もう、誰も逆らえない
GW?こちとら、相変わらずボッチなんだよぉ!
……という訳で、GW中は毎日投稿するつもりです。o(T□T)o
―――ま、まさか、見られてしまうとは思わなかった。
完っ全に油断していた。頭が熱くなり、ぐにゃぐにゃとしたような形容しがたい状態に俺は成っていく。
不味い。どうしよう。兎に角、咄嗟に追い出してはみたものの、見られてしまったからには、当然、追求もされる。……あああああっ!どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう―――
「あのー、ご主人様?気分が優れないようですが大丈夫でございましょうか?」
「……い、いや、全く大丈夫じゃない。……どうしよう。こんな間抜けな姿を見られちゃったし……って!?ちちちちち。千草ぁぁぁ!?え!?……ちょっ!?いつの間に……って、みゃぁぁぁああああああああああ!見ないで!恥ずかしいから見ないでぇぇぇぇええええ!」
「大丈夫です。他の皆様には少しの間だけ、寝てもらいましたから。それに大変取り乱している所、悪いのですが、私個人としてはご主人様の事情は大体は予想出来るのですが……」
「え、マジ。な、なんで?と、言うかじゃ、じゃあ、あ、当ててみてよ」
てか、何気なく『寝てもらいました』って、言っていたけど、どういう意味なの!?……うん。知ってはいけないな。これは。
「はい。先程までの季節は夏。それに対して今から行くところの季節は冬であり、着きましては、今のご主人様は"人"としての要素よりも"獣"としての要素の方が強く、生活面や行動に強い影響を与えています。先日のチョコレートで倒れたのが良い例ですね。……従って、今のご主人様は何らかの能力か薬を使用して、夏毛から冬毛へと移項しているのではないでしょうか」
「………あ、はい。その通りです。ヨクワカッタネー」
え、嘘!?なんで、なんで、正解しちゃってんの!?
そうだよ!俺が部屋に入ってから綺羅に見るなと厳命してから毛生え薬(飲むタイプの育毛剤とも言う)を飲んだんだよ!そしたら、予想通り、古い夏毛が抜けてきて今から冬毛が、生えてこようとした時に皆に見られたんだよ!
すと言うか、すげぇ!けど、なんか逆に全てを見透かされてるようで怖いんですけど!?ま、まさか、昔有ったあの事とかあの事とかあの事とか色々と隠蔽したはずの個人的な失敗とかも知ってるって事なのかなぁ。
ちらりと千草の顔を見てみる。
……うん。ボクこの顔知ってるー。大体の事をお見通ししている人の顔だー。……終わった。これからは千草に逆らえる気が全くしなくなった。
「それで、ご主人様は後、どれくらいで生え変わりが終わるのですか?」
「……えっと、現在進行形で進んでるし、後、一分も無いかな」
「わかりました。廊下で寝てしまわれた皆様は私が運んでおきますね……それと、今回の件は秘密にしておきますので」
寝てしまわれたんじゃない。強制的に寝かしつけられたんだとは言えなかった。
「それと、綺羅。今も見ていますよね」
『……』
「黙りとは……―――覚悟の上ですか?」
いやぁぁぁこ、怖い!怖すぎるんですけど!?絶対あれ、キレてる。綺羅ァ!早く答えないと死ぬぞぉぉぉぉ!てか、はよ答えろやぁ!この空気に当てられ続けるのは嫌なんですけど!
『……』
「……ほう。これでもまだ。何も言わないとは―――良い度胸ですね♪」
何でだぁぁぁぁ!何故、答えない!何なの!意地?意地張ってんの!?俺が見んなって厳命したからなの!?
と言うか、ヤバい!語彙がかなり、貧困になってるけど、ヤバい!一周回って千草"様"、笑顔なんですけど!?
―――そこで、俺はふと、気付く。先程までよりも。木々といった、自然の香りが濃くなっていることに……。
ま、まさか、感知系スキルをフルで使って、回りの状況を把握する。……うん?地面が近付いてないか、これ?
も、もしかして、さっきまで、綺羅が黙りだったのって……そして俺は分かってしまった。分かりたくなかったけど、分かってしまった。……綺羅の状態を。……そうか、そりゃあ、黙りしたままだし、現在進行形で墜落してるよね。
あんにゃろう、とっくの昔に気絶しとったぁぁぁぁぁ!!!
不味い不味い不味い!千草は綺羅を解体そうとしてるし……他のみんなは千草の手によって寝ちゃったし……え?俺?子狐一匹に何が出来ると?
これって何気なく、過去最大のピンチじゃあ……。
しかしと言うか、やはりと言うか、時間は待ってくれなかった。
ぶ、ぶつかるぅぅぅぅ!
くっ……こうなったら、俺だけでも衝撃に―――
―――ドゴォォォォォン
「ぎゃあああああああ」
凄まじい衝撃が襲ってきて、全身を揺らし、毛の一本一本まで、響いていく。冬毛?そんなもんとっくに全て生え変わってるわ!
そして、すまない。大自然よ。絶対に今ので数十、いや数百haは吹き飛んだかもしれん……。
いつまでもオドオドしていても仕方がないため、確認のために外に出ることにした。千草?アンナコシラナイ。イマハカカワリタクナイヨー。
外に出ると、やはり、衝撃によってか抉れるようにして倒れた木々が……え。
目にはいったのは倒れずにいまなお健在な木々ではない。
あの巨体の綺羅が片手で受け止められていたのだ。
……俺はそれができる奴を知っている。
綺羅を受け止めていたのは、下駄に着流しといった全くといって良いほどこの季節感に合っていない格好に腰に携えられた瓢箪。何よりも額から伸びる橙色の鉤爪状の二本角をもった男であった。
「……ま、まさか、ほ、鬼灯ぃ!?」
まさかの身内の中で乃々に並ぶ脳筋さんであった。




