第七章 霊媒師と大福ー大福視点ー6
「キミはこの世の猫じゃなかったんだね」
肯定だ。
なのに、ちっとも驚かないのだな。
私は男の手のひらに自分の頭を擦りつけて、自分のものであるというマーキングをした。
「もしかして本当にこの神社の護り神なのかなぁ」
ちがうよ。
そんなわけないだろう?
そんな事より、私、けっこうおまえが好き。
素直にそう思えたとたん、しっぽがブルブルと震えだす。
「や!ウソ!しっぽが震えてる!これって『オマエ大好き!』って意味だよね!嬉しいなぁ、僕を好きになってくれたのか!僕もキミが大好き…………あれ?」
あれ?と首を傾げて、私のしっぽの先を凝視して……なんだかよくわからんが、興奮気味に騒いでいる。
1人で盛り上がってズルイぞ。
「キミはこの神社の神様なの?」
ニャニャニャニャ!
わたしはブンブンと顔を横に振った。
さっきのは冗談じゃなかったのか!
そんな訳ないだろう、私はただの猫だよ。
「じゃあ、ここに住んでるの?」
ニャニャ……?
いや、まだ現世着いたばかりだし。
「じゃあ……キミは誰か家族とか仲間がいて、決まった帰る場所が……あるの?」
ニャァ……
思い出させないでぇ……
お姉ちゃんに忘れられ、可愛がってたネズミっ子もいなくなっちゃったんだから……
私は力なく顔を横に振った。
「そうか!そうなんだ!キミは今フリーで、神様じゃないから神社から出られないって事もないんだね?それなら僕の家に来ない?家にくれば雨の日も風の日も心配しらないし、キミの食べたいものはなんでも用意するし、それに当たり前だけどキミの事一生大事にする!……って、もちろんキミが良ければの話だけど……どうかな?」
ニャニャッ。
え、えぇ?
ま、まぁ、そんなに言うなら行ってあげてもいいけど……本当?本当にいいの?
ああ、喉のゴロゴロが止まらない。
「あ!そうだ!名前!名前はなんていうの?って、そうか、人語を理解できても人語を話す事はできないよね。じゃあ、僕が決めてもいいかな?えっとねぇ、キミは真っ白で雪のようにキレイだから……大福!大福にしよう!僕、大福のアイスが大好きなんだ!白くてひんやりして甘くておいしい!キミにぴったりの良い名前だろう?」
大福ぅ!?
“真っ白で雪のようにキレイだから”
イイ線まできてたのに、そこまできたら普通は”雪”の一文字入れるんじゃない?
なのに大福ぅ?
まったくもって、この男は……ニャハハハハハハハハハハハハ!!
あー、なんか久しぶりに笑った気がする。
ニャニャ!
私はピョンと男の肩に飛び乗った。
猫馬鹿でネーミングセンスはイマイチだけど優しくてあたたかい。
現世に戻って最初に出逢ったのがコヤツであったのも、なにかの縁。
いや、運命だったのかもしれないな。
ふふ、ちと大袈裟かな?
まあ、ともかく若き人の子よ。
これからよろしくニャーッ!!
霊媒師と大福ー大福視点______了




