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ピュアヒューリーズ17

 数日後。舞洲ヒロから呼び出しを受けた。

『やぁ。この前はありがとうね。竹井くん今から会えへん?』

「へ? 今からですか?」

 かなり急な誘いに僕は変なところから声が出てしまった。

『なんや? 忙しい?』

「いえ、大丈夫です……。急だったので……」

『ごめんごめん。なんや急に竹井くんと話したくなってなー。したら今から迎え行ってもええか? 家におるん?』

 やれやれだ。どうやら彼女は僕の家まで押しかけてくる気らしい。

 僕は「自宅にいます」とだけ伝え、電話を切った。。今更隠しても仕方ない……。

 それにしても彼女は僕の携帯の番号をどこで仕入れたのだろう?

 おそらく、京極さん絡みなのは間違えないけれど。それにしても気味が悪い。


 1時間後。舞洲さんは僕のアパートまで迎えに来てくれた。

 やはり例のS15でのお出ましだ。

「すまんねー。この前中途半端やったからもうちょい話したくてな」

「いえいえ……。どうします? どこかカフェでも行きますか?」

「いや……。したらちょっとドライブせーへん? ドラム談義もしたいからちょうどええし」

 舞洲さんはそう言うとギアを1速に入れて、車を発進させた。

 この前はあまり意識しなかったけれど、彼女の運転技術はかなり上手い。

 シフトワークもハンドリングも流れるようで、乗っていて気持ちが良かった。

「神奈川方面行こうか? 久しぶりに湘南流したいし」

「はい! よろしくお願いします」

 車は首都高に乗るとご機嫌に加速していった。その日は幸い渋滞もない。

 彼女は上機嫌に自身のバンドの話を聞かせてくれた。

 三坂さんがどれだけすごいかとか、羽島さんが実は神経質だとか、そんな話だ。

 意外だったのは彼女自身の自慢話は一切なかった。

 彼女のドラムの評価はかなり高いはずなのに、自慢するのは他のメンバー2人の話ばかりだ。

 だから彼女の話には嫌みがなく、素直に感心して聞くことができた。

 その姿勢は京極さんのそれに似ている気がする。

 京極さんも高木さんや七星くんの自慢はするけれど自身の話はほとんどしなかったのだ。

 1時間半ほど走ると車は朝比奈インターチェンジで降りた。

 ずっと加速していたS15も一息を付くようにエンジン音が沈み込んでいく。

「あー、気持ち良かったなー。せや、湘南着いたらハンバーガー奢ったるよ。めっちゃ美味い店知ってんねん。そこのオーナーとは長い付き合いでな……」

 本当にやれやれだ。

 どうやら舞洲さんはかなりのおしゃべりらしい。

 海岸線を走りながら嬉しそうに話す舞洲さんを見ながら僕はそんなことを思っていた。

 まだ寒い季節だというのに海岸にはサーファーが歩いていた――。

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