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世界は理不尽だけど最高だ  作者: 高旗空
第五章 忘れたい事は誰にもある 前編
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お着替えタイム

「あっ!白姫にエルザー!遅いよー!」


「すみません。遅れちゃいましたね」


「いやぁ、すまん、すまん。後で、お菓子をあげるからそれで勘弁してくれないか?」


「!わかったー!」


綺羅に案内され、とある一室にたどり着くと、そこには既に乃々、千草、黒姫が思い思いに服を物色していた。

乃々に怒られてしまったが、あいつの言う通り、まんま子供。お菓子を渡すという事であっさり許された。まぁ、精神と見かけは子供でも、まともに戦えば勝てることは無いだろうが……。


「……しっかし、よくここまで揃えたものだな。こんなに揃えていたとは、少しばかり予想外だったな」


「先程、ご主人様から転送された御召し物が全て揃いましたので。……良ければ、私が見繕いますか?」


そう言えば、この前、千草はあいつの家族の中では、従者をやっていると言ってたな。ならば、ここは本職に任せた方が早く決められるし、確実だろう。


「すまない。では、頼むとする」


「あ、私もお願いします」


「畏まりました。彼方で乃々と黒姫を待たせておりますので、待機は、彼方で」


千草の視線を追いかけると、開けた所で机と椅子を広げた二人が仲良く談笑をしていた。

そして彼女は一礼すると、音もなく、見繕いに行ってしまった。

……凄まじい錬度の穏行だな。しかも、無意識下でやってのけるとは。

ふむ。やはり、只者ではないな。……全く、こりゃあ、無闇に油断出来ないな。

……まぁいい。取り敢えず掛けるか。


「こちら、昔、ご主人様が道楽で創り出したスフィア=マリアと言う茶葉で淹れたものです。経緯は兎も角として、味は保証しますのでどうぞ。それと、後三分程で完了しますので」


「あ、ああ」


―――席に着いたと同時に、紅茶を淹れてくれた千草に対して私はそんな、生返事しか返せなかった。

……いや、まて、おかしいだろう!席に着いた途端に紅茶を淹れるなんて、淹れる時間と私達が席に座る時間を合わせたと言うことか!?

……と言うか、いつの間に淹れたんだ!?

いや、待て。落ち着くんだ私。昔もイナバはこんな事を毎日のように起こし続けていたんだ。そんな事で驚いてどうする。

今は、これを純粋に楽しむべきだろう。


「おぉ!あいつが道楽で創り出したと言っていたがかなり、うまいじゃないか。後で、茶葉を貰うとするか」


「そうですね。この甘い香りとかが、私は好きですね」


「そーでしょ!乃々とパパと蓮花の三人で創ったんだよー!凄いでしょ!」


「ほぅ、それは凄いな。にしても、蓮花とはお前の家族の一員か?」


「うん!そうだよ!えっとね、すっごい優しくてね、頭いいの!お手伝いしたら誉めてくれるんだよ!」


いまいち要領を掴みにくい返答だったが、一応・・良い奴なのだろう。


「そうか。……と言うことは、蓮花は植物に関する能力でも持っているのか?」


「すごい!なんでわかったの!」


「まぁ、長年の経験からと言っておこう」


「へー。そーなんだ!でね!これを創ったときはね、蓮花にパパと私で色々注文したりしてね創ってくれたの!けど、なんか、『い、遺伝子が無茶苦茶に……』とか『もし、これが市場に出回れば下手したら戦争だな……』って、なんかよくわかんない事も言ってたの!」


成る程。確実・・に蓮花は常識人だ。すまない。さっきまで疑ってしまって。まだ、会ったことは無いものの心の中で詫びを入れておく。

……と言うか、市場に出回れば下手したら戦争って、この茶葉にどんなヤバい特性が有るって言うんだ!?


「皆様。盛り上がっているところ悪いのですが、準備が出来ましたので、御召し替えを」


どうやら準備が出来たようなので、いつの間にか用意されていた試着室に入る。

用意されていたのは編み上げのロングブーツに薔薇の刺繍をこさえた赤いドレスと、首もとがモコモコとした白色の外套に口の部分に楕円形の赤い宝石があしらわれた革手袋であった。

……デザインもさることながら、一つ一つに付与エンチャントが施されている。……下手な防具よりかは何百倍も優秀であろう。


―――取り敢えず、着てみると驚くほど体に合った。サイズの調整でも付与エンチャントされていたのかな?


「どうですか?彼方は冬でなので、暖色を重視して選ばせて貰ったのですが……」


「問題ない。寧ろ、今まで着た中でも上位のものだ」


いつの間にか千草が居たが、もう気にしない。


「それは、良かったです」


それから暫くして他の皆も着替え終えて出てきた。


乃々は、モコモコした帽子を被り、茶色のダッフルコートで身を包み、足は黒色のタイツで覆われ、手袋とマフラーをしていた。

白姫と黒姫は乃々の格好を大きくしたようなものであったが、頭には帽子と一緒に御揃いの髪留めを着けていた。


「さて、準備も出来たようだし、イナバの所に行くとするか」


………………

…………

……


「おい、イナバ!こっちは準備が出来たぞ!何をしているか知らんがとっととでてき…………………………………………え」


イナバがいるであろう。部屋に入ると、そこには、所々毛の抜けたイナバが居た。


「えっと、その」


「み、みゃぁぁぁああああああああああみ、見ないでくれぇえええ!!!」


姿を見た瞬間瞬く間に追い出されてしまった。

一体、何があったんだろうか、戦慄を隠せない。……それにしても可愛い悲鳴だったな。







はい。という訳もクソも無いですがまた、名前だけの新キャラを出してしまいました。……不味い。このままでは増える一方に……。何とかしなくては!|х・)

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