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霊媒師募集  作者: たまこ
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第八章 霊媒師弥生-11

「社長!質問があります!」


運転席で忙しくギアチェンジをするスキンヘッドは真っ直ぐ前を見たまま嬉しそうにこう言った。


「お、ようやく学ぶ気になったか」


ようやく学ぶ気に?

なんてこった……!

社長は僕が自主的にお祓いの質問をするのを待っていたのだ。

なんだか僕は恥ずかしい。

弱気な事ばかり考えて、大先輩である弥生さんが悪霊のみなさんを怒らせたら、事がややこしくなると、そんな心配ばかりしていた。

こうやって質問する気になったのも、大福を守りたい一心な訳だし。

だけど理由はどうあれ、頑張りたい気持ちに偽りはない。


「エイミー、コツが知りたいんだろう?」


そんな僕の1人反省会を遮って、先手を打って導いてくれる。

社長はやっぱりスゴイ人だ。


「いいか、まずはコレを聞け」


言いながら素早い動作でギアチェンジをする。

ガッ!ガッ!とギアレバーが音を上げ、同時にエンジンが唸る。


ブォン!


グオォォォォォォォォンッ!!


「な?このエンジン音。これを聞けば、車こいつの言いたい事がわかるだろ?」


ん?

ん?ん?ん?

よくわからない、、、


「こーゆーさ、峠道ってカーブの連続だけど、」


ん?

ん……ん?


「カーブはちゃんと減速しねぇとスピンすっかもしんねーじゃん、」


あー

はい?


「かといって、これだけ連続した下りカーブで、フットブレーキだけに頼りるのは車体に悪影響が出る。そこでだ、シフトダウンで減速すんだよ」


シフトダウンってなに?

車を使ったお祓い方法?


「お、またカーブきた!エイミー見てみろ、今4速だろ?これをクラッチ踏んでギアを3速にさげるんだが、」


ガッ!


僕の目にはどれが4速でどれが3速かわからないけど、どうやら今、変わったらしい。


「で、この時一回、」


ブオォン!


「こうやってアクセルを軽くひと吹かしさせれば、4速から3速にダウンさせた時、車体の動きが滑らかになるんだ。このひと手間をはぶくと、強いエンジンブレーキがかかって車体は揺れるわ、ミッションをはじめとする駆動系に負担はかかるわ、いい事無しだ。で、カーブ後半でまた加速させる、と」


ガッ!


グオォォォォォォォォンッ!!


「な!これがエンジンブレーキだ。シフトダウンだけで減速したろ?峠道だしフットブレーキばっかりだと摩耗熱でそのうち利きが悪くなる。なによりこうやってエンブレきかすと、車コイツ良い声で唄うんだよ」


エンブレ……?摩耗熱……?

えっと……これって、もしかして、お祓いと関係なくない?


「あれ?エイミーなに黙ってんの?わかりにくかったか?もう一回やるか?何度でもいいぜ?」


と、嬉々として次のカーブにそなえる社長。

僕は慌ててこう言った。


「や!ちょっとすみません!一度整理させてもらっていいですかね?」


「おう!なんだ?」


「あの、これって廃病院でのお祓いと、なんか関連性があるんですか?」


「お祓いと?いや?なに言ってんの?あるわけねぇだろ。え?つか、おまえ、俺に質問って車の事じゃないの?」


「や……ちがいます」


「じゃあ、なに、もしかして仕事の話だったのか?」


「はい、まぁ、そうです」


「えぇ!?マジか!てっきり車の事かと思ってた!」


本気でビックリ!みたいな顔の社長は、それでもまだ一方的に車の話を続けている。

あぁ、そういえば。

前に先代が言ってたな。

____大体清水君は車の話になると長いんだよ。先月だっけ?せっかく女の子とドライブに行ったのに、ずーーーーーーっと車自慢しちゃって、それ以降連絡取れなくなっちゃったのは、


って。


これかー!

こりゃ確かに女の子は戸惑うわー!

てか、僕も充分戸惑ってますしー!


一度火がつくと止まらない、社長の車トークはそれから延々、現場に着くまで終わらなかった。


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