乃々接近中
―――千草から説教を受けたその日の夜、俺達は部屋の一室に集まっていた。
「……で、これからの予定ですが、二組に分かれる事にしました」
あの、千草さん?そんな、笑顔で睨まなくても良いんじゃないですか?もう、いやというほど実感しましたから。反省しましたから。
……ホント、俺って皆から信用されてんのかなぁ。
「それではどのように分けるつもりなのですか」
「取り敢えずは、現状でいうと二つの問題がある。一つはあの魔王の活発化。正直、信じられないというのが本音だが、もしかしたらあちらの方でも以上事態があったのかもしれない。
もう一つは、うん。乃々がこっちに来ちゃっている事。正直言って、こっちの方が魔王関係よりも数十倍やばい。と、言うわけで一度に解決しないといけない事が出来たので、二組に分けて、同時に解決しちゃおうって魂胆な訳だ」
「あの、所で、乃々さんという方の事を何故それほどまでに危険視されているのですか?」
そういえば、白姫と黒姫は乃々についてはなにも知らなかったっけ。
「そうだな。まず、一つ言えるのは、最悪の場合、この大陸が一応、滅ぶな」
「ええぇ!た、大陸が滅ぶんですか!いや、いくら冗談にしても、そこまでの事をやってのける事が出来るんですか!?」
「ああ、比喩とか冗談じゃなくてマジだ本気と書いてマジだ」
俺は冗談とか無しに自身の言ったことを肯定すると、双子は、絶句していた。
まあ、確かにそんな阿呆な事を言われても信じる事は容易じゃあ無いからな。
「一応、乃々のについて言っておくが、まず、あいつの主だった力は死霊術によるところが多いな」
「……死霊術ですか?」
「ああ。しかし、死霊術っても、色々有ってな、不死族を作ったり、操ったりして、最後には浄土へと送還する"輪廻術"のようなスタイルではなく、乃々の場合は死霊術の一つである"憑依術"。つまりはゴーレムといった、物に霊を宿らせる方に特化しているんだ」
「"憑依術"ですか。確かに、精霊王様から頂いた知識の中にもその知識は有りますが、とても難しい物ではないのですか?……ええっと、"物と魂の声を聞く"?事が出来ないと殆ど成功しない様ですけど……」
「ああ、その通りだ。と言ってもまだこれも能力よ一端なんだが、―――とにかく、乃々はそれをほぼ、成功させることが出来る。それは、何故か!それは、乃々の種族が関わっているんだ」
「種族とは、この世界で確認されている六種族ではなくて千草さんのような魔物方面の種族という事ですか?」
「そうだなぁ。どちらかと言えば精霊族に近いが、千草のような魔物系でもあるな。と言っても、乃々の種族は俺が生み出したようなもんだな。で、詰まるところ―――その種族名は、付喪神。俺が初めて作った道具から生まれたこの世界では乃々しかいない、唯一の種族だ」
▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
―――アグナスの森。人間族の大陸と海を挟んですぐ隣に位置しており、魔人族の住む大陸が"地獄"と揶揄される理由の一つである。
その森の魔物達は絶えず戦いを続けている弱肉強食の世界であるが故にそこを通る者は、果てしない戦いと死を覚悟しなければならないとも言われている。
―――しかし、絶えず魔物の声が響き渡っていたその森は現在、完全なる静寂に包まれていた。
そう、この森の強者も弱者も等しく身を潜めているのだ。
それは何故か。理由は至極単純。この森の魔物を遥かに凌駕する圧倒的強者がこの森を通って、まだ死にたくないからである。
そして、その圧倒的強者は鼻唄を歌いながらこの森を進んでいた。
外見は幼い。漸く十歳に行ったかの様な少女の外見であり、淡い藤色の髪に水銀色の瞳を持ち、黒色のゴシックドレスに身を包んでいた。
しかし、最も特異とするのは腰に携えられたその丈には合わない巨大な宝箱であった。
そして、彼女―――乃々は森を抜けた。そして、彼女の眼前には青い海と自分が求めている人物がいるであろう大陸が乃々の目には写っていた。
「やったー!海だー!」
そう言うと彼女は砂浜でせっせと遊び始めていた。
そう、瞬が乃々を危惧していた圧倒的な要因。それは、その外見にみあった精神年齢の低さであった。
最近、自分がロリコンじゃ無いかと少し思ってきた(´・ω・`)




