師として
すいませんでした。遅れてしまいました。
「ん~、あばら五本と左足と両腕が逝っちゃって、内蔵も幾つか損傷か~。もしかして鍛練サボってた?」
試合が終わると直ぐに、俺は倒れているクレハの状態を確認する。
いや~。流石に城の中だったから、全力が出せなかったとはいえ、ここまでぼろぼろにやられるとは思ってなかった。
「どうやらそのようですね。恐らく、半神に転生したので調子に乗っていたのかも知れませんね。責めて、傷一つは貰う覚悟だったのですが、期待はずれです」
おー、バッサリと言い切るね。
まあ、そこに対しては同意見だけど。
「取り敢えず千草、クレハの傷を全部治してやれ。流石にこのまま、さようならは俺としては酷だしさ」
「……はぁ。わかりました。正直、これも経験ということで多少の傷は残したかったのですが他ならぬご主人様からの御命令です"エクスヒール・弍式"」
千草が物凄くめんどくさそうにしていたが、何とか治してくれた。
……いや、素直に治してあげようよ。
暫くすると、クレハが目覚めてくれた。目覚めてから腕や脚を動かすと、特に違和感なかったようで、どうやら無事、完治していたようだ。
「おう、どうやらどこも以上がなかった様だな。気分はどうだ?無様だったね(笑)……あっ!止めて!頭掴むの止めて!普通に辛いから」
あー、やべ、びっくりしたー。全く、クレハの奴は短気なのが、玉に傷なんだよなぁ。……皆が『自業自得だろ』って、目で見てくるけど無視だ無視。知~らないっと。
「……しかし、クソ師匠が言うことも一理ある。確かに私は半神に転生を果たしたがやはり、何処かでは傲っていたんだろうな」
あれ?なんかこの場がしんみりとしてしまった。……うぅ。こんな空気は嫌いなんだけどなぁ。
「けど、クレハ。正直言わせて貰いたいけど、今のままだったらこの先、確実に――――――"死ぬよ"」
「―――――っ!」
「まあ、この先どうなるかはわからない。これは選択でもあるんだよクレハ。一つはこのまま無様に死に晒すか。もう一つはこのまま表舞台から去るか、だね。と言っても俺としてはもう一つの方をおすすめするね」
そう、これはクレハにとっての分岐点でもあるんだ。
このまま無様に死ぬか、挫折を残したまま逃げるか、それが俺が示してあげる道だ。
と言ってもクレハがこれらどちらかの道を歩もうと、俺個人としての興味が無くなるだけだけど。
「―――ですっ」
「え?何だって?」
「どちらも嫌ですっ!」
「ほう。その心は?」
「そんな事しか選べない程私はいない!だから私は自分で作った選択肢を選ばせて貰う!」
「ははっ、ははははは」
俺はその答えを聞いて、笑いが堪えきれなくなり、笑った。思いっきり笑ってやった。―――嗚呼、こんなにどうでもいい様なことで、馬鹿笑いしたのはいつ以来だっただろうか。
「ははっ。今頃そんな事に気付いたのかよ。遅すぎるて、思わず笑ったじゃないかよ馬っ鹿じゃねぇの」
「それは、こんなクソ師匠の元で修行をしていたからだと思うがな」
「それは、一理ありますね」
「ちょっ!千草まで!本当に皆、俺の事どう思っている訳なの!?ねぇ!泣くよ!ねぇ!」
「「さぁ?」」
「くっそぉぉぉおおおお!!!」
―――そこには、かつての姿の一片が写っていた。




