俺って、信用されてなかった件
少しずつ話が進んで行きます。
「それにしてもまさかそのような方法でこの世界に戻ってくるとは驚きましたよご主人様。まあ、予想の範囲内ではあったのですけどね」
かつての家族である千草と再会した俺は、綺羅も含めて俺がこの世界に戻ってきた経緯を説明していた。
「ん?予想の範囲内って?」
「いえ、この人間族が勇者召喚をするという情報を手に入れたので、もしかしたらご主人様が戻ってくるかも、と踏んでましたので」
「え、マジで」
「マジです」
その言葉に俺は戦慄を覚えた。
嘘だろ!普通、そこまで考えないで俺が死んだものだと考えるのが普通だろ!
「あ、いえ、その、わ、私も同じように予想してました。だ、だから全迷宮に探査機を配置して迷宮に何かしらの動きがあったら察知出来るようにしてました」
え、マジですか。けれどもそう考えると綺羅が俺を追って精霊界に来た理由も理解できる。
どうやらこの二人が単に鋭かっただけの筈だ。うん。そうに違いない。
「あの、後他の皆さんも独自にマスターを探したり、次は勝つと意気込んでより強く成ろうと修行してたりしますよ」
そーですか。
どうやら俺の家族達は全員俺の死を信じてはいなかったようだった。……嬉しいよ。今も俺が生きてると思って頑張ってくれるのは嬉しいよ。けどね。……それって変な話、俺があんまり信用されてないって事じゃないの!?
俺は最後の希望を託して話しかける。
「……なあ、皆は俺を信用……してるよな」
「「「「………」」」」
何も答えずに千草、綺羅更には白姫と黒姫までもが目を反らしていた。
「なんなの!?俺ってそこまで信用されてないの!どうなの!頼むから答えて!目を見てくれぇぇぇぇぇ!」
この後俺はちょっと泣いた。……悔しくなんかないもん!
………………
…………
……
「ぐすっ……それでさ。他の奴らも独自に探しているとか言ってたけど、二人は既に他の奴らとは再会したって事なのか?」
「ええ、ご主人様が寝ている間に綺羅と情報交換をしたのですが、お互いの情報をまとめた結果、現在確認されているのは私達を除いて後三人で、鬼灯、乃々、燗那の三名です」
「なるほど。鬼灯に乃々に燗那……燗那以外は修行組ってことか……残り二人はなんかやらかしてないよな」
「え、ええ………………多分」
話を聞いた限りではまた、面倒な奴等だけ確認されたようだ。
燗那は、穏健だから余程の限りは騒ぎを起こさないだろう。しかし鬼灯と乃々、この二人はいわゆる"脳筋"ってやつだ。
「……因みに俺が戻ってきたってことは誰かに伝えちゃったりした?」
「そ、その、私が会ったのは乃々さんだったので会った時に渡した通信機でさっき伝えちゃいました……」
「うん、そっか。で、乃々の奴はどこに居るか分かる?」
「オドワール大陸の奥地だそうです……」
「うわぁ」
オドワール大陸。魔人族が治めている大陸であり、出てくる魔物も軒並み準魔王級の事から別名"地獄"とも呼ばれる程過酷な大陸である。
ついでにいえばここはルノン大陸と言い人間族が治めている五つある大陸の中でも出てくる魔物はピンからキリといった感じで、この大陸の魔物の王である魔王も自分からは手を出さない上に、上位種も滅多に襲ってこないので、比較的穏やかな大陸だと言える。
つまり、俺はなにを言いたいかと言えば……。
「よし、騒ぎを起こされないように此方から迎えに行くぞ!絶対騒ぎを起こす!あいつは!」
要するにこの大陸じゃあオーバーキル。目立つ上に抑止力となるような奴もいないそれに乃々の自由奔放な性格を考えると核爆弾が歩いているのと同じだ。
こうして俺達の次の目的地は魑魅魍魎が占めるオドワール大陸、別名地獄となった。




