製作と完成
「目覚めると、夢だった……なんてことには、ならなかったか……」
瞬は、目覚めると灯りの代わりである発光石を取り出しながら呟いた。
「てか、今何時なんだっけ」
つい寝ぼけていた瞬は、プロテクションブレスを腕時計で時間を確認する動作をしてしまう。
「いけねぇそんなプロテクションブレスに時計の機能なんてあるわけねぇよな。……って、あるぅぅぅううう!!!!!」
まさかの、元からある機能ですとばかりにプロテクションブレスから今の時間が7:54と、浮き出てきた。……今のでバッチリ目が覚めてしまった。……高機能すぎるだろこの腕輪と、つい心の中で、ツッコミを入れる瞬であった。
その後、腕輪の高機能さに変な感動をした後、軽く朝食を取ってから俺は、迷宮の探索を初めた。
鬱蒼と木々が生い茂る中、道中では、既に戦ったことのあるゴブリンやその上位種を倒しながら進んでいるとふいに、何かが飛んできて、地面に当たると、爆発を引き起こした。
今回は運が良く、手前で爆発したため、後ろに跳ぶことで回避することが出来たが、もし直撃していたら、体は五体満足とは、いかなかっただろう。
爆発した場所を見ると、小規模なクレーターが出来ており、少量の魔力が残っていた。
爆発の原因がいる方向を見るとそこには、林檎のような木の実を実らせた樹木で出来た魔物がいた。
「クレーターに残っていた魔力と同じの魔力をあの木の実から感じるな。……さしずめ、あの木の実を投げて魔力爆発でも起こしたのか?」
するとそれを肯定するように、樹木で出来た魔物は、「キィイイイイ」と、奇声をあげながら木の実を投げつけて来た。
「予想どうりだな」
瞬は、そう言うと木の実を避けて、攻撃をしてくる蔦を剣で斬り飛ばしながら魔物に近づいて行くと魔物は木の実を飛ばすのを辞め、瞬を捕まえようと、あらゆる方向から蔦を飛ばして来た。
「"螺旋旋舞"」
瞬は、その技を使って絡みつこうとする蔦を全て断ち斬ってそのまま剣で相手の核を斬ってトドメを刺した。
トドメを刺した瞬間に魔物は朽ちて消えて行き、深緑色の真ん丸の石が残っていた。
「なんだこれは?」
瞬は、とりあえず手に入れた深緑色の石を鑑定してみた。
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トレントの魔石
Bランクの魔物であるトレントの魔石。なお、魔石は、Bランク以上の魔物から手に入る石で様々なことに利用される。
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どうやらこれが魔石らしい。鑑定による説明を見る限りでは、様々なことに利用されるとの事なので、無限収納にしまっておき、迷宮を攻略したら売ってみよう。恐らくこれからの旅の軍資金には、なるだろう。
その後何度かトレントと戦ったり新しい種類の大きな蟷螂や蜂の軍団を倒しながら進んで行くこと、数時間。
初めの時は、階段を見つける事が困難で、かなりの時間を喰ってしまったが、進んで行く内に慣れていき、数時間で30層から40層にとてつもない速さで たどり着くことが出来た。
「なんか戻って来た気分だな」
40層は、瞬が転移した25層と同じ洞窟型の地形であったからだ。
けど、採取出来る鉱石の種類は違うようだな。そう言うと瞬は、新たに採取した恐らく種類が違うであろう二種類の鉱石を鑑定してみる。
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ダート鉱石
熱を通しにくい特性を持つ鉱石。ほかの金属や鉱石との相性も良く、様々な武具に使用されている。魔力との相性も良い。
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火薬石
燃やすと構成成分を燃焼させてやがて燃え尽きる特性を持つ鉱石。また、これを粉にし、紅蓮石の粉と混ぜ込み、燃やすと爆発を引き起こす。しかし利用法がないため、ほとんどの者が価値のない物だと、考えている。
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この二種類の鉱石は、この階層で沢山取れた。その後、不自然に空いた空間が在るのを見つけ鑑定すると"安全領域"という魔物が襲わない所を発見したため、そこを本日の寝床にする事にした。
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さてとと、瞬は無限収納から今までに手に入れた鉱石の中から黒楼石、紅蓮石、ダート鉱石、火薬石を取り出しながら考える。
現在瞬は、これらを使ってある物を創造の能力で作ろうとしているが、これらを繋ぎ留める為の媒体がないため、作ることが出来ないのだ。
何故、瞬がその事を知っているかと言えば、当然、ダート鉱石と、火薬石を手に入れた時に実行しており、作る事自体は成功した物の、全ての鉱石を繋ぎ留めるための媒体がなかった為、一回の使用で、バラバラになってしまったからだ。
「確か魔法って魔力を媒体としているから使えるということは、どうにかしてそれと同じようなことが出来ねぇのかな」
しばらくの間、魔力を媒体とする方向で、考えているとふいに、一つの考えが、生まれた。
「―――そうか!魔石のように自分の魔力を固体にしてそれを媒体にすれば良いんだ!」
思いついたら即実行するのが、俺のスタンスだ。
幸い俺には、チート生産能力の創造がある。なので純粋に、魔力だけから創造を使って、魔力を固体にすればいい。
「"創造!"」
魔力を100程注ぎ込んでスキルを発動すると、そこには、拳台の大きさの漆黒の魔力で出来た結晶が出来ていた。
「さしずめ、魔力結晶って所かな」
俺は、創造によって生み出した漆黒の結晶を眺める。
「じゃあ早速作って見ますか」
無限収納から黒楼石と紅蓮石、ダート鉱石、火薬石を魔力結晶と一緒に並べて、創造を行う。
「さて、本日二度目の"創造"!」
四つの鉱石は、媒体となる結晶から出てくる漆黒のオーラに包まれて、少しずつその形を成していく。数分後、自身の集中力を全て注いで、目的の物が出来た。
「……ハァハァ―――ついに完成したぞ"拳銃"が」
今瞬の目の前には、銃身が少し長いタイプのリボルバー式で、互いに寄り添うように生まれた、白と黒の二丁の拳銃があった。
そう、まさに今瞬はこの異世界の地に故郷地球の現代兵器を生み出しただ。
「名は、そうだな二つで"双生の魔銃"にして、一方を"白姫"もう一つを"黒姫"とでも名付けよう!」
正直名前は、思いつきである。
「しかし後の問題は、弾だな」
拳銃を扱う為に必要なのは、何と言っても弾である。しかし弾を生み出す為には、一つ一つに拳銃を作った時と同じ集中力を注ぎ込まないといけないからである。
「まあ、そこは、慣れだろうな」
そんな事をぼやいているとふと、俺は一つの考えに至った。
今までの魔力の扱い方から、俺の中では魔力の扱い方=イメージという独自の方程式でやってきた。ならば、魔力を弾の代わりに打ち出せば良いではないか。
俺は早速、片方の拳銃を構えて銃身に魔力を集めるイメージにして、引き金を引く。
ドパァンという音と共に魔力の弾が、打ち出された。しかし試作の時に弾を込めて撃った方が撃った後の壁の様子を見ると、高いことが壁を見るとわかった。
「まあ、速さと射程は問題ないしある程度弾が出来るまでや、弾がない時の応急処置には、いいだろう」
俺は、拳銃を作った時に一緒に製作した腰に装備するタイプのホルスターを装備すると、そこに作りたての二丁の拳銃の、"白姫"と"黒姫"を装備する。
心なしか、満足感が体を満たした。
こうして俺は、満足感と共に眠りへと、着いた。