009 入門でした。
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いよいよ街の門に近づき、前のグループが進み順番が来た。
衛兵がこちらに向き、デイビットさんが会釈で返し馬車を進める。
門の前にある手動のバリケードの前に近づくと衛兵が近づき声をかけてきた。
「よし、そこで停まれ」
バリケードは、先端を尖らせた太さ10センチ程度、長さ60センチ程度の丸太を2本直行させた物が5つあり、それらの交差した部分の上側に同じ太さの丸太を渡して繋いでいて両端が長くなっておりその部分を持って移動させている。
馬車の停止に合わせ後方にも同じ物が配置された。 こうして1組ずつ確認するようだ。 仕事で行った発電所も同じだった事を思い出した。 まあ、日本の物は金属製で小さなタイヤが付いていて1人で動かしていたが。
ぼんやりとそんな事を考えていて、ある事を思い出した。
あ、ステータス確認しなきゃ、偽装はしてるけどそれでいいのか分からないんだった。 参考にしたのがニッキーだけだし。 門の警備に携わる人ならそれなり数値だよな。
そう考え、バリケードを動かしていた衛兵を鑑定する。
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名前:ヴァル
年齢:18
職業:衛兵
種族:人族
性別:男
LV:14
体力:131
魔倉:135
魔創:126
筋力:128
硬度:133
俊敏:130
知力:136
器用:128
魔法:洗浄魔法、創水魔法
能力:剣術、体術
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あれ? かなり弱いな、新人とかなのかな? もう一人、デイビットさんに近寄り話しをしている衛兵を見よう。
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名前:ライナス
年齢:22
職業:衛兵
種族:人族
性別:男
LV:20
体力:191
魔倉:195
魔創:186
筋力:188
硬度:193
俊敏:190
知力:196
器用:188
魔法:生活魔法
能力:剣術、体術、乗馬
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こ、これは・・・ 流石に偶然じゃ無いな。 この辺がこの世界の一般的な数値なのかも。 偽装の内容を改めるか・・・
倒した魔物に驚いていたし、ニッキーより少し強いくらいにしておこう。
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名前:イサム
年齢:33
種族:人族
職業:――
LV:28
体力:266/266
魔倉:269/269
魔創:278
膂力:268
防御:299
俊敏:278
知力:274
器用:279
魔法:――
能力:――
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ま、こんな所かな。 レベルを増やして、数値を減らす、なんてちぐはぐな調整になってしまったが仕方ないだろう。
そこで衛兵さんから声がかかる。
「すみません、イサム様」
「はい、なんでしょう?」
「イサム様が身分証を持っていない事をデイビット様より聞かせて頂きました、手続きを致しますので、御自分の荷物を御持ちになりこちらにお願いします」
「あ、はい、分かりました」
やたら低姿勢なのが気になるけど、高圧的にこられるよりはいいか。
呼びに来た衛兵に付いて木造の建物に入る、そこは15メートル四方程度の広さの平屋で奥側に横長のデスクが3つ、手前側に小さめのテーブルが縦横2列の4つあり、デスクとテーブルの間には木製で腰高の柵がある。 そのテーブルの右奥側に座る様指示される。
「では、そちらにお掛けください」
「はい、お手数おかけします」
「準備を致しますので少々お待ちください」
そう言うと柵の向こう側に行き、奥のデスクに居た人物と少し話し、壁際の棚から木箱を取りこちらに戻ってきてテーブルに置き、向かい側に座った。
「お待たせ致しました」
「いえ、よろしくお願いします」
テーブルにあった引き出しから紙の様な物を取り出しこちらに提示しながら説明をしてくれる。
「それでは、こちらに必要事項をご記入頂き最後にこの《確認板》で確認出来ましたら、関税2000Gと仮入門証の保証金1000Gをお納め頂き手続きが完了となります」
「分かりました・・・ 紙?」
受け取った用紙、そう、紙だった。 造りとしては和紙よりもう少し荒いが、きっちり裁断され厚さもほぼ均等だ。 よく読む小説だと皮紙が出て来るから期待したんだけど、少し残念だな。
「あ、はい、まだ少ないですが我々や各種ギルドでは使い易さと安価な事から、かなり浸透していますね」
「そうなんですね、あ、すみません、記入しますね。 えっと、書く内容は・・・
名前:
年齢:
職業:
性別:
・・・か。 あの、職業はまだ決めていないのですが、どうしたらいいですか?」
「はい。 イサム様はこの後、商業ギルドや冒険者ギルドに登録のご予定はございますか? ございましたら、そちらに合わせて商人か冒険者とご記入下さい。 ありませんでしたら空欄で構いません」
