魔王が攻めて……来なかった!
あれ?何でだろう?
思ったより平和な気が……
こういう時って盛り上がっている筈なんだけどなぁ(;゜∇゜)
城壁の方にたどり着いた俺達が感じたのは、静寂だった。
「……嵐の前の静けさ、とでも言うべきなのかな」
「そうだな。まあ先程、ここの領主に魔王が来るのを伝えといたからな、暫くしたらここも喧騒に包まれるだろうな」
あ~。やっぱりそうなるのかな。
まあ、"魔王のシステム"を作ったのは私でも有るんだけどね。
けど、やっぱりなんか変な気分だなぁ。
「そういえば、お前はいつ元の姿に戻るんだ?もう、敵は姿を晒しただろう」
「いや、まあ、そうなんだけどね。この姿が今のところ、元の姿よりも強いっていうのもあるけど、ほら、まだ敵の大将首取ってないし」
「お前がその気なら今晩辺りにこの都市を焦土に変えれるだろうが。私に対する嫌みか!」
「いやいやいや!あの時は私が勝ったけど、あんな狭い場所じゃなかったら、エルザが勝ってたでしょ」
「はぁ、お前らしい返答だな。では、どうすれば、前の様に私に余裕で勝てるんだ?」
ええ~、そうきたか……実際問題、そうだなぁ。
「まぁ、乃々が加われば勝てるかなぁ」
「例の問題児か?」
「そうそう。ほら、前の試合で私が部分装着で天満の錫杖って出したじゃん。けど、それだけなんだよ」
「それだけとは?」
「んー。口では言いづらいけど、私本来の戦い方って、いろんな魔道具を駆使して臨機応変に対応していく戦い方じゃん。ほら、腰に背負ってた大きな箱から取り出す」
「あぁ。そうだったな。しかしそれが彼女とどう関係………まさか!」
「そ。前に乃々の種族についても言ったでしょ。あの時の箱が乃々って訳。いや~。万華武装だけだと、強いんだけど、あの時みたいに幅広く対応できないからね」
「……成る程。まさか面識が有ったとは」
まあ、あの時はお忍び的な感じでも有ったからね。
「エルザ殿!先程の一報の元に馳せ参じました!」
鎧に身を包んだ男が兵を引き連れてこちらに向かってきていた。
あ、彼が例の領主って訳ね。
「おお。クウォーツか。早かったな」
「ええ。魔王が進行してくると聞いて急ぎ兵を整えて来ました。……しかし、私の代になっていつに魔王が進行してくるとは」
へぇ、代々この都市をこの一族は守っていたんだね。
まあ、彼はついているのかついていないのか、どっちだろう?
「まあ、安心しろ。今回はうまくいけば無駄な血が流れなくて済むだろう。それにクレハの娘が既に行ったようだし、こちらには切り札となる馬鹿もいるからな」
馬鹿とは失礼な。まあ、否定出来ないけど。
「おお!かの御方がいるのなら安心ですな。して、こちらの切り札となる馬鹿とは……」
「ほれ。昨日、話しただろう私に余裕で勝った奴だよ」
「いやだなぁ。過大評価だよ。一応ギリギリだったんだからね。あ、領主様こんにちはヤタっていうしがない烏の獣人です」
「私の名はクウォーツ・アルドレット。この都市の領主を勤めている。ヤタ殿。一緒に魔王を退けて見せましょう!」
「嫌ですねぇ。それだったら私が悪者扱いじゃあ、ないですか。これでも私、平和主義なんですよ」
「ああ。済まない………―――っ!?何者だ!貴様!?」
「あ、名前を申していませんでしたね。私の名は暦。魔王をやっている者です」
「「はぁ!?」」
魔王、来ちゃいましたね。
……こんな姿だけど私だと気づいてくれるかなぁ。




