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霊媒師募集  作者: たまこ
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第二十章 霊媒師 瀬山 彰司ー101

V系さんは眉間にシワをめり込ませ、ボキボキ指を鳴らしながらドカドカ歩いてやってくる。

そして僕を隠すみんなに向かって大声を張った。


『お前らそこどけ! アタシはそこのにーちゃんに用があるんだ! 小僧のクセして喧嘩を売るとは大した度胸! 度胸に免じて祈る時間をくれてやる! さぁ祈れ! 祈った後にボコってやるから!』


えぇぇぇぇ!

”祈れ”って!

それって映画でよく聞くセリフ!

そう言われた悪役は、そのあとガチでボコられるんだ!


「あのっ! その待って! 悪気とかぜんぜんないし! 喧嘩を売ったつもりもないし!」


しどろもどろで弁解したけど、V系さんは止まらない。

みんなはガードを固くして僕を守る気満々だ。

ごめ、みんな、ほんと、ごめん! 


『なんだお前ら、そこのにーちゃん庇うのか? だったらまとめてボコってやるよ!』


とうとう傍に来ちゃったV系さんは、そう言って凄みをきかす。

てかなんだこのひと、めちゃくちゃ短気だ。

や、そりゃあ僕が悪いけど、それにしたって短気すぎ!


とそこに、僕らのポニテのいぶし銀、中村さんが前に出た。


『待ってくれ、今のは確かにこちらが悪い。だが許してやってくれないか? うちの岡村は霊力者だが目が特殊なんだ。目視だけでは生者と死者の区別がつかん。霊力ちからを放ち、岡村と繋がれば死者、繋がらなければ生者。視分ける為には毎回これをしないと駄目なんだ』


そう言われたV系さんは、


『あ、そういやそんな話を聞いたような、』


え、誰に? 

頭に疑問が浮かんだけれど、中村さんのナイスな取り成しのおかげをもってV系さんはヒートダウン。

こ、これは謝罪のチャンスだ!


「あの! すみませんでした。さっきの放電、うちの中村さんが言った通りなんです。僕は霊媒師だけど新人で、生者と死者の視分けがつかない。それで毎回放電するんです。あなたがどっちなのか知りたかった。だけどすみません、腕、痛かったですよね」


みんなの背中をすり抜けて、V系さんの前に出て、顔はまともに視れないけども、すみませんと頭を下げた。

正体不明のガラの悪い女性だけども、不思議な事に嫌な感じはしなかった。

それどころか……信じがたい事だけど、ヘンテコな親近感さえ湧き上がる。

だからだろうか、僕は素直に謝れたんだ。

とはいえ相当怒ってる。

きっと1度の謝罪じゃ許してくれないだろうと思っていたのに、その予想は裏切られた。

V系さんはガハハと笑い、


『お、ちゃんと謝るのか。わかった、許す!』


とアッサリ許してくれた。


え、いいの?

あんなに怒っていたじゃない。

許してくれて嬉しいけれど……なんだろ、すっごく調子が狂っちゃう。


さっきまでの重たい空気がかき混ぜられて、僕もみんなも呆気にとられて彼女を視てた。

注目を浴びているにも関わらず、気にもしないV系さんは突如大声を出したんだ。


『あっ! いたいた、ジョージ! モッチー!』


えっ!?


思わずみんなで顔を見合わす。

ジョージ? モッチー? 誰の事? ……って、消去法で言ったらもう、


『トモちゃん!』

『トモさん、』


答えたのはレジェンド2人、先代と瀬山さんだった。


当然僕らは戸惑った。

すこぶるザワつき、V系……いや、トモさん?(2人がそう呼んでいた) と、先代達をガン視する。

3人は知り合いなのか、近付くと仲良さそうに話を始めた。


『そろそろ呼ぼうと思ってたの。ちょうど良かった』


と、ニコニコ笑うは先代で、おそらく”モッチー”の方。

たぶん苗字が”持丸”だからと予想した。


『いきなり喧嘩しそうになるんだもの、ドキドキしました』


と、優しく笑うは瀬山さん、……なんだけど、なんで”ジョージ”? 

まさかと思うが名前が”彰司”だからかな?

それを文字ったとか言っちゃう?(多分言うんだろうな)


『あははは、悪かったよ。でもさ、いきなり腕刺されたんだぜ? そら頭に血ものぼるだろ!』


と、豪快に笑うはトモさん、てか誰?(疑問数度目) 先代達とどういう関係?


頭に疑問符が飛びまくる中、そこにさらならる燃料が投下された。


『うなぁん♪』


僕の愛しのスィートエンジェル、大福姫がカーゴパンツに霊体からだをすり寄せ目をパチパチ、そう、親愛を示しているのだ!(猫の瞬きは”オマエ好き”の意味で……ry)

えぇ!?

なんで!?

姫のオトモダチなの!?


ど、どういう事?

トモさんの正体は?

僕はとうとう我慢の限界、3人と1ニャンの間に割って入った。


「あ、あの! 先代、瀬山さん、こちらの方は……?」


乱入と同時に質問してみた。

僕の後ろでみんなも答えを待っている。

『紹介がまだでしたね、この子は、』と先代が言いかけて、これで疑問も解消だ、なんて思っていたら、先にトモさんが話し出したんだ。


『あー悪い悪い。アタシ、アンタらの邪魔したな。深刻そうに話してたのに悪かった。もう邪魔しないから続き話してよ。えーっと、なんだっけ? 滅する滅さないだっけか。アタシ、うえでずっと視てたんだ、』


ここまでは軽いノリだった。

悪いだなんて思ってないよね? な半笑い。

だけどこの後、声のトーンが一段下がり……


『そこの茶髪のにーちゃん以外、他は全員悪霊だろう? 

なぁ、アンタら今まで何人の生者を襲った? ____なあんてな、本当は全部知ってるよ。酷いねぇ、随分な数だ。怪我人が山になって積み上がる、まるで被害者のバーゲンセールだ』


半笑いは変わらない、が、トモさんの目が射るように鋭くなった。

再び空気が変わる。

さっき僕に怒鳴っていたけど、そんなのが比べ物にならないくらい____

場は凍り、そして張り詰めた。










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