「なるほど分かりました」
せっかく異世界なんだし冒険者だよな。
と、言う事で内容は・・・
名前:イサム
年齢:33
職業:冒険者
性別:男
・・・と記入し渡した。
「では確認に移ります」
先程持ってきていた木箱から取り出された物を鑑定してみる。
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名称:確認板
機能:簡易鑑定
強化:犯罪歴
詳細:魔力を流す事で対象の情報を取得、表示する。
動力に魔倉石を用いる事で
魔力を扱えない者でも使用出来る。
鑑定内容を限定する事で必要事項の鑑定が強化されている。
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確認板は、20センチ四方で厚さは5センチ程、1辺が蝶番の様に丸くなっている、半分程の厚さの板2枚をおりたたんだ形だ、見えてる面には1回り小さい四角いくぼみがある。 魔倉石ってなんだろう? 鑑定結果からすると電池みたいな物かな。
それを手元に寄せた衛兵が蝶番の反対側から開く。
ぱっと見ならノートパソコンを開いている様に見えるな。 しかし内側にあったのはキーボードでは無く手型、ディスプレイでは無く外側と同じ大きさのくぼみだった。
「そちらの手形に手を当てて下さい」
「分かりました」
手型をよく見ると細かな模様で出来ていて、その中央にあるビー玉の様な、丸い石に続いている、これが魔倉石かな? 鑑定してみるか。
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名称:魔倉石
機能:魔力貯蔵
詳細:魔石に魔力貯蔵を付与し
繰り返し使える様にした物。
貯蔵容量、充填回数は
魔石のランクにより異なる。
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うん、このビー玉の様な物が魔倉石だ。 やっぱり電池みたいな機能だな、魔石については分かるかな。
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名称:魔石
機能:魔力放出
詳細:割る事で魔力を放出する。
魔物が死亡する際、体内に生成される。
ランクは魔物の強さに比例する。
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なるほど、後でアイテムボックスの魔物を見てみよう。
さて、余計な鑑定をしたりデータを何処かに送ったりする機能は無さそうだし手続きを終わらせるか、と考え右手を手型に乗せる。 すると、靄が絡んた時の感覚が手のひらに一瞬あり、ノートパソコンで言うディスプレイの部分、四角いくぼみに文字が浮かんできた。
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名前:イサム
年齢:33
職業:−−
性別:男
犯罪歴:−−
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「はい、問題ありません。 これで確認が完了となりますので、仮入門証を発行させて頂きます。 現金はお持ちですか?」
「はい、あります」
答えながら先ほどの取引で得た1000G銅貨を3枚トレイの上に出す。
「はい、お預かりします」
そう言って確認板を箱に戻し書き込んだ用紙とともに奥に持って行った。
しばらくして戻って来た彼はデイビットさんとニッキーが持っていたギルドカードの様なものをテーブルに置き説明を始める。
「お待たせいたしました、こちらがイサム様の仮入門証となります。 こちらのカードは市民管理所で市民カードに、各ギルドでギルドカードにする事が出来ます。 どちらにも登録をなさらない場合はご退出時にご返却頂き保証金はお返し致します。 以上で手続きは終了となりますが、ご質問はございますか?」
「いえ、ありません。 ありがとうございました」
手続きを終え外に出るとデイビットさんに呼ばれる。 馬車前方のバリケードが移動させられており進める様になっていた。
「イサムさん、こちらへ、中に入りますよ」
デイビットさんの横に座りながら答える。
「はい、よろしくお願いします」
馬車が進み5メートルほどの厚さの門をくぐり抜ける。
暗い門を抜け明るさに目が慣れると、そこには石造りの壮大な街並みが広がっていた。
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「ライナスさんさっきの方にやたら丁寧でしたが、どんな方なんですか?」
「ああ、あの方はペラーズ商会の会長さんだ」
「えっ! あの人が・・・」
「騒ぐな。 余計な事をすると首が飛ぶぞ、、物理的に」
「・・・・」
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衛兵の雑談は誰にも聞かれることなく
荒野に吹く風に流されていった。
お読み頂きありがとうございました。
明日も10時に投稿します。
誤字脱字がありましたら是非教えて下さい。