歯車は回り始める
とある海域のはるか上空にて、一連の騒動の首謀者は騒動の結末を見ていた。
「―――――っ!なんで!なんで!全世界の主要都市に放った筈の屍獣が全て倒されているんですか!」
そう、わめき散らすも、ここには誰もいない。端から見れば、滑稽とも言える光景であった。
「あぁ、忌々しい!忌々しいですよ!"獣神"!貴方はいつまでも私の邪魔ばかりする!死してなお!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!なんで!―――「知るか。駄々こねてるんじゃねぇよ。子供か?」―――な、ん……で―――――――っ!」
「よう!今回の首謀者……いや―――――時と空間の女神様」
「……お前は、誰だ」
「おっ!冷静さを取り戻すのが早いな。てっきり、もっと慌てるかと思った」
「質問に答えろ」
やれやれ、強引だな。やっぱ、こいつとは反りが合わねぇ。
まぁ、今回は精一杯、道化を演じさせて貰おう。
「そうだなぁ。人神様並みの土下座して、泣いて嘆願してくれたら考えなくもないよ」
というか、クロード並みの土下座は見たことねぇ。日に日に洗礼されてっているからな。あのショタ神。
「な、めた、真似を!」
「うん。嘗めてるけど何か?」
「――――――――――――死ね」
突如としてデネフが斬りかかってきた。
あいつの得物は長剣と短剣の二刀流だ。しかも手数が多いんだろうな。
「よっ!ほいさ!とぉっ!」
取り敢えず、紙一重で避ける。
うおっ!あっぶねぇな、おい。一応は瞬の体なんだぞ!……無断で借りた、というよりハイジャックしたと言った方が良いかもしれないけど。
………あいつと会ったときどうしよ。
「よそ見をするなぁぁぁああああ!」
「…………あ」
ここぞとばかりに長剣を振りかぶってくる。
体を右に捻るようにして回避するも、長剣の先の部分が歪む。
不意に背後からの危険を察知したので、今まで使っていた空歩を解除して"落ちる"事によって背後からの現れたら長剣の先を回避する。
「うわぁ、その武器チートすぎるだろ。パワーバランス考えろよ。俺は通りすがりの一般ピーポーなんだけどなぁ」
「一般人は空を歩かないし、この攻撃を軽々と避けることができるか!」
あ、はい。ごもっともで。
……まぁ、こんなことにしている場合じゃないってのも分かってる。さっさと目的を果たすか。
「そろそろ帰りたいんで、さっさと終わらせて貰うわ」
「……何をふざけた事をここにはもう、私の時空結界が張ってある。私が許可しない限り、お前はここに「解放」―――えっ」
パリンと音を立ててあっさりと結界が崩壊する。
さっすが解放の力!束縛系と結界系には無類の強さを誇るだけの事はあるな。
デネフは驚きの余り動きを止めてしまっている。……チャンス!
すかさず奴の背後にまわると、天衝をがら空きの背中に放ち、それと同時にスキルを発動する。
「"読み取り"!続けての"複製"!」
「かはっ!……何をした!」
デネフを殴ったばかりの俺の手には一冊の本があった。
「よしっ!回収成功!いやー、"知識"のスキルは凄いなー。これだけでお前の持ってる全ての情報を手に入れられたんだからなぁ。アイリス様様だわー」
「……何故貴様がそのスキルを持っている!」
「え?何故って、加護貰っちゃったからな。まぁ、加護のパスを邪魔するのが有った感じだけどもう、取っ払えちゃったし。あ、じゃあ帰るわ、まったねー」
もう、用は済んだので、使い捨ての転移アイテムを使ってさっさと離脱する。
「待て!貴様は一体――――」
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「ふーん。こんな事するつもりだったのか。まぁ、今更知ったところで計画は変更されてると思うけど」
私は、早速手にいれた"デネフの知識"を読みながら酒で満たした杯を傾ける。くぅぅぅうううやっぱ、うめぇなひっさびさの酒は。
ここは要塞都市の時計塔。ここからの眺めは最高である。………下では未だにドンチャン騒ぎしているが、無礼講と言ったところだろう。……少々、気が抜け過ぎている気もするが。
「――――ん?なんだ?お前も酒飲みに来たのか?悪いが酒はやらんぞ、クロード」
「いやぁ、酷いなぁ一杯くらいくれても良いんじゃないのかな?キュウビ」
「黙れショタ神。てか、帰れ」
「いや!?それは酷すぎるでしょ!?昔のよしみでね?ね?」
「……はぁ、しゃあない。一杯だけだぞ」
「どうも」
新しく杯を出して酒を注いでやる。
「んで、なんか用か?………どうせならお前よりソロモンに会いたかったんだけど」
「いや、最後の言葉もバッチリ聞こえてるからね!?」
ちっ!この地獄耳が。
「……あかるさまに嫌な顔しないでよ……。で、僕が来た理由だけど、君に会いたかったからかな?」
「……すまん。ちょっと吐いてくる」
「ちょっとぉ!酔った、酔ったんだよね!きっとそうに決まってるよね?ねぇ?」
いつまでもショタ神で遊んでいるのも良いが、話が一向に進まないので、しょうがなく座る。
「はぁ、なんで、本当に、よりによって、お前が来たのかなぁ」
「ごめん。泣いて良い?良いよね?」
勝手に泣いてろ。
「けど、真面目な話、君はどこまで読んでいたの?今回の騒動だって、全ての魔王。否、君の眷族が鎮圧に協力してたようだけど、――――もしかして君が一度死んだのも、想定の内なの?」
なんだよ。お前でもこんな真面目な顔出来るじゃねぇかよ。
「さぁな。まぁ、一つ言えることは"やっと、始まった"それだけだな」
「…………ふぅん。そうか」
「そうだ」
―――――こうして月夜は更けていった。
ようやく四章終了です!
終わったぁぁぁぁあああ!というか、章を追う毎に話数が伸びていってる気が………うん。ま、いっか、良いよね?うん。
という訳で次回からは五章に突入です!
……しかし、ここまでの所、あまり瞬の見せ場が無いような気が……。取り敢えず、次の章では活躍してくれることを願いましょう。――――だって、零でも、こっからどうなるかノープランだからね!
案外これ、独断と偏見と直感で書いてるんですよ?
いつもこんなグダグダなものを見てくださっている皆様。これからも宜しくお願いします。
ではでは~♪
……あれ?最終回みたいな終わりかたに成っている気が………皆様!次もあるよ!あるからねぇぇぇえええ!?




