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泥中のおたまじゃくし  作者: しらたき
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プロローグ

あの日、私は長い夢を見ていました。


それは非常に混沌とした、掴みどころのない内容でした。


もちろん、元来夢というものはそういった性質であって、あのときに限るものではありません。


しかし、眠りの数だけ生まれ、眠りの数だけ死んでいくはずの夢の中で、唯一あの夢だけは、私の頭蓋骨に彫り込まれたまま、決して消えることはありませんでした。


それどころか、その記憶という名の刺青は、時間の経過とともに急速に濃さを増しているように思います。


パレットにこびりついた絵具が、次第に乾いてとれにくくなるのと同じように。


私はあの筆舌に尽くしがたい苦痛を、夢という仮想世界で経験したとはとても信じられないのです。


体中の細胞がそれを現実と認識し、同時に拒否していました。


しかしそれは先ほども述べたように、どろどろとした液体のような、掴みどころのない世界でした。


どこから始まり、どこで終わりを迎えるのかもはっきりしていません。


私はその液体の中をもがきました。


もがいて、もがいて、もがき続けました…


ふと気がついたとき、私は目覚めていました。


そして、


私は私ではなくなりました。

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