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泥中のおたまじゃくし  作者: しらたき
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"あいつ"の死

「もし死ぬなら、どんな死に方がいい?」


麻雀をしながら他愛もない話をする。それが私たち"クソ大学生"の日常だった。大学3年生の1月、特に意味もなくこの話題になった。


「飛び降り自殺かな。体が地面に達するまでに意識を失うから、恐怖も痛みも感じないらしいし」


牌を切りながら、私は小学生の時に聞いたことのある拙い知識を披露した。なんの根拠もない話をドヤ顔で。


「俺は人の身代わりになって死にたいな」


私の右隣で麻雀を打つ田村が、捨て牌を考えながら言った。


「ドラマとかでよくあるじゃん。道に飛び出した子どもを庇って…とか」


そう言い切ると、田村は牌を切った。


「首を吊って死ぬ」


私の正面に座る"あいつ"はそう呟いた。


「なんで?一番苦しそうじゃない?」


死ぬなら楽に死にたいと考えていた私は、"あいつ"に疑問をぶつけた。"あいつ"は牌を捨てながら答える。


「誰にも迷惑をかけずに死ねる。それに…」


「ロン!」


私の左隣に座る松木の甲高い声によって、この話題は終了した。


この3ヶ月後、"あいつ"は自殺した。宣言通り、首を吊って。

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