これが本当の再会
済まない。
予約投稿ミスった。
「おーおーそろそろましに成ってきたんじゃないか」
のんびりとした声がしたのも束の間、明らかに急所を狙った連撃がこちらに向かって来る。
「そう言いながら、クレハさんは、余裕、です、ね!」
そして、俺―――岩下はその連撃を紙一重で回避する。……やべぇ、今の絶対に獲りに来てた。
「そりやぁ、遠い昔にクソ師匠と愉快な仲間達に一から十まで鍛えられたからなぁ。ほいっ、トドメ」
そんな身の上話を聞いていたらやられてしまった。
「まー岩下。一応お前はよく粘った方じゃないか?」
「よく言いますよ。クラスの皆を全て倒したっていうのに。皮肉ですか?」
俺は起き上がると、ついさっき、クレハさんにボロボロにされ、ぽつりぽつりと復活してきているクラスの皆を見て溜め息をする。
俺はここに来て一つ、分かった事がある。
それは、現在俺達の稽古をつけてくれるクレハさんの頭には恐らく「常識」という二文字が抜け落ちている事だ。
「いってて、それにしても容赦無いですね。クレハさんは。何で模擬刀とかを使わないんですか?」
「それは、確かに思いました。その、もしかして、クレハさんが例の師匠+αに鍛えて貰った時もこのような実戦形式だったのですか?」
起き上がった鈴町と樫宮が、それぞれ、クレハさんに質問した。……確かに俺も気になってはいたのでここは話が進んでいくのを待ってみる。
そう言われたクレハさんは、んーと唸った後、微妙そうな顔で口を開いた。
「いや、まあ、クソ師匠+αと模擬戦は"試合"というよりも"死合"だったな。……こっちが殺られる方だったしな。……あぁ、魔王と戦わせられそうになったときは流石に焦ったなぁ」
そう言って、クレハさんは遠い目で、虚空を見つめていた。……なるほど、クレハさんも大概だったけれど、その師匠+αもそれ以上だった様だ。
「へぇ、そんな事言うんだったら今度はその、+αの内のどれかと戦ってみよっか」
と、唐突にこの場にいる。誰でもない声がクレハさんの後から聞こえてきた。
「……その嫌がらせが生き甲斐の殆どを占めてそうな声は、クソ師匠ですか?」
「うん、そうだね。ひさしぶりだねクレハ。そして、再会の所悪いけど俺の自信作のちびっこイナバくんの頭を鷲掴みにするの止めてくれないかな。あ、マジでつらい!ギブ!ギブアップ!」
「よし、お前ら、今日の訓練は終了な。ちょっとこのクソ師匠を絞め……いや、この世の地獄を見せてくる」
そう言ってクレハさんはとても爽やかな笑顔をして、何処かへ行こうとしている。
「ちょっとぉ!言い方を変えるにしてもそれは無くないか!」
「も、もしかして稲葉か」
「あー、はい、はい、その台詞は二回目だな。そうです。異世界に来てから僅か数分程で駄神に転移させられた稲葉さんです」
まさかのクレハさんの師匠は我クラスメイトの中でも飛び抜けて頭のネジが吹き飛んでいる稲葉であった。
その姿はとても残念だったが。




