031 飛行練習でした。
「んっ、あ"ー。 朝か」
それでは早速、クリーン! おおー、寝汗でベタつく体はもちろんスッキリだし、寝間着や何年も使ってる布団まで新品の干したてみたいに心地よくなった。 こ、これはまずい、めくった掛け布団を戻し横になりたい、そのまま目をつむりゆっくり深呼吸したらものすごく気持ちよく寝られそうだ。
なんとか、二度寝への誘惑を振り切った俺は着替えを済ませる、部屋全体にクリーンをかけたのでこの服も新品同様に綺麗だ。
いや、そうか、新品同様に綺麗になるなら別で考えたら新品に戻せないかな? うーん。
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»»発現【リペア】
対象を修復する。
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よし、戻すじゃ無くて修復だけどいいかな。 範囲は衣服でリペア!
うんうん、伸び気味だった袖口や首周りがスッキリして色あせも回復したみたいだ。
って。
「あ〜〜〜っ!!!」
思わず声に出てしまった。
今、俺が履いているのはジーンズである。
3年くらいだがいい感じだったのに。
完全に新品に戻っている。
そりゃあさ、ビンテージとかダメージとかの高級品じゃないけどさ、まさかこんな失敗するなんて。
気をつけよう。 古着屋とかそれこそビンテージジーンズの店でやったら、店主さん発狂するかも。
「とりあえず・・・出勤するか」
気分を変える為、声に出しながら飛ぼうと考えた、まばたきしたら地面は遥か彼方。 人がゴミの、じゃ無くて、あれ? どうなった? あれ、下に飛行機が見える?
えっと、現状は
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対地速度:00Km/h
飛行高度:12432m
進行方向:北北東
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おかしいな、高度の表示、バグったかな?
『正常ですよ』
「おわっ、しえるか、びっくりしたなあ」
「正常って事は本当に1万メートルも飛び上がったのか」
なんて事だ、飛行機が飛ぶ高さがおよそ1万メートルだったはず、それよりも高い位置までまばたきの間に到達しているのである、その速度は・・・ものすごいよな。
それに、このスピードで上昇したのに風とか抵抗とかなかったな。 しかもただ上昇しようとしただけでコレとは、いったいどんなスピードが出るんだろう。
「よし、会社はあっちだな、向かいつつ速度も試すか」
飛び始めた直後、最高速度への加速をイメージし移動した所、考える間もなく会社に着き、あっという間に通り過ぎ、またもまばたき程度の時間で最寄りの飛行場まで来てしまった。 ここは10年程前までは国際空港だったが新空港開港に伴い県営の飛行場となった場所である。
滞空しながら計算した。 家からここまで、およそ0.1秒、あの超スピードの軟体先生の20倍は出ている訳だ、慣れずに何かに衝突したら大惨事だ。 壊した物を同じ速度で直したりは出来ない。 リペアで直るだろうけどそれは速度が違うからなあ。
これは、早急にスピードに慣れなくては。
ちなみに、この高度なのに寒さも息苦しさも全く感じない。 俺は世界一の山の更に上空でそんな感想を抱いた。
「せっかくだし、日本一の山の上から朝日を見て出勤するか」
到着、1秒ちょっとでこんな所に来られるとは嬉しいな。 転移の事はちょっと脇に置いておく。
「気持ちのいい朝日も見られたしぼちぼち会社に向かうか」
それから俺は、高速道路を走る車両に近づき並走したり、飛ぶ鳥を見たりしながら、加速、減速、旋回に上昇、下降、さまざまな練習をして戻った。
認識阻害のおかげで人からも鳥からも見られる事なく色々試せた。 あ、これカメラはどうなんだろゆっくり飛んでたら写ってるよな、今度調べなきゃ。 今日撮られた分はまた今度考えよう。
その後、丁度いい時間に会社に着ける様に速度調整をし、まさに空中散歩をしている気分で出勤した。
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