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霊媒師募集  作者: たまこ
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第八章 霊媒師弥生-2

「ばっかだなぁ、エイミー。休みボケで忘れたのか?会社には結界が張ってあるって言ったじゃん」


……言ってた。


「その猫、死んでんだろ?幽霊猫なんだろ?生きてねぇんだろ?」


……うん、そう。


「じゃあ、結界に弾かれるわな。ここに入れるのは生者だけ。ま、例外でジジィだけは入れるけどよ、それ以外の死者は人も動物も入れねぇよ。しかもちょうど今、結界の為の電流補充したとこだからな、強力なのが張られてるぜ?」


……そうでした、忘れてました。

……大福、ごめんよ、痛かったかい?目を開けて、、、

……馬鹿な下僕でごめんね、、、


「うわぁぁぁん!!大福ぅぅぅ!!ごめんよぉぉぉ!!死なないでぇぇぇ!!」


「いや、死んでるだろ」


「うわぁぁぁん!!えっぐ……えっぐ……そりゃ死んでるけど……死んでるけど……だけど、こんなん僕のせいだ……大福ぅぅぅ!死なないでぇぇぇ!!」


「ばっ!ちょ!待て!落ち着けって!大丈夫だから!死んでるけど、死んでねぇから!」


「……」


「あ、泣きやんだ」


「死んでないって本当ですか?」


「ああ、死んでるけど、死んでねぇ、って、ややこしいな」


「じゃあ、目を覚ますんですね?いつ?何分後?」


「”何分後”ってメンドクセ……いや、なんでもねぇ。てか、おまえ、猫好きだとは聞いてたが、猫絡むと人変わるな。何分後かはわかんねぇけど、そのうち目覚めるって。心配すんな」


「そのうちって……いつなのぉぉぉ!?心配なんですけどぉぉぉ!!」


僕は自分の不注意で大福に痛い思いをさせてしまった事でパニックになっていた。

だってそうだろう?

僕は大福を一生大事にするって誓ったのに、なのに自分のせいでこんな事になってってしまったのだ。

会社の結界。

これをすっかり忘れて、幽霊である大福に中に入るように促したのは僕だ。

建物に絡まる蔦だって目にしていたのに、先週の座学で死者を弾く結界だって聞いていたのに、僕の間抜けさが大福にしなくていい辛い思いをさせてしまった。

う……うぅ……どうしたらいいんだ……取り返しのつかない事をしてしまった。

僕は腕の中でいまだ目を覚まさない大福の頭を撫で続けていた。


と、その時。

頭上からタバコの匂いがただよってきた。

誰だ?

社長はあんな顔してタバコは吸わない。

先代にいたっては幽霊だだし、僕も当然非喫煙者だ。


「弥生っ!おまえタバコ吸うなよっ!」


社長の声がした。


「うっさいわねー、あんたが社内禁煙にしちゃったから、外で吸うしかないのっ!歩きタバコしてる訳じゃないんだし、会社敷地内よ?固い事言うなっつの!」


競り?


____旨いよ旨いよマグロが旨いよ、


頭上から聞こえてくる社長でも先代でもない声。

実際に”マグロが旨いよ”とは言ってないのだけど、そのしゃがれて抑揚のある力強い声はテレビでしか見た事はないけど魚市場の競りのイメージだ。

誰だ?

いや、うん、社長はたしか”弥生”って言っていたような。


僕は大福を抱いたまま後ろを振り返る、と。


「あらーっ!もしかしてウチの会社の期待の新人!あなたがエイミーちゃん?私が飛ばしちゃった現場に入ってくれたんでしょう?ありがとねぇ。私は大倉弥生。霊媒師歴10年の28才よ。よろしくねぇ」


「嘘つくなっ!38だろうが!」


「うっさいわ!誠、あんた細かいよ!女の年は申告制って法が変わったんだよ!」


「そんな法律あるわけねぇだろ!10もサバ読んで細けぇもクソもねぇわ!それに……!また明け方まで酒飲んでたんだろ!?酒クセェわタバコクセェわ声は酒焼けでしゃがれてるわ、ホントn」


「黙れ、ハゲ!酒飲んでなにが悪い!こちとら盛り上がってたのを振り切って出社したんだからな!しかも遅刻もしてない!ここは褒めろ!で、エイミーちゃんはなんで猫抱いて泣いてるのかな?その猫、霊だよね?エイミーちゃんの式神?」


普段は突っ込む不毛な会話に絡む事無く答えた。

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