例の組織とか関係しないうちに大陸の危機が
「おーいパパー。あれ?どうしたんだろ?なんで返事しないの?ねーえー!」
その直後、地面に何かを叩きつける音が聞こえてくる。
それも一回ではない何度も、何度も、連続でだ。……………はっ!いかんいかんいかん!
「……え、えっと……君がイナバの言っていた乃々ちゃん?なのかな?」
ようやく事態を理解した私―――エルザはいまなお自覚の無い攻撃を加え続けている腰に携えた大きな箱が特徴的な女の子に声をかける。
というか、早くこいつへの攻撃?を止めさせなければこいつがやばい。絶対に最初の常識外なハグで骨は何本か逝っていたし、今は止まっているものの、頭からはがっつり血が垂れ流されている。
……しかしまあ、止めたところで私は治癒系統の魔法も魔術も使えないのでこいつの命は風前の灯であることには変わらないが。
「うん!乃々だよー!にしても……おねーさんの魂って、不思議だねー。けど、綺麗だからすきー!」
この子は一旦手を離すと、満面の笑みを浮かべて抱きついてきた。……何故かなつかれたんだが……おぉ!か、かわいい。天使だなこの子は。あいつの娘には勿体無いと思えるほどだ。
「ねー、ねー、おねーさん。パパがねー起きなくなったの。さっきは乃々の名前、読んでくれたのになんでー?」
―――君のせいだ。とは、言えない。……どうしよう。
しかし、事態が動いたのは、私がどう伝えるか少し考えようとした矢先だった。
「乃々ちゃんー。い、いくらなんでも、マスターを見つけたからって、高度数千メートルから飛び降りないでよー!今のマスターは不完全何だから、もし当たったら、マスター死んじゃいますよ。って、マ、マスター!?なんで、ししし死にかけているんですかっ!?たった一分程の間に何があったんですー」
「あっ!綺羅ー。遅かったねー。ねぇ、ねぇ、パパが寝ちゃったんだけど、どうすれば良いの?」
……空からまた一人、来訪者がやって来た。このおどおどした子は確か綺羅と言っていたな。
今なお地面に沈んでいるこいつ曰く対人との交流が壊滅的と言っていたが身内だったら、しっかりと話せるんだな。
「乃々ちゃーん!?それはマスターが死にかけているからですよ!それにこの、頭の傷。バッチリとどめ指しちゃってますぅ」
言ってしまった。彼女も自分の失言に気付いたようで、必死にフォローしようとしたが……手遅れだった。
「……乃々のせいでパパが死んじゃうの……ひっく…えぐっ…………うぇぇぇええええん」
やっぱり泣いてしまった!しかしどうやら彼女はこのような突発的な出来事に弱いらしく。ただただ、慌てるだけだった。
「――――――……っ!乃々ちゃん!は、箱が開き始めたんですけど」
急に彼女が慌て始めた。確かによく見ると、この子が背負っている箱が僅かにだが、開き始めていた。
しかも箱の隙間から黒い瘴気が漏れ出していた。……あれはまずい。本能がそう言って、警鐘を鳴らし続けていた。
「おい!綺羅と言ったか。あの、瘴気は何なんだ!一体何が起きようとしている!」
「ひゃっ!ひゃい!や、厄災ですっ!な、何が起こるかは詳細は不明ですが、このままだったら、大陸が不毛の土地とか、化しちゃいます!」
成る程な。どうせそんなことだろうと思ったよ!なんでこいつの関係者は皆そう、何気無い事で世界を滅ぼせるような奴等ばっかりなんだ!
私は頭を悩ませながら"厄災"と称された子と向き合うのだった。




