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ピュアヒューリーズ6

 悪い癖だとは思う。

 でも僕は白黒はっきりつけたかった。

 これは僕自身のエゴで松田さんには何の関係もないのだけれど。

「何だ?」

「松田さんとしては京極さんと高木さんが付き合うのが正解ですか?」

 直球な質問だ。これ以上ないほどに直球だと思う。

「そうだな……。俺はそれが良いと思う。だってあの2人は互いに信頼しあってるし、ジュンはウラ以外の相手なんて居ないと思う。ウラは……。まぁアイツは男なんてごまんと居るだろうけど」

「ええ、その通りだと思います。僕としても高木さんと京極さんはとてもお似合いだと思いますよ。でも、松田さんはそれで良いんですか? 差し出がましいですが、松田さんだって京極さんのこと好きですよね?」

 決めつけだ。一方的な意見。

 僕の言ったことが図星だったのか、松田さんはばつが悪そうな顔を浮かべる。

「俺は……。もう良いんだ。こんな身体だし……。これからウラを支える自信が俺にはねーからさ。ジュンならあいつのことしっかり理解してるし、俺なんかよりよっぽどいいよ……」

「はぁ……。一般論としては理解しますよ。でも、決めるのは僕でもなければ、松田さんでもないんじゃないでしょうか? あくまでこれはあの2人の問題です。高木さん、あるいは京極さんがそうしたいと思って付き合うならアリだと思いますよ? でもそれは僕たちがどうこう言う問題じゃない……」

 これは本当のことだと思う。

 恋愛は当事者同士が決めることで外野が口出しすることではない。

 松田さんはしばらく考えているようだった。

「なぁ竹井君? こっからは俺の考えだから鵜呑みにしないで聞いて欲しい」

「はい」

「ジュンもウラもたぶん俺に気を使ってるんだよ。だから本来落ち着くとこに落ち着けずに居ると思うんだ。初めから俺が居なけりゃ、あの2人はとっくに付き合ってたと思う。もしかしたら結婚してたかもしれない……。それくらいあいつらは近いんだよ」

 松田さんの言っている意味は理解できた。

 理屈がどうとかではない。

 あの2人は互いにそうあるべき存在なのだ。

「それは……。否定しきれませんね。でも<if>を言ったらキリが無いですよ? これは僕の意見ですが、松田さんと京極さんが今から付き合ったって良いと思うんですよ。松田さんと京極さんもとてもお似合いだと思います。……いや、違うな……。僕としては松田さんと京極さんが一緒の方が良いと思います……」

 僕は率直すぎる意見を彼に言った。

 松田大志、高木純。

 どちらかが不正解という訳ではないのだ。

 京極裏月にとってはどちらも正解であることに違いはないだろう。

「竹井君の気持ちは分かったよ……。まぁ確かに決めるのはあいつらだからな……」

「すいません……。生意気な口きいて。でも……。京極さんがどうしたいかは知りたいですね」

「知りたい?」

 松田さんは不思議そうな顔をした。

「ああ、これは単なる好奇心です。あと……。僕にとっては京極さんは姉みたいなもんなので……。彼女が幸せならその方が良いってだけです。松田さんの気持ちはよく分かりました」

 それから僕たちは一緒にルノアールから帰った。

 松田さんはだいぶ回復したようで、杖1本で歩けるらしい。

「話せて良かったよ。ちょっとすっきりした」

「いえいえ、こちらこそお役に立てず申し訳ないです……」

 池袋駅東口はいつにも増してゴミゴミしていた。

 路上ではどこかの政党が演説している。

「竹井君。ウラとジュンのことよろしくな。あいつら器用そうに見えて不器用だからさ」

 松田さんはどことなく寂しそうな顔をしている。

「ええ、出来ることは何でもします! ま……。もしあの2人が恋仲になるようだったら全力でサポートもするつもりですよ」

 どうしたものか……。

 このこじれてしまった関係をどう進めればいいのだろうか?

 彼らの関係はまるで三すくみのようだ。

 善意による三すくみ……。


 愛衣は僕の話を黙って聞いていた。

 気が付けばコーヒーもすっかり冷めている。

「……というわけだよ。またはっきりしない話だけどさ」

「ふーん……。ま、いいんじゃない? のんちゃんの言うとおり、恋愛は当事者同士の問題だしさ。それにのんちゃんが特別何かするわけでもないんでしょ?」

「そうだね。色恋沙汰に手を出すような無粋はしないよ」

 愛衣は何やら複雑な顔を浮かべている。

「でもさ……。もし京極さんから行動を起こせば話は変わるよね?」

「ああ、そうだね。でも……。どうなんだろ? 彼女恋愛の話、僕にしないからさっぱりなんだよねー」

「動きあるかもよ?」

 愛衣は何か確信を持ったような言い方をした。

「へ? なんで?」

「うーん……。根拠はないんだけどさ……。アレだよアレ! 女の勘!」

「女の感ねー……」

 その時、僕は内心、眉唾だろうと思った。

 しかし……。

 あながち愛衣の感は当たってたのかもしれない――。

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