005 確認でした。
「はぁっ・・・・・・」
俺は、今までに感じたことの無い感覚を得ていた。
それは綺麗な空気、なのだろう、機械で作った純粋なだけの空気でもなく、森林浴に行った様な染み渡る空気でもない。 ただ単純に自然な空気。
それがなんとも表現出来ない感覚を生み出している物の正体だ。
「これは、気持ちいいな」
今はまだ、転移した時直後で空中に浮かんでいる。 眼下に街を見下ろし、迫り来る様な山脈を背負いそこから伸びる川は、左の草原に進みその先にはうっすらと海が見て取れる。
「うん、山に草原、川に海どれもほど近い街だ、無事リブリッチに来られたようだ、街に入る前に少し準備だな」
俺はまず山の麓にある森に向かった。
街から離れた所で高度を下げ、速度を上げながら草原を飛んでいると、ちらほらと飛び上がるモノを見かける。
アレは、なんだ? 飛んでるし生き物か? 結構大きいしいきなり出てきたら少し怖いな。 どうしたら事前に見つけられるかな。
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»»発現【気配探知】
周囲の気配を探り相対距離を把握する。
気配の大小を把握する。
気配の状態を3段階で把握する。
現在、敵対・中立・友好、に設定。
【気配探知】»»連携【マルチウィンドウ】
対象を地図に表示出来るようになりました。
目視出来ない対象の方角と距離の表示が出来るようになりました。
気配の状態を6段階で把握出来るようになりました。
対象の表示色を選択出来るようになりました。
現在の設定は……
敵対:赤
警戒:黃
無関心:白
注目:緑
友好:青
死亡:黒
以上です。
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うん、これで何か生き物が居ればすぐに見つけられるな。 今のところ地図上では、周囲の草原に白がポツポツか、目視出来る位置に居る対象は頭上に「▼」がAR表示されて見える。 たまに飛んでるしこれが例のフライングラビットかな、ただ感じる大きさはバスケットボールくらいある。 フライングって名前だしさっきの様子からかなりの勢いがあった。 肉の詰まったバスケットボールが意思を持って飛んできたら、痛いだけじゃ済まないよな。
位置が分かる様になったし単独行動でいるやつを探そう。 群れではないけど数匹一緒にいるな。 お、いたいた、それじゃさっそく。
「アイツの能力を詳しく判別する能力は」
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»»発現【詳細鑑定】
対象を視界に捉え発動。
偽装、隠蔽を透過し正確な情報を得る。
【詳細鑑定】»»連携【マルチウィンドウ】
【ステータス化】
鑑定結果を表示出来るようになりました。
表示項目は……
LV:成長度合いを示す。
体力:生命力に等しく無くなると意識を失い放置で死亡する。
魔倉:魔力残量、魔力を貯蔵し使用する能力。
魔創:創魔力、変換速度、魔力回復に影響する。
筋力:攻撃力、携行重量、疲労軽減に影響する。
硬度:防御力、衝撃減衰、衝撃耐久に影響する。
俊敏:移動力、反射速度、動体視力に影響する。
知力:思考力、思考速度、魔法行使に影響する。
器用:応用力、並列処理、同時展開に影響する。
魔法:習得済の魔法
能力:技術、技能
以上です。
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「お〜出来た出来た、アリサが言っていた、魔素を魔力に変換する能力が魔創で、魔力を貯め込む能力が魔倉って事だな。 レベル表記もあるな、これはゲームみたいに経験値とかあるのかな、ん〜、詳しく見られるかな?」
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LV:成長度合いを示す。
魔素を一定以上取り込みきっかけを得ることで上昇し
身体能力を飛躍的に向上させる。
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「なるほど、魔素ってのが経験値の役割も果たすのか、きっかけってなんだろうな」
とりあえず鑑定をつかってみるか。
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きっかけ
物事が変化する原因となる現象、行為。
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「うぉい!」
そうじゃなくて、いや、あってるんだけども。 追々しらべるか……とりあえず、アイツを鑑定。 今叫んだせいでこっち見てるし、マーカー赤いし。 ほんとはこっそり攻撃しようと思ったのにな。
