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霊媒師募集  作者: たまこ
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第二十八章 霊媒師 三年後ー4

電池が切れた、……としか言いようがないくらい、オヤツを食べた双子ちゃんはコテンとそのまま眠りに落ちた(なんか猫っぽい!)。


『あぁ……寝ちゃったぁ。お昼寝には早すぎるのになぁ。しかも熟睡コースだし、こりゃあきっと、今夜は目が冴えちゃって大騒ぎになるよぉ』


マジョリカさんは眉をハの字に困った顔で ”ははは” と笑う。

ジャッキーさんはそんな妻の肩を抱き、


「大丈夫だよ、今夜は自分が面倒見るから。マジョと弥生は2人でゆっくりしたらいい」


そう言ってニコッと笑った。

やだ……ジャッキーさん、頼もしい!

惚れちゃいそうなんですけど!(僕が)


事務所のソファで仲良く寝落ちの双子達。

マジョリカさんはカバンの中から膝掛けを取り出すと、2人にかけて隣に座り、猫の仔みたいな髪を優しく撫でている。

ああ……綺麗だなぁ。

朝の光を浴びる姿は……そう、まるで聖母のようだった。


……

…………


「あれ? 双子ちゃんが可愛くてすっかり忘れていたけどさ、社長はどこに行ったの?」


ジャッキーさんに聞いてみた。

出社してから結構時間が経つというのに、社長の姿が見当たらない。

トイレかな? と思ったけど、それにしたって長すぎだ。

ユリちゃんは今日は有給、昨日の晩にラインが来たんだ。

なんでも、高校時代のお友達の結婚式に出席するから、”ゴメンナサイ! 交通費の精算は社長にお願いしてください!” と、わざわざ連絡をくれたのよね(めっちゃ良い子)。

そんでもって先代もいないけど……あ、もしかしてまた駅に行ってるのかな?

自分の姿が視える人を(・・・・・・・・・・)、先代曰く ”ダイヤの原石” を探しているのかもしれない。


「社長はね、朝来た時にはいたんだよ。今日は弥生の休職の延長手続きに来たんだけどさ、無理言ってるのに快くOKしてくれてね。”今日はエイミーも出社するからゆっくりしてけよ!” なんて言ってたんだ。そのうちに先代が出社して、……ん、今朝の先代、なんか様子が変だったんだよなぁ。挨拶して、みんなで少し話をして、その後すぐに社長に話があると言ってさ。2人でどこかに消えちゃったんだ」


へぇ……そうなんだ。

先代、社長になんの話をしてるんだろう?

わざわざ席を外すって事は、ジャッキーさんや弥生さん、マジョリカさんにも聞かれたくない話だったのか?

珍しいな……ウチの会社は、なんでもかんでもオープンで、そんなコトまで話しちゃうの!? ってくらい喋っちゃうのに。




時刻は11時45分。

双子達はいまだに爆睡、スースースヨスヨ可愛い寝息を立てている。

束の間の静かな時間に僕達大人3人は、お茶を飲みつつ他愛のないお喋りを楽しんでいた。


そして____


朝イチで消えた2人……先代達が戻って来たのは、そろそろお腹が減ってくるお昼近くになってからだった。




『いやー、すっかり清水君と話し込んでしまいました』


スチャッと手を上げニコニコ笑って登場したのは先代だ。

そのすぐ後に、


「あー、まったくよ。ジジィの話はなげぇんだよ! もうメシの時間じゃねぇか! ジャッキー、弥生、…………いや、違うな……その目の色、今はマジョリカか。待たせて悪かった! って、なんだ双子は寝てるのか。でもまぁ良い事だ、寝る子は育つって言うもんな! ああ、それからエイミーと大福はモーニン! 出社おつかれさん!」


ハイテンションで一気に喋った社長が続く。

ちょ、ちょっとぉ!

