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霊媒師募集  作者: たまこ
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霊媒師おまけ……バッドアップル-12

またもド深夜0時過ぎ、日付が変わって休暇7日目。


ブンッ、


と鈍い音がして、瞬き一つで家に着く。

今夜は星がやけに綺麗だ。

瞬く光が大地に降りて、庭の芝生が薄青色に光ってる。


だいぶ遅くなっちまった。

野郎共は寝てるかな?

それともまだ起きてるかな?

早くヤツらに伝えてぇよ、新しい仲間のコトを。

ははっ!

きっとビックリするんだろうな。


いやぁ……しっかし今日は疲れたなぁ。

マジでスッゲェ大変だった。

なんとか話はついたけど、説得だけで丸1日だ。

気持ちはワカルがそれにしたっt、


『あーーーっ!(モグモグ) ボス! やっと帰ってきた!(モグモグモグ) もー遅いよ! 今までなにしてたんだよぉ!』


バナナ片手にモグモグしながら、アタシを視つけたランナーが、文句を言いつつ駆けてきた。

半袖短パン、サンダル履き。

ラフな格好でバナナ(おやつ)をしっかり手に持つ姿は、まるで小さな子供みてぇだ。

ま、それを言うと怒るから、黙っているけど誠の昔を思い出す。


『遅くなって悪かったよ。でもよ、センタソーから聞かなかったか? 今日は帰りが遅くなるかもって言っといたんだけど、』


『それは聞いた。でもさ、でもさ、夜中になるとは思わないじゃん』


ランナーは ”それくらいワカルでしょう?” な生意気顔で、残りのバナナを頬張った。


『ははは……奇遇だな。アタシも同じ気持ちだよ。まさかアタシもココまで時間がかかるとは思わなかった。はー、疲れた。でもま、もう話はついたから大丈夫だ』


半分笑ってアタシが言うと、ランナーは頭の上にハテナを浮かべてポカンとしてる。

んで、


『なに言ってるのかサッパリ分からない。ボスはどこに行ってたんだ? なにに時間がかかったんだ? なにがもう大丈夫なんだ?』


矢継ぎ早に質問された。


『えっへへー! 知りてぇか? だよなぁ。こんな言い方、気になっちまうよなぁ。ちゃんと話すよ。つか、絶対ぜってぇ話してぇし』


我ながら勿体ぶってる。

分かっちゃいるけど、苦労した分引っ張りたくもなるってもんだ。


アタシとランナーの話し声に気がついたのか、家の中からワラワラと野郎共が現れた。

どいつもこいつも、イイ感じに力の抜けた笑い顔だ。


『ただいま。遅くなって悪かったな。……って、なんだよ。全員出てきちゃったのか。この夜更かし達め。でも丁度良いや。せっかくこうして集まった事だし、このままおまえらに話しておこう』


なんだなんだ……?(ザワザワ)


野郎共は顔を視合わせザワついていた。

アタシは笑いが込み上げて、でも、気合いで顔を引き締めた。


『話というのはな、今日からバッドアップルに新しい仲間が増える!』


えぇぇぇぇっ!!!! ←野太いどよめき


『そうなの!? 誰!? 誰誰誰!?』←語彙力崩壊なランナー

『えぇっとー! いつ決まったんですか!?』←目をパチパチなウッディ

『俺らの知ってるひと!?』←二丁拳銃を無駄にクルクル回すイーグル

『ボスが今日行った所と言えば……』←考え込むセンタソー

『男性ですか!? 女性ですか!?』

『いや、ちょ待って、』

『俺、ひと視知りで、』

『スキルは何を、』

『ホント誰、』

『緊張、』

『……』

『…』




ザワザワがザワザワすぎて話が進まん、……が、プチパニックに付き合ってたら夜が明ける。

なのでアタシは強引に話を進めた。


『おまえら落ち着け! つったって……ははっ! 気になるよなぁ! そりゃそうだ、新しい仲間だもんな! まずは紹介するよ。アタシがグダグダ説明するより会った方がはえぇから。実はな、今夜ココに来てもらってるんだ』


えぇ!? 来てるの!? ←野太いどよめき2回目


『ああ、来てもらってる。今朝早くにスカウトして深夜に本決定したんだ。早くおまえらにも面通しをしたくてな。明日でも良かったんだが、今夜来てもらった。よし! じゃあ呼ぶからな、ビックリすんなよ?

おーい! 待たせたなー! もういいぞー! コッチに来てくれー!』


バッ!!!!!


野郎共はアタシの目線を瞬時に追った。


やけに綺麗な星空の元。

新メンバーは家屋の陰から現れた。

降りる光を背に受けて、本来なら黒の艶毛が薄青色に光ってる。

骨太の太い四肢の大きな霊体からだ、ピンと上向く三角耳が星の光に透けているのは____


『『『『『……雷神号!!!……』』』』』←野太いどよめき3回目



野郎共は固まった。

目の前のオオカミみてぇな警察犬に、全員釘付けになっていた。


ははっ!

驚いてる驚いてる!

全員揃って雷神号を指さしながら、口をパクパクさせている。


『よーし、改めて新しい仲間を紹介する。この間、虹の国で会っただろう? みんなも知ってる雷神号だ。生前はY県警直轄の警察犬で____』


雷神号の経歴を話して聞かせた……が、なんだこりゃ!

どいつもこいつもパァァッと顔を輝かせ、”雷神号だったのか!” だの ”もふもふ大歓迎!” だの ”部屋は俺と同室で!” だの大騒ぎだよ。

誰一人まともに話を聞いちゃねぇ。

オイ、いつものまとまりどこいった。


つーか、おまえら受け入れ秒だな。

1人や2人くらいはさ、反対意見が出るんじゃないかと思ってたのに。

全員一致で歓迎か(ま、アタシは楽で良いけどさ)。


ヒトとイヌ、種族は違えど通じるものがあるんだろうな。

生前の男達は、悪霊相手に霊力ちからをふるった霊媒師。

雷神号も似たり寄ったり、悪人相手に力をふるった警察犬だ。

所属の組織で方法は異なるが、やってた事は大体同じ。

現場に出向いて悪いヤツらやっつける、ただ、それだけの事だ。



雷神号はあっという間に男達に囲まれた。

黒い毛皮をモシャモシャされて、背中や頭はワシャワシャされて大変そうだ。

中でも、ランナーのはしゃぎようはスゴくてよ。

芝生にしゃがんで犬に抱き着き深呼吸。

そういやランナー、犬が好きだと言ってたっけ。


んで、


『雷神号、俺さ、俺さ、すっごく嬉しいよ! 来てくれてありがとな! これから一緒に頑張ろうな! だけどそっかぁ、ボスが朝から出かけてたのは雷神号をスカウトする為だったんだなぁ。入隊してくれって説得されたんだろう? さっきボスが言ってた、”時間がかかった” って、でも ”話はついた” って。聞いた時はなんの事だか分からなかったけど、これで謎が解けたよ』


胸の前で腕を組み ”そういうコトか” と頷いている……が、残念、その推理は大外れだ。

雷神号をスカウトした時、確かに最初は驚いてたけどヤツはほとんど迷う事なく ”ああ、いいよ” と返事をくれた。

あまりにも即答過ぎて、”本当に良いの!?” と逆にアタシが聞いたくらい。


じゃあなんでこんなに帰りが遅くなったのか。

それはさ、今日一日朝から晩まで、ひたすら話をしていた相手は犬じゃねぇ、水龍だ。

そう、ヤツは虹の管理人。

動物大好きリバイアサン、名前が長くて呼びにくいからみんなに ”リー” と呼ばれている、あの水龍だ。






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