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名称:――
種族:フライングラビット
LV:01
体力:09/09
魔倉:03/03
魔創:01
筋力:06
硬度:04
俊敏:08
知力:02
器用:05
能力:滑空
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ほほう、なるほど、なるほど。 全く分からないな、草原にいるくらいだしそんなに強くは無いと思うが、基準が分からない。これは倒せる数値なのか? そっか、自分を鑑定したらいいのか。
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名称:中村 勲
年齢:33
種族:人族
職業:――
LV:01
体力:100/100
魔倉:5660/5660
魔創:4863
膂力:60
防御:50
俊敏:62
知力:70
器用:80
能力:マルチウィンドウ、アイテムボックス
認識阻害、空中散歩、空間転移、現在位置把握
多言語理解、気配探知、詳細鑑定
固有能力:魔力生成、魔力貯蔵、成長補正
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なんだろう幾つかおかしな気もするが、フライングラビットには負けなさそうだし、まず倒すか。
俺は空中でバールを取出し構えた。 ホームセンターで買った正真正銘バールだ、バールのようなものではない。
曲がった角を下にして先端を持ち軽く素振りしてみる。 うん、振りやすい、買った時と比べて半分くらいまで軽くなった様に感じる。 転移の影響か魔素の影響か、力とか強くなってるみたいだな。
そんな事をしている間も足の下ではフライングラビットが、右から左へ、左から右へ飛んで攻撃を仕掛けてきている。能力には滑空とあるし、自在に飛べる訳ではないのだろう。飛んでる距離もだいたい同じくらいだし。
フライングラビットが飛び上がり滑空、失速し始めた所で追いかけ後ろから耳の間をバールの角で打ち据える。 地面に落ちたフライングラビットから一瞬靄が上がりその瞬間マーカーの色が赤から黒に変わる。問題無く倒せたようだ。
靄は俺に絡みついて消えた。 これが魔素かな? 魔物を倒すと今みたいに纏まって得られて、レベルアップのきっかけになるのかもしれないな。 倒したフライングラビットを収納し、周囲を見渡す。
隠れた敵がいない事を確認し、改めてステータスを見る。文字通り桁が違うのとかフライングラビットに無かった固有能力とか、普通の能力の方も明らかに特殊だよな、この辺隠したいな。
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»»発現【情報操作】
自身の情報を操作し偽装する。
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よし、これを使って。
完成した能力の通知からウィンドウを切り替え、自身のステータス画面を操作する。
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名称:イサム
年齢:33
種族:人族
職業:――
LV:01
体力:50/50
魔倉:28/28
魔創:24
膂力:30
防御:25
俊敏:31
知力:35
器用:40
能力:――
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こんな所かな〜、名前は家名無しで様子見して、他の数値は一般的な人のステータスを見てからおかしかったら調整しよう。
後は固有能力ってやつの正体か。
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◁魔力生成▷
空気中の魔素を吸収し魔力に変換する。
魔創に影響する
◁魔力貯蔵▷
生成された魔力を貯蔵する。
空気中に拡散している魔力を回収・貯蔵する。
魔倉に影響する。
◁成長補正▷
魔素吸収率が向上しレベルアップに補正がかかる。
レベルアップ時の成長に補正がかかる。
技術、技能、魔法の習得に補正がかかる。
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うん、上2つは思った通りだな、成長補正はこれからの活躍に期待しよう。
草原から続く森には街道からうっすらと横道の様な物が繋がっていた。 獣道よりは使用感があるが街道の様に踏み固められてもいない。
おそらく、付近の猟師等が森に入る定番のルート、と言った所か。
「とりあえず、森の中で少し倒そう」
お読み頂きありがとうございました。
明日も10時に投稿します。
誤字脱字がありましたら是非教えて下さい。
2019.02.06 一部修正しました。