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悪役令嬢、断罪への手引き  作者: 翠雨
第一章 王立学園生活の始まり
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第一話 我が家の秘密と突然の知らせ

処女作です。

よろしくお願いします。


お手数おかけ致しますが、誤字脱字等ありましたら、ご指摘お願いします。


レイデル親子の魔法適性を火から水へ修正いたしました。

「ふわぁ、」


爽やかな春の朝だった。


カーテン越しの朝日が部屋を柔らかく照らしている。


気持ちの良い朝だなぁ


私は、体をベッドから起こし、あくびをした。


私の名前は、ラヴ・ユトリア・レイデル。


この世界に三つ有る大陸の内、イゼルア大陸にあるパレスエルテ王国、レイデル辺境伯家の次女だ。


レイデル辺境伯家には、一つ大きな秘密がある。


其れは、

辺境伯という、高い地位を持ちながらド貧乏なことである。


何でそんな矛盾がおきたか、そもそもの始まりは、私が4歳の頃。


今からちょうど、10年前に起こった、大事件だった。


元々、我が家の領地は、自然豊かで有名な土地だった。

広い領地の殆どが、山や森や湖だったのだ。


資金源は、豊かな自然の中で採取出来る、珍しい薬草や果実、花々。

数は少なくても、かなりの高値でうれた。

そのため、採集を生業にする者はおおかった。


勿論、自然の中には危険な動物や魔獣などが出る。

なので、そういった山や森などで植物を採集する仕事をしている者はかなりの実力を持っている。


平民にしては、魔力量の多い領民も多く、「レイデル辺境伯領の領民は下手な冒険者より強い」と、言われる事もある。


そんな平和な領地の山奥、レイデル辺境伯家が、ド貧乏な生活を送る理由になった事件は、誰にも気付かれず、密やかに、でも確実に始まっていたのだ。


それは、何の変哲もない、いつも通りの朝だった。


だが、その朝は何かが違った。


なんと、一晩にして、レイデル辺境伯領の全体が、森になっていたのだ。


原因は、レイデル辺境伯領の森の奥深く、一際高い山で樹の植物神の名を冠した『神樹レトゥレリィト』が生まれていたからだった。


植物神の加護は凄まじく、神樹は芽を出した途端に成樹に成長し、まわりの植物もその恩恵を受けて、一気に成長したのだった。


いきなりの植物の大発生にレイデル辺境伯領は大混乱に陥ったが、迅速に調査隊が送られた。


それによって、神樹が発見されたのだが、それによって、もっと困った事が起こったのだ。


それは、国王陛下の命により、神樹とその周辺の植物の過度の伐採が禁止されたことだ。

その決定自体は、神樹の周りにある貴重な霊草などを保護することや、眷属を狩られたことで神を怒らせないためにも必要であったため、何も問題はないのだが、問題はその神樹の周辺の範囲が、レイデル辺境伯領全てに設定されている事だった。


領民の住居を確保しようとすると、如何しても樹木を伐採しなければならない。

しかも、辺境伯領なので、その広さに応じて人口も多い。

つまり、領民の住居を確保しようとすると、過度な森林伐採になってしまうのである。


また、それとは別に領民の住居区域にまで森が広がったことにより、普通は人里に現れないような強力な魔物が現れるようになったのだ。


それにより、今までは領民が倒せた魔物が倒せなくなった。


勿論、冒険者ギルドの斡旋で多くの冒険者がレイデル辺境伯領にやってきてはいたが、それでは魔物が狩りきれなくなっていたのだ。


よって、レイデル辺境伯領では、植物を伐採せずに住居を確保出来るように自然と共存しているエルフ族の建築士を呼び、強力な魔物と戦えるように、領民を指導するための学校を設ける事になった。


だが、それには多大な金がかかった。


確かに、年をおうごとに魔力を帯びた霊草などが採集されてレイデル家にも収入源ができたり、国からの支援もあったが、それでもぎりぎり辺境伯家という地位に見合う財力を周りに形だけでも見せる事しか出来なかった。


その“形だけ”という物にもかなりの金がかかる。


そんなわけで、我が家は辺境伯という高い地位を持ちながら貴族の中でも一際質素な生活をするようになったのだった。


それを秘密にしている理由だが、簡単だ。

神の加護を受けた神樹のある領地を治める辺境伯家がド貧乏だと知れたら、国の中央の高位貴族からの圧力で領地が奪われる可能性があったからだ。


まぁ、今は平和に暮らしているわけで、あと数年すれば領民への支援も必要なくなる筈だし、特に気にする必要はない。

あと数年、ばれなければいいのだ。


そろそろ起きよう


私は、軽くのびをして、ベッドから降りた。


顔を洗い、一人で着替えてから部屋を出る。

切り詰めている我が家では、使用人も最低限、厩番・料理人・メイドを一人ずつしか雇っていないので、着替えるくらいは一人で出来る。


辺境伯家の無駄に広い屋敷の廊下を歩いて、一階に向かうと、朝食の匂いがした。


我が家は辺境伯家と言うことで、威厳を見せるという意味で最低限、植物を伐採して、家の状態を保っているので、領民の樹木の上やうろ、地下を利用して作られた家とは規模の違う大きさをしている。


しかも、貧乏といっても周りを植物に囲まれているので、食材には困っていないし、魔物の肉もあるので、毎食、美味しい物にありつけている。


食堂では、藤色のワンピースを着た母、ヴィオレット・テトニア・レイデルが眠そうな顔をしながら食器を並べていた。


母は、辺境伯家に嫁いだだけあり、社交界の麗花と讃えられた、元侯爵家の令嬢だ。

美しい銀髪に青みの強い紫の瞳を持ち儚げな雰囲気の、たとえ食器を並べて

いたとしても絵になるような美女だ。


だが、華奢な見た目と雰囲気に合ずかなり気が強く毒舌で、大抵の家事は一人でこなしてしまう。


たしか、令嬢時代の二つ名は『紫薔薇の姫君』で、特に性格は薔薇の棘のようだと言われたとかなんとか。


今は大部丸くなり、棘々しい態度は父にしか取らないのだが、

「おはよう御座います、母さん。眠そうですね。父さんは如何したんです?同じ寝室ですよね。」

挨拶をすると、母は振り向いた。


「おはよう、ラヴ。今日もあの馬鹿に似てきらきらしいわね。あの馬鹿、起こすと五月蠅いから寝かせたままよ。喋らずに、ずっと寝てれば良いのに。」

今日も父さんへのあたりが強いですね、母さん。


母さんの願いは通じず、私の父親であるノア・ドゥーン・レイデルが食堂に入ってきた。

大きめのシャツにズボンというラフな格好だ。

「おはよう!愛する我が家族。今日も美しいよヴィオレット。何故、顔はヴィオレット似なのに男らしいのだい?ラヴ。」

母に放置されたことを忘れ、さらっと私のことをけなした騒々しい父に、母と私は嫌そうに顔を歪めて

「今日もウザいです(わね、あなた。)(ね、父さん。)」

と、言い放った。


父はぱっと見、

毛先に向かって強大な魔力により黒に染まっていく背中までの灰銀の髪を緩く編み込み、

赤みがかった銀の瞳を持つ、無表情なクール系の美青年なのだが、

家の中ではかなり残念な言動の、残念美形だ。


私も魔力量が多く髪が途中から黒い魔力に染まっている。前々から不思議に思っていたが、私の容姿は色彩は、髪色以外は父似であるものの、顔立ちは母そっくりなのに、父似だと言われるのは何故だろうか?


因みに、魔力の色と属性の適性は関係ないらしく、『火』『風』『水』『土』『光』『闇』の六種類の属性のなかで、父と私は、『風』『水』 『光』『闇』の四種に適性を持っている。


私と母の言葉に肩を落とした父は、次の瞬間

「いやぁ、二人とも。父さん頑張ったんだ。もう少し労ろうよ。」

何事もなかったかのようにヘラヘラと笑いだした。


「『頑張った』って、どういう事ですの?」

母が首をかしげた。父は、今思い出したかのように、手を打ち

「あぁ、グレステラ公爵家からクロステア・セフィア・グレステラ嬢の訪問の話が来ていてね。一ヶ月近く滞在するって言うのを、怪しまれないように少しずつ縮めていって、七日で済ましたんだ。はぁ、あっちが疑り深いから大変だったよ」

と言った。


は、公爵家のご令嬢が来る?家に?

え、此ってかなりヤバいんじゃないんか

ちょっと、考えただけで、金がかかることが、次々に浮かんだ。


一瞬、空気が固まる。これは嵐の前の静けさという奴だろうか。私には想像出来てしまった。


「ノア・ドゥーン・レイデル!!そういう事は早く言いなさい。

公爵令嬢が七日間来るですって?

しかも、クロステア・セフィア・グレステラ公爵令嬢といったら王太子の婚約者じゃないですの。

もてなし、使用人、警備も強化しなくては。

いったい幾らかかると思ってるんですの?

私達も恥ずかしくない格好をしなければいけないんですのよ。

我が家の家計のことわかっていますわね。如何するんですの?

この馬鹿!!いえ、愚か者!!!」


あぁ、やっぱり。


どうしよう。この麗らかな春、我が家は早速ピンチです。


観閲ありがとうございました。

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