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#3

2年後

ついに5歳になった。

ちなみにこの国では年齢は生まれた年を0歳として、年始に全員1つ年を取る、12月31日に生まれた場合次の日には1歳となる

あれから、サロネン先生の娘、シルビアとも会った。濃紺色のつやのあるきれいな髪に強気な赤土色の瞳をしていた。

それから、ジョージ兄さんの魔法の訓練も10歳になったころから始まった。家庭教師はやっぱりサロネン先生である。なんて万能な先生なのであろうか。魔法の訓練といっても戦闘用の魔法の訓練である。身体強化はもちろん、火の玉を飛ばすなどの訓練をしていた。基本は瞑想だったので見ていても楽しくなかったが。

そしてついに自分も学校に行くことになった。そこで魔法の基礎を学ぶのだそうだ。そして、基礎が出来上がる。10歳を超えたところから実践的な魔法を使っていくのだとか。まずは魔力の存在を感じるところから始める。そこは学校でならうとのことだ。

その前に、この2年で分かったことを話しておきたい。

この世界の名前はヴェルガイム自分の住んでいる場所はヴェルグ大陸北東部のスイラ連邦イスラ王国首都のイスラダリア。人口は7万ほどでありこの世界では最大級に大きな町である。城壁が4重になっており、まず、貴族街と旧市街の間、旧市街と新市街の間、新市街の回り、そしてその周りにできた新新市街とでもいうべき街を取り囲むように城壁を建築中である。

そしてスイラ連邦とあるようにいくつかの国が集まり連邦政府を作っている。まぁ、地球でいうところの国連が小さくなったようなものだ。その連邦の国土の大半を占めるのが自分のいるイスラ王国とシーラ王国でありあとは小さな国がいくつか属している。

文化程度は高く、魔力灯をはじめとする魔道具。こちらでいう電化製品みたいなものと車などの魔導機、基本的に魔道具と同じだが規模が大きくなると魔導機と呼ばれる。車に鉄道などの大型で人が乗るものは基本的に魔導機と呼ばれる。

そして、銃があった。