プロローグ
以前書いていたやつの展開がよくわからなくなったので新しく別作品を書きました。
作者も無人島生活はちょっと憧れるけどこんな日々はあんまり送りたくはないかな…
毎回2500から3500字以内を目安に書いてます。
俺の名前は渡辺明人。中小企業のサラリーマン……だった男だ。
話は1時間前に遡る。いつもの仕事中に上司に呼び出されて今度の有給休暇なしにされた。それに怒った俺がその場で言い争いになりそのまま退職してきた。
この会社に入ってから初めてまともに口答えしたから、上司も周りの部下もみんな驚いていたな。
まあ辞職の件は前々から辞めてやろうと思って鞄に退職届入れていたんだけどね。やっとの思いで勝ち取った有給休暇、そのために頑張った一ヶ月だったのにそれを無しにされたら俺だって怒るよ。
仕事も辞めてきたことだし一ヶ月ぶりに我が家に帰ってゆっくり寝るか。そんでもって明日からは有給休暇中にやりたかった無人島キャンプをやろう!
明日はいろいろ買い物をして道具を揃えなきゃいけないな。キャンプ中に読む本も買っていこう!もう楽しみで楽しみで仕方ないな!
13年間ほとんど休まずに働いてきたから金ならいくらでもあ……そんなにはないか。給料バカみたいに安かったし。
ま、まあそこは気にせずとことん遊ぼう!明日が楽しみだなぁ
「おい兄ちゃん何やってんだ‼︎」
ん?なんだ?みんな俺を見てどうしたんだ?
振り返ろうとしたその瞬間。俺の体に何かがぶつかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『お〜いそこの若いの。大丈夫か?起きれそうか?』
誰なんだようるさいなぁ…
久々に寝ているんだから静かにしてくれよ。あ、もしかして上司か?こんな声の奴いたか?とりあえず起きないとまずいか。
「はっ!渡辺明人起きております!なんの御用でしょうか!」
『ふぉっふぉっふぉ。さすがの社畜根性じゃのぉ。声をかけたら飛び起きおったわい。』
もしかして俺に声をかけてきたのはこの爺さんか?なんだよ、上司じゃないじゃん。ていうかここはどこなんだ?
なんとも真っ白なとこだなぁ。あれ?そういや俺さっきまで道路で歩いてなかったか?
『ふぉっふぉっふぉ。混乱しておるようじゃのぉ。信じられんかもしれんがお主はさっき死んだんじゃよ。』
何言っているんだこの爺さんは。俺が死んだだと?なんで?
『信じられんようじゃな。なら、ほれこれを見てみぃ』
なんだ?この板切を見りゃいいのか?何が映っているっていうんだ……
「お、おぇぇ……爺さんなんてもん見せんだよ。そんなグロ画像見せんなよ。」
『グロ画像じゃがこれお主じゃよ。』
「……まじで?」
あの完全なスプラッタ映像で出てくるようなのが俺だって?まじかよ。けどよく見てみると俺の服装と同じだし頭も…俺のだな。
『何でかよくわからんのじゃが。道路に鼻歌交じりに飛び出したお主が大型トラックに轢かれたんじゃよ。その上なぜかここに来おるし』
道路に飛び出しただと?確かあの時は会社辞めてきたからな。
テンション高くてそれで…
あ、そういやあの時は周り全然見えてなかったな。
『ここに来るものは大体自分が死んだことに気づいてないものが多いんじゃ。お主も気づいておらなかったからのぉ。それでここにきたわけじゃ。じゃが気づいたのならもうよいな?はよう輪廻の中に入ってこい』
え?やっぱ俺本当に死んだのか?死ぬほど働かせた挙句辞めたら死んだとかそりゃないだろ。
「ま、待ってくれよ爺さん!こんなのあんまりだよ!俺あんなに働いたのに…」
『ふぉっふぉっふぉ。やはりお主も未練があったか。できるだけ望みを叶えてやろう。どれ、お主の身の上を話すが良い。』
〜ぺちゃくちゃ喋ること数時間経過〜
『お、お主なかなかの壮絶な人生じゃのぉ。その仕事100時間耐久は何ともえげつないのぉ。死ぬ前の一ヶ月間の睡眠時間の合計が20時間というのも…』
「ははは、まあこの期間中は家にも帰れなかったからな。久々に血尿出たよ。」
『……よしわかった。お主の望みを叶えてやろう。その上司とやらには儂から天罰を送ることにしよう。』
「え?別にいいよ、そんなのは。それにあいつがいなくなったら仕事が増えてみんな大変だろうし。まぁ俺が辞めた分の仕事に関しては知らないけど。それより望み叶えてくれのならどっか誰もいないところでゆっくりしたいなぁ」
『お主ある意味大物じゃのぉ…ここに来るものは全員誰かを殺してくれというものばかりじゃのに。』
「そんなこと言ったってなぁ。あいつ死んでも別にどうとも思わないし。強いて言うなら全国のブラック企業のブラックさを無くして欲しいくらいかな」
『……お主じゃったらいいかもしれんな。
お主転生してみたくはないか?』
「え!何!俺転生できんの!ていうか転生してくれんの!?」
『お主なら転生しても特に害はなさそうじゃからのぉ。どうじゃ?異世界で第二の人生を楽しんでみたいとは思わんか?』
「本当に!え?異世界転生できんの?まじでか!じゃあ…異世界にいけるなら無人島とかお願いできませんか?」
『ん、何じゃ?お主無人島なんかでよいのか?』
「いやぁ異世界に行って無人島で修行した後各国を旅する。これってすげぇ夢があるんですよ!それに前から無人島でサバイバルしたかったですし。是非ともお願いします!」
『土下座までするとは必死じゃのぉ。よし良いじゃろ。望みを叶えるといったからのぉ。ならばお主らの世界風に無人島に持っていきたいものを3つ考えると良い。それを授けよう。』
「おお!さすがは神様わかっていますね!あ、今更だけど無人島だと転生できなくないですか?人間いないわけだし。」
『そこは儂に任せておきなさい。人一人作ることなど造作もないわい。』
「おお!さすがです!じゃあ心置きなく3つの物お願いさせてもらいます!」
以前から考えていたんだよ。無人島に何持っていくか。それはもちろんナイフと鍋と本!
ナイフはもちろんのだけど、鍋は煮焼きができる上、水を貯められる万能アイテムだからな。本は…ゆっくりしたいからかな。娯楽アイテムだって必要だろ。
よし!じゃあこの3つにしよう。
…いや待てよ。行くのは異世界だぞ?もっといいものがあるんじゃないのか?刃物は要るとして鍋と本は…う、うーん。いいものが思い浮かばないな。あ、面白いこと思い浮かんだ。ちょっとふざけてみるか。どうせ無理だろうけどね。
「神様決まりました。欲しいものは刀と魔法と超能力です!」
『よしわかったそれでいいんじゃな。では早速異世界へ転生じゃ!』
「え!ちょ!」
待ってくれ。ちょっとふざけてみただけなんだよ。本当はまだ考えてないんだよ。
後悔先に立たず。ちゃんと考えずに言ったせいで欲しいものが手に入らなかった。俺はなんてバカなことをしたんだろうと後悔しながら再び意識を失った。
皆さんは無人島に何持って行きます?
私は現実ではナイフと鍋と紐ですかね。
異世界いけるなら主人公と同じこと言うけど(笑)。