No.1臼井教について
初めて小説を書きます。良かったら読んでいってください。誤字脱字は許してください。
あれは確か、高校入学に失敗したって気付いた頃、期末テストが明けて7月上旬、全国的に真夏日を観測して、日本国民全員が夏を感じたあの日。俺は、その子と出会った。そこから総べて始まったって言えば都合がいい。別に俺じゃなくても何も変わらない。結末は違えど、道は同じ。でも、俺だから辿り着ける場所がある。これは、そういう物語。
暑い。とにかくそれだけ。詳しく説明したら蒸し暑い。先日、今年に入って最初の台風が通り過ぎ、雲ひとつない空。アスファルトは所々濡れており、そこに午前8時の日光が当たり、梅雨独特の嫌な臭いがする。雨が上がって喜んでるのか、虫が鳴いてる。
俺こと臼井教は、この油断したら溶けるような暑さの中、約3カ月前に入学したO高校の制服を身に纏い、駅前のコンクリートの上を歩いてる。周りにはそこまで人はいない。
このO高校に通うには3つの交通手段がある。バスと車と電車だ。大抵がバスで、電車から来るやつはそこそこ遠い所から来る。車で通ってる奴らは電車が通ってなく、歩いたり自電車で通学しようとすれば帰宅部でも鍛えられる距離から通ってる奴ら。俺は電車通学。
言えばここは田舎と呼ばれる所で、駅前に遊ぶ場所か無ければ、コンビニすらない。空気が美味しいとか夜空が綺麗とかよく言われる感じの田舎。少し進めばレトロな古めかしいゲームセンターがある。電車通学の奴らは帰りはこのゲーセンで時間を潰して電車を待つ。その電車も大体は1時間に1本。4両編成で、いつも空いてる。駅から学校までは30分程度。偏差値はまあまあ、進学校で、運動部は柔道とフィールドホッケーが強い。そんなどこにでもありそうな高校に通ってる俺は、もう辞めようかな、と少し進んだところにあるゲーセンに足を運んだ。ゲーセンの名前は「ゲーム北島」
「ちは〜」
と、俺は覇気の無いあいさつをする。
「おー、またサボりかー」
店長の川喜田さん。暑さのせいか、いつもより元気がない。
「えぇ、まあ」
「程々にしとけよー」
返事はせず、いつもの格闘ゲームの前に座り、100円を入れてゲームをする。ちなみに今日は木曜。俺はいつも木曜日にはこのゲーセンで1限の保健体育の授業をサボってから学校に行く。故に同級生からは変な目で見られたり、呆れられたりする。理由は簡単。至って簡単だ。
俺はいわゆる田舎の不良という奴で、入学する時にはなんか有名になっていた。きっかけは春休みに別の都会の高校の先輩達と喧嘩したのだ。それが広まった。あることないこと全部。世の中狭いなぁ、と思った瞬間だった。
そして、忘れもしない1ヶ月前の木曜日。保健体育の授業でのこと、授業担当の教師が1枚のプリントを配った。その内容とは、暴力についてのプリントだ。多分ワザとだと思う。直感が言った。不良についてどう思うかーとか、戦争がどうたらこうたらって、いやそれ保健体育じゃねぇだろ。なんて思いながら、プリントを書いた。反論は出来ない。喧嘩があったのは事実だし、いくら本当の事を大声で叫ぼうが、きっとクレーマーの対処が如く流される。学校とはそういう閉鎖的な社会なのだ。
そういうことで、俺は空気を読み、木曜日はサボることにしたのが3週間前。元々不定期に通ってたこのゲーセンに、定期的に来るようになってしまった。
とは言うものの俺はそこまでの不良ではなく、(自分で言うのもどうかと思うが)目が合っただけでバトル吹っかけてくるRPGの雑魚キャラみたいな事はせず、ただ売られたものを買っただけで、何も無ければ何もしない、人畜無害な人間だ。売られたものを買ってしまう器の狭さを自覚してるし、直そうと思ってる。しかし、こうやってサボってるのを見ると、弁明の余地はないな。
こうして、俺、臼井教の高校生活は始まり、また終わろうとしていた。
読んでくださり、ありがとうございます。こんな感じでマイペースに書いていくので、次回もよろしくお願いします。