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世界は理不尽だけど最高だ  作者: 高旗空
第四章 物語は再び綴られ始める
83/146

結局、今回は主人公は一切活躍しない件

タイトルどうりです!

「……う、ううん。あれ?ここは……」


意識が覚醒する。

……見知らぬ部屋だ。……恐らく、さっき視ていた所で間違いないだろう。


「意識がまるで引っ張られるかのような感じだったな。ん?ああ、成る程な」


自分の体を確認したら目覚めた原因が判った。今の体には満月の光の様に輝く線が体全体を這うようにして覆っていた。原因は簡単だ。オリジナルスキル"月の紋章"が発動しているのだろう。それで全ての説明がつく。


=========================================

月の紋章(獣神専用スキル)


己の力を制限している獣神が自らの力を一時的に解放するために生み出したオリジナルスキル。

満月と新月の日のみ、神の力を取り戻す事ができ、全ての権能を自在に操ることができる。

なお、効果は特定の形をした月が出ていると自動で発動し、月が沈むと効果が切れる。

==========================================


これにより、よくわからん場所にいた意識が引き戻されたのだろう。まあ、一つだけ嬉しい誤算は有るのだが。


……にしても。


「もう、充分暗くなっているのになんなんだこの喧騒は?祭でもやってんのか?……たくっ。冗談を言っている場合じゃねぇな!」


そうだ。つまらない事を言っている場合じゃない。この音は紛れもない戦闘音だ。


「例の組織だか、何だか知らねぇが、目覚めの音としては最悪だな!」


恐らくはこの都市に伏兵を忍ばせていたんだろな。しかも町の前からとても嫌なものを感じる。


「まぁ、いいだろう!目覚めの運動にはぴったりだし、一暴れしてやるよ!特殊武装装着・"魂魄こんはくの魔装"!」


今の姿は両目が緋色に染まり、緋色と黒色をベースとしたローブを纏い、手には身の丈は有ろうかという死神の大鎌を携えている。


「今の体じゃあこれが限界ってとこだな。三百年も暇してやってんだ!暫くはテメェの体を借りても文句はねぇだろ瞬!」


――――そして、瞬の体動かす"誰か"は戦場へと舞い降りていった。



▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



―――時は少し遡り、結局、瞬が目覚める気配が全くしないのでさっさと例の組織を殲滅しに行った千草達は順調に今回の首謀者が居るであろう所に近づいていっていた。


「……いや、というか全員一撃で仕留めていったら、順調も何も無いと思うんだが」


そう、仮にも千草、綺羅、乃々、暦、白姫、黒姫は獣神の眷族であり、そのうちの四名は長き時を過ごしてきた者達である。

寧ろこの程度で手こずっていたらそれこそ獣神の眷族の名折れである。


「さて、この奥に今回の首謀者がいるようです。では、突入しましょうか」


「緊張感の欠片も無いな」


「いえいえ。それほどでも」


「誉めてないわ!」


そんな茶番劇を繰り広げながらも一行はあっさりと突入する。

そこには妖艶な露出の多い服を着た艶やかな女性が謎の祭壇に祈りを捧げていた。


「あら?これはこれは。我らの神聖なる祭壇に随分と乱雑に入ってくるんですね。これだから異教徒には」


「残念ながら私達が信じている神は一柱だけなので。寧ろ貴方の方が異教徒ですよ」


「あら、残念ですの。流石は獣神の眷族(・・・・・)なだけは有りますね……それも沢山。まさか、かの魔王までも傘下に入れていたとは、嗚呼!嘆かわしい。魔物の頂点に立つ王とあろうものがひれ伏すなど!嗚呼!なんて愚かで嘆かわしいんでしょう」


「……狂っているな」


「ええ、とても。しかしここまで来ると滑稽ですね暦」


「はい。無知と言うのがここまで面白いものとは思いませんでしたよ。それにしてもエルザさんは私達が獣神の眷族で有ることに驚かないのですね。やっぱり知っていましたか?」


「そりゃあな。というか、あいつに関わった奴の大抵は勘付いているよ」


「やっぱり、瞬って、嘘下手くそだよねー」


「乃々ちゃん。それをマスターの前で言ってあげないで下さいよ。本人は完璧に騙せていると思っているんですから」


「シュンさんならあり得ますね」


「まあ、シュンだしな!」


「私を無視するとは何様ですか」



「あら、まだ居たのですか露出教徒さん?てっきり男を求めて姿を消したと思っていましたよ」


「貴様ぁぁぁあああああ!」


明らかに千草の言葉には棘があった。なお、本当に彼女の事を忘れていたのは乃々と綺羅だけである。


「まぁ、いい!もう、既に要塞都市は陥落したでしょうから」


「―――――……………なにっ!」


「では、私はこれで」


そう言うと女の腕輪が輝き、女の姿は一瞬にして消えてしまった。


「空間転移か!」


「……綺羅!」


「わかってます!………繋ぎました!」


綺羅が空間を繋げ、一堂は要塞都市に跳ぶ。


そこには所々から煙を上げる都市と、その手前で万に匹敵しそうな触手を生やした巨大な肉塊と表現すればよさそうなナニカと戦っている瞬がいた。

最後に来た綺羅がこう漏らした。


「……成る程!取り敢えず都市は陥落してないってことで良いんです…よ………ね?」


「「「「「「う、ううん?」」」」」」


恐らくだが最悪の自体は免れているらしい……………多分。

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