声が大きいよ、双子ちゃんが起きちゃうじゃなーい! って心配したけど、弥春みはるちゃんも茉春まはるちゃんもぜんぜん起きない。

大きな声もどこ吹く風で、口の端からおヨダを垂らしてスヤッスヤだ(まー良い子達!)。



2人、……一体なにを話していたんだろう。

朝イチから昼近くまで、軽く3時間は話してたって事だよねぇ。

仕事に関する事なのか、それとも、誰かに何かがあったのか。

もしくはごくごくシンプルに、弥生さんの休職延長の件だろうか。

なんだかすっごく気になっちゃうよ。

直球で聞いてみるかと考えたけど、わざわざ場所を変えた意味……! と思えば、そう簡単には聞けないや。



なにも聞けないまま、とりあえず、”腹が減っては戦は出来ぬ” と言うコトで、みんなでランチを食べる事になったんだ。

ただし、寝ている双子を起こすのはかわいそうだと、外には出かけずデリバリーを頼んだの。

この時間は混むかなって思ったけど、さすがは駅近、そんなに待たずに御馳走にありつけた。



「よし、まずはメシを食うか! マジョリカ、遠慮しねぇでいっぱい食えよ。子育ては体力勝負だからな! ジャッキーもだ、見た目は若くてもオッサンなんだからよ、ガッツリいっとけ! あとエイミー、おまえはこれからに備えてモリモリ食え、いいな! 大福にはバンバンジーのタレ無しを頼んだから。それなら猫でも食べられるだろ? っしゃ! そんじゃあ、みんな揃っていただきますだ! ジジィも好きなだけ食え!」


社長の ”食え食え攻撃” にみんなの歓声が上がった。

その直後、声を合わせて手を合わせ(社長に向かって、だってオゴリだし!)、


「「「『『いただきまーす!』』」」」 + 『うなー!』


見事なハモリでワイワイガヤガヤ幸せランチが始まったんだ。


『清水! このパスタすんごくおいしい!』←モグモグ食べてる(・・・・)マジョリカさん

『パスタ……ってスパゲチーのコト?』←先代の可愛い質問(ハイ、正解!)

「このグラタンうまっ! 今度家でも作ってみよう」←料理魂に火が着いたジャッキーさん

「ピザもドリアも最高! 濃厚チーズがたまらない!」←僕はチーズ好き

『うにゃ! うにゃにゃにゃにゃ!』←バンバンジーのタレ抜き、要は茹でササミに夢中な猫又

「なんだよ、双子はまだ起きねぇのか」←双子にもゴハンをあげたかった社長



あー美味しい!

あー楽しい!

みんなで食べると、それだけでいつもの3倍美味しく感じる!

やっぱり僕は ”おくりびのメンバー達” が大好きだ。

仕事ってさ、業務内容も確かに大事でそれがメインに違いないけど、でも、最終的には ”人” なんだよね。

多少仕事が大変でもさ、こうやって笑い合えれば頑張ろうって思えるもん。

はぁ……早いトコ、体調不良の原因を突き止めよう。

それでとっとと治してさ、霊力ちからを使っても貧血みたいにならないようにするんだよ。

このままだと仕事に悪影響だ。

ソロならまだしも誰かと組んだら迷惑かけちゃう。

だけどどうしたら良いんだろ?

身体的にはすこぶる健康、貧血の ”ひの字” もないから薬を飲んでも治らない、むぅ……これは後で先代と社長に相談だな。


と、思っていた。

気持ちはすごく前向きでいたんだよ、でも。


それは突然だった。

楽しい楽しいお喋りタイム。

話はコロコロ脱線しちゃって、それはいつものコトだけど、社長は特に突拍子もないコトを言う人だけど、それにしたって飛びすぎたんだ。


「そうだ、エイミー。あれから体調はどうだ? 今は絶好調? それなら良かった。でもよ、たぶんだけど、おまえの体調不良って霊力ちからを使ったあとに起こるんじゃねぇか? ああ、やっぱりか。ジジィともそんな話をしてたんだ」


社長はさ、マジョリカさんと双子の話をしてたのに、急に僕に話を振った。

でもって……先代としてた話って、もしかして僕のコトなの?


社長はピザをモグモグ食べて、口ごもる僕の返事を聞く前にこう続けたんだ。


「エイミー、おまえしばらく現場に出るな。そうだな、事務所でユリのサポートでもしてもらうかな」


え…………僕は言葉が出なかった。

ユリちゃんのサポート? 

それってつまりデスクワークって事だよね。

サポート自体は構わない、……構わないけど現場に出るなって、それはどういう意味なの……?

霊力ちからがあっても使えない、霊媒師として役に立たないって……事なのかな。







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