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霊媒師募集  作者: たまこ
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第十四章 霊媒師 ジャッキー-94

とそこに、この現場の紅一点。

水渦みうずさんが落ち込む依頼者にズンズンと近付いた。

きっと……ぶっきらぼうでも優しい言葉の一つでもかけるつもりなのだろう。

黙ってそれを見守っていると、水渦みうずさんは、社用タブレットの画面を開き、黒十字様に見せながらこう言った。


「黒十字様、さっそくではございますが、お会計をさせていただきます。

まず、基本出張料、霊媒師1人につき5千円。

ですが今回、岡村の分の出張料金は、諸事情により減額させて頂きますので合計1万円。

ポルターガイスト現象を引き起こす幽霊1体除霊につき1万円、今回25体でしたから25万円。

ポルターガイスト現象が起きている場所はこの部屋のみでしたのでプラス8千円。

すべて合わせますと、26万8千円になります……が、弊社ご利用初回の感謝特典として、合計金額が20万円を超えた場合に適応になる2万円割引クーポンが使えます。

最終的に、24万8千円となりまが、お支払いはカードですか?」


優しくなかったー!

確かにお会計大事だけどさ、その金額で間違いないけどさ。

しんみりと落ち込んでいる人に、間髪入れずにお金の話って……せめてあと5分くらい待っててあげれば良かったのに。

案の定、黒十字様は口をパクパクさせているじゃないの。


「あ、あの、そ、そんなにするの?」


「はい、弊社ホームページをご覧になってますよね? 料金表にも記載がありますし、電話を頂いた時もご説明してるはずです」


「あ、うん、料金表は見たし、説明も聞いたけど……ホラ、まさか25人もいると思わなかったから……はは……はははは……こりゃ、早いトコ、引きこもり卒業しないとだなぁ、」


容赦ない水渦みうずさんの正論に、タジタジの黒十字様だが、どさくさに紛れ、前向きなコトを呟いたのを聞き逃さなかった。

引きこもりを卒業しないと、って言っていたよね。

オタク幽霊達に言われてた、『ゆっくりでいい、強くなってください』というのが効いているのかもしれない。


『いよいよ本気出すんですね』


おどけたようなジャッキーさんが、黒十字様の前に躍り出る。


「うん、本当はまだ外に出るのが怖いけど……だけど、いつまでもこのままじゃダメだよな……わかっちゃいるんだ……これはキッカケなんだ。ここで頑張らないと、もう二度と社会復帰できないような気がして……」


『そんな気になれたのは、やはり幽霊達かれらの影響ですか?』


「……ああ、うん。そうかもしれない。楽しかったんだ。何年か振りに人とコミュニケーションとって、レキナの話で大笑いしてさ。それと俺の作った馬が、アイツらの役に立ったのが、すごく嬉しくて。今このテンションなら、少しだけ勇気が持てるかなって。ああ、でもやっぱり自信ないな。この年でどっかでバイトしてさ、年下に頭下げて仕事教えてもらうとか……怖いよ……恥ずかしいよ……ははは……ダメだ……想像しただけで心が折れる。やっぱ俺、口ばっかりだ。忘れてくれ、無理だわ。だって見てくれよ、手が震えてる、」


最初の勢いはどこへやら。

途中から声も震え始めた黒十字様は、俯いて黙り込んでしまった。

なんて声をかけたら良いのだろう?

わからないまま沈黙が流れた。


そこに。

やれやれと肩をすくめるジャッキーさんが、一歩前に出た。


はくよ……力が欲しいか……?』


ちょ、ジャッキーさん、こんな時にふざけないでください。

それ、漫画のセリフでしょう?


はくよ……変わりたいか……?』


ジャッキーさんの問いかけに、黒十字様はグイっと眉間にシワを寄せた。





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