レアアイテムは使い辛い(持論)
前話で主人公のキャラが目茶苦茶だった気がしてきた。まあ、どうも出来ない様な気もするけど、頑張ってみます。(何を頑張ってみるかは不明)
「さて、そろそろ時食みの砂時計の効果も切れるかな」
俺の正体?についての説明―――個人的にはなんかもやもやが残った―――が終わってから暫くクレハと言葉を交わしていると、時食みの砂時計にピシッという音と共に罅が入り始めた。
そう、この停滞していた時が元に戻ろうとしているのだ。
パリィン
儚い音を立てて時食みの砂時計がその役目を終え、光になって消えて行くのを皮切りに停滞していた時が元に戻った。
……にしてもこういう使い捨てのレアアイテムを使うのってやっぱ、緊張するなぁ。
この気持ちはあれだな。どっかのRPGのゲームで完全回復するエリクサーを使うのと似た気持ちだ。まあ、持論ではあるが。
それに大概はラスボスの時にレアアイテムを使おう思って、最終的には使わずにメニューの肥やしになってしまう事をこの世界でも俺はやっているのだが。……勿体無くてねぇ。
「ん?あれ?なんかクレハさんと稲葉。さっきと格好が違わないか?」
「あ!確かに、立ち位置が違う気が」
「いんや、気のせいだよ。気のせい」
やはりというか先程―――といってもこちらとしては三十分経っている―――と比べて立ち位置等が変わっている事に疑問を持ったクラスメイト達から疑問の声が上がったがテキトーに宥めておく。
「てかさ、今思ったんだけど、稲葉のその姿は何なの?」
唐突にクラスの中でも冷静な樫宮からそんな質問をされた。
……今の姿?えっと、解放の武装の黒コートを含めた黒ずくめの装備に黒い狐耳と尻尾。あ、すっかり忘れてた。確かにこの姿には皆疑問を持つだろう。……特に狐耳と尻尾。
さて、どう言い訳すればいいのか。その面子から考えて……あ、無理だ。今までこいつらに嘘をついてもすぐばれてるし無理だこれ。そうだ!
「え、何って今、現在の俺の姿をそのまま人形が模倣しただけだけど」
出来る限り自然に何気無く言ってみる。取り敢えずこの狐耳と尻尾はコスプレの類いだと思って欲しい。割と切実に。
「……目が無茶苦茶泳いでるな」
「絶対あの耳と尻尾コスプレじゃないだろ……動いてるし」
「というより、あれで誤魔化せると思っているのがすごいわね」
「み、皆。一応あれでも頑張っている方なんだよ。昔よりは遥かにましだよ」
「マジかよ。で、どうする?」
「……可哀想だしコスプレだと思っている呈で行くわね」
何やらクラスの皆が話しているが俺は内心冷や汗がダラダラだったので聞き耳を立てる暇もなかった。
「と、取り敢えずそこら辺は稲葉の趣味と言うことね」
おお!あの一言でそこまで察するとは流石、樫宮!……なんか周りの視線が生暖かいけど。
「……あれで良かったのかしら」
「……あー、多分大丈夫だと思うよ。尻尾、もの凄い振っているし」
「犬みたいだな。あ、狐も犬科だった」
「よく知ってんなお前」
「おーい皆、何話しているん?」
俺が話しかけると皆はハッとした表情になった後、俺になんでもないと言ってきた。
まさか俺だけハブられているのか。……うっ、ちょっとショック。
「……何を話していたかはもう良いとして、取り敢えず皆に元の世界に帰る方法だけ言っておくわ」
兎に角、俺はさっきの事を気にしない様にするために、さっさとクラスメイト向けの本題を言った。
「お、お前、今、何て言った」
「え、元の世界に帰る方法だけど」
「「「「「えぇぇえええ!!!」」」」」
「うわっ。そこまで驚く事?」
「「「「「驚くわ!」」」」」
「あ、はい」
クラスメイトの目が血走って少し怖いと思った事はヒミツである。
「で、方法なんだけど、取り敢えず後、一年は掛かる」
「え、今すぐは無理なの」
「うん。無理だわ」
「マジ?」
「大マジ、大マジ」
それを伝えるとクラスの皆は少し落ち込んでいたがすぐに活気が戻って来た。ど、どうした。
「………どしたの」
「いや、よく考えたらこれって後、一年で確実に帰れるんだよな」
「まあ、そうだね。まあ、一年と言うよりも一年以内かな?それが?」
「要するに俺達は一年程このゲームみたいな世界で大義名分を得た上で過ごせると言うことじゃないか」
???どういうことだ?
詳しく聞いた事を要約すると、これって学校サボれる上にこの世界で俺TUEEEEE出来るんじゃね?と言うことだった。
思ったよりも軽いノリのクラスだったようだ。
しかし、これだけは伝えなければならない。
「済まないがそれ、無理だわ。だって、この世界の方が元の世界よりも時間の流れが速いし。多分一年で戻っても数秒しか経ってないと思うぞ」
……その言葉からクラスメイトが立ち直るのには少しだけ時間を要したという。




