ステータスはやっぱりおかしかった
主人公のステータスの登場です。
7/5一部修正
「やった、成功だ!」
召喚されてすぐにそんな声が聞こえて来た。
周りを見てみると如何にも神官の格好をしている人達が喜んでいるのが目にに写った。男女問わず喜んでいる感じであった。
……あのー、正直ついていけません。いろんな意味で。
「あの、あなた達は?」
もうすでにフィオリアからの説明を皆は受けていたので、クラスでも委員長である岩下が代表して質問をした。
すると、神官の人達の中から腰に届く金髪と青い瞳を持ったきらびやかなドレスを着た女の人が出てきた。
「初めまして勇者の皆様。私の名は、ルスフィア・オルスタイン。この国の第一王女です」
「ええと、俺の名は、岩下正輝だ。それよりも王女様。俺達が勇者とはどういうことですか」
「そちらも含めて詳しい事は王の間にてさせて頂きます。どうぞ此方へ」
そう言うと、王女は、扉の方へ進んで行くので、皆は慌てて着いていっていた。
そういえばと俺は自分の腕を見てみるとそこには、黒と金を基調とし、紋様が入った宝玉がついた腕輪がついていた。
うん。便利アイテムもちゃんと貰えているようでよかった。
……はっ!いかんいかん一応皆には、見せないようにしなければ。いつ貰ったかとかでめんどくさいことになるのは日の目を見るよりも明らかだ。
そう思うと俺は、制服の裾で腕輪を隠した後、岩下の元へ向かい、小声で気付かれないように話しかける。
「おい、岩下」
「なんだ、稲葉」
どうやら岩下がこちらの行動に合わせて小声で話しかけてくる。
「これから多分というか、絶対この国の国王と話すことになりそうだが、その時に、俺達が女神に会った事を伏せてくれ」
「良いけど、なんでだ?」
「もし俺達が女神に会った事を知れれば絶対この世界の宗教がらみで、面倒なことに巻き込まれそうだからだ。面倒な事は、後免だし絶対ろくでもないことになる」
古今東西、宗教は面倒事の根幹に根付いていたようなものだしな。
……その後、みんなにも余計なことは話さないようにと、遠回しに言っておいたけど
「……なるほど。忠告ありがとう」
と、話している内に大きな扉の前についていた。
門番が何かを唱えた瞬間、触れても無いのに扉が動き出した。
どうやら今のが魔法のようだ。さっすがファンタジー。期待を裏切らない。
そうこうしている内に瞬達は部屋の中に入っていくと、髭を蓄えた如何にも国王らしき人がいた。
「今回の召喚に応じてくれた事を感謝する。私の名前はロドス・オルスタインこのラングレン王国の国王だ。して勇者達よ早速なのだが、勇者達には魔王を倒すのに手を貸して欲しい」
「ちょっと待って下さい。俺達にはそこまでの力は、ありませんよ」
そりゃそうだ。現代っ子の日本人だぞ俺らは。
「そこについては大丈夫だ。言い伝えによれば、異世界から来た勇者には特別な能力があるそうだ。《ステータス》と念じてみよ。目の前に、自分の能力値が出てくるはずだ」
そう国王が言ってから周りを見ると皆、何もないところを見つめていた。
どうやらステータス画面は、自分以外には、見えないようだ。
そういや、貰ったな。特別な能力っぽいの。
それを確認した後、念じてみる。すると自分の目の前に、ゲームでみるようなステータス画面が表れた。
シュン・イナバ
Lv.1
HP 35/35
MP 200/200
EXP 0
NEXT 12
ATX 13
VIT 9
AGL 32
DEX 11
INT 23
《オリジナルスキル》 万華武装(覚醒ノ武装)・創造(構築・物質変換)
《スキル》スキル補助・鑑定・念話・偽装・無限収納・言語理解
《加護》 運命と創造の女神の加護
《称号》 異世界人・解放者・女神の依頼を受けた者
やはり俺のスキルはチートらしい。てか、便利アイテムの効果パネェ。
とりあえずEXPは、経験値であり、あと12でレベルが上がるようであり、ATXは攻撃力、DEFは防御力、AGLは俊敏力、VITは器用度、INTは賢さを表しているのだろう。
