュルと捻れる
「ジジイ!格好付けてんじゃねぇぞ!」
と、怒鳴る20号に
「ほっほっほ!ジジイとは、これ心外!ワシは27番目、皆さんより、ちと若こうございますよ」
老人の発言が気に食わなかったのか、ボンテージの女が口を挟む
「なんだい?27号!それじゃアタイをババアって言いたいのかい?」
「そうとは言っていませんよ、22号さん」
ほっほっほと笑いながら、老人は女を煙に巻く
「…ババアじゃん」と鼻で笑い呆れ顔の少女、その体には長いトカゲの様な尻尾
「あん?25号?あんたよっぽど殺されたいみたいだね!」
ボンテージ姿の女の髪が炎に変わる
「ババアはババアだろ?」
25号と呼ばれる少女の尻尾がビシっと しなり、地面を砕く
「皆やめないか、遊ぶなと言っている」
26号は静かに2人を諌める、その殺気のこもった声に渋々したがう2人
「喧嘩ヨクナイ、ソレニ22号ハ、トテモキレイ、ババアジャナイ!」
「良い子だねぇ21号」
巨体の男の頭を撫でるボンテージの女性
「キモ…一生やってろ」
尻尾の少女は、やはり呆れ顔だ
そこに2人の新たな影!それが空中から現れる
1人はスタッと降り立ち
もう1人は空からふわふわと、ゆっくりと地面に降りてきた
「どうだ」と報告を聞く26号
「…………」
先にスタッと現れた青年は無言で首を横に降る、
その顔には目が四つあり
口元は立てた服の襟で見えない
「こっちの郷もいなかったぜ」
ゆっくりと現れた長髪の男性、ひょろりとした背丈
猛禽類の足の様な手で伸びた前髪を搔き上げる
「そうか…やはりここか」
よく見れば、今 来た2人の服には、所々に血の跡が付いている、28号を探すため、近くの郷を襲って来たのだろう
「…アイツら」
窓から見ていた28号
「ありがとな兄ちゃん、助けてくれて」
窓枠に足をかける
「オグナ!俺の名は、オグナだ!」
「ありがとう、オグナ!」
パリンと部屋の窓硝子を割って28号が飛び出していった。
___________登場した人造人間について___________
20号:大斧を持つ赤肌 の男、オーガと人の人造人間
21号:巨体でカタコトの男、オークと巨人の人造人間
22号:ボンテージの女、エルフとサラマンダーの人造人間
23号:後から来た長髪の男、ハーピーと竜人の人造人間
24号:四つ目の無口な青年、 蟲人と鉱石の人造人間
25号:尻尾の少女、ドワーフとドラゴンの人造人間
26号:リーダー格で執事風の男、ヴァンパイアと人狼の人造人間
27号:長い髭の老人、デーモンとドライアドの人造人間
_______________________________________________




