プロローグ
プロローグ
その日おっさんはD〇〇から届いたサマーセールの広告メールを見て、2次、3次、ジャンルを問わず、おかずの物色をしていた…。その目は真剣で、真摯である。その情熱を仕事に傾ければ成功者への道も開けるであろうことは疑いない。だが哀しいかな、彼の人生でエロ以外にその情熱傾けられることはなく、ビール片手にビール腹をゆらすのみである。
そして「エロゲーもあり…か?」この世で最も価値のない呟きをし、新しいジャンルを開拓せんと、購入ボタンをクリックしたのであった…。
そして…
ん?ここはどこだ?おっさんがそう思わずにはいられないほどの光景がそこにはあった。
草原。前後左右、360°草原である。つい先ほどまでPCを前に座っていたはずなのに、突然の緑。おっさん大パニックである。
「うぇあ!?な、なん、え?…んんん??、何が起きた!?」そして自分から出た声にさらに驚く。よく響く、りりしくも可愛らしい声。間違っても40を過ぎたおっさんから出る声ではなかった。
おっさんの混乱はつづく。目の前の光景、自分から発せられたであろう声。少しでも冷静になろうとおっさんは状況把握に努めるが、明らかに自分のものではない細い手足。自分の腹ではなく、胸によって足元が見えない視界。座っていたはずなのにいつの間にか立っていること。大小さまざまな疑問が次々に頭をよぎり、結局1時間程かけ、なんとなくの自分の現状を把握する。
場所:見知らぬ草原。
自分の姿:女性。金髪ポニーテールで、あまり役に立たないであろう見た目だけ豪華な鎧を身に着けている。腰にはおっさんだった時でも持ち上げられないであろう、装飾華美な大剣がつってある。そして何より…
巨乳。巨乳であります!圧倒的質量!鎧の上からでもわかるほどの巨乳!もみたい!一心不乱にもみたい!でも、鎧が外せない!畜生!ど畜生!「畜生があああああああ!」思わず叫ぶおっさん。
はぁ、はぁ、はぁ、とひとしきり叫んで息が切れたおっさんは今後の行動方針を考える。自分の姿は今は考えないとしても、ずっとここにいるわけにもいかない。恐らくここにいても問題は解決しないであろう。草原からする緑の臭いも、自分からしているであろう匂いも、五感で感じるもの全てが本物であると告げている。ならば現実である。おっさんは仕事ができるほうではなかったが、それでもこの歳まで会社に奉仕してきたのである。何をすべきかくらいは判断ができた。
「草原に切れ目が見える。たぶん街道か何かだろう。進もう」そう口にして、自分の行動を決めた。まともな文明が無いかもしれない。そんな不安を断ち切るように草原の切れ目を目指す。
「この剣かるいなぁ…」そんなことを呟きながら。
不定期。思い付き更新。FF14忙しいので更新遅め。