どうやら俺は、魔力が高いタイプのようで、スキルに関しては、よくわからない物もあるが女神の話から察するにチートの類いだと思う。
すると、岩下の周りが騒がしい。「さすが勇者様、全ての値が3桁ではないですか!」優秀だったらしい。
「勇者達には、称号の欄に勇者とあるはずだ。」
俺には、その称号がないので勇者ではないらしい。
「さて、自身のステータスの確認も済んだ所で本題に行かせてもらう」
そう言うと国王は、依頼について語り始めた。
簡単にまとめるとこうだ。
この世界には、人間の他にも種族があり、人間を含めて、人間族、魔人族、獣人族、精霊族、竜人族、海人族と、六つの種族に分かれている。
魔人族は、圧倒的な魔力を持っており、魔族の王である魔王が、人間族を滅ぼそうと、画策しているらしいので、瞬達が召喚されたらしい。
獣人族は、魔力を少ししか持っていない代わりにそれを補う圧倒的な身体能力を持っていおり、犬の獣人や猫の獣人と言った様々な種類が種族の中でもあるらしい。
精霊族は謎が多く、精霊界と言う場所にいるという事しか分かっていない、情報が少ない種族であるが、精霊と契約し活躍するものもいるらしい。
海人族は、海に住んでいるということしか分かっていない。こちらも情報が少ない種族である。
最後に竜人族は、魔力や身体能力が高く、一部の者は、竜化という自らの体を竜にする固有の魔法を使える者もいる危険な種族だが、基本的に他の種族とは関わらないらしい。
そして人間族と魔人族は、長い間対立をしていたが、近年になって魔人族の王である魔王が代わり、その魔王が人間を滅ぼそうと、画策しているとわかったので、古より伝わる勇者召喚を行ったと言う事だそうだ。
そして俺達が元へ戻るには魔王を倒し、魔王の書庫にある、帰還の書と言うものを使えば帰れるらしい。
―――嘘だな。
と、俺は直感的にそう思った。そもそも圧倒的に情報が不足しているが。
だが、俺には女神達を解放するという依頼を受けているのであまり関係の無い事だ。
今俺の中ではどのように城から出るかということで一杯だからである。
しかし今はチャンスだと直感で分かる。ならばここでこう言えば良い。
俺は、ステータスを偽装してから落ち込んでいるのを装いこう言う。
「どうやら俺は、勇者じゃないようなんですが...」
周りが一瞬で静かになる。
すると国王が慌てて俺に問う。
「ステータス開示と言ってステータスを見せてくれ」
俺は言われた通り、偽装したステータスを見せる。
シュン・イナバ
Lv.1
HP 35/35
MP 20/20
EXP 0
NEXT 12
ATX 13
VIT 9
AGL 32
DEX 11
INT 23
《スキル》言語理解
《称号》異世界人
「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」
皆が、俺のステータスから全く目を反らさない!なんかステータスを偽装したのが、俺なので凄く申し訳ない!
「……なんかごめんなさい」
「まあ、こんな事もあると予想は、しておった。シュン イナバ以外の勇者様達を部屋へ、案内してくれ」
国王は、そう言うと他のクラスメイトは、姫達に連れられてあっという間に行ってしまった。
「さて、シュン・イナバよ、このステータスは、今封印されておる」
と、国王が言う。
「じゃあどうすれば」
「この石は、解封石と言い、目の前で割れば、お前の封印も解けるはずじゃ。 ほれ」
そう言うと国王は、何処からか青白い石を用意させてきた。
俺はそれに鑑定をかける。
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転移石
あらかじめ指定された場所へ、割れば転移してくれる石。
現在指定場所 オルト迷宮25層
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それを、俺は躊躇なくそれを割った。
辺りが光で包まれ気が付けば洞窟の中にいた。
こうして俺は召喚されてから数分後に城を出た。
テンプレな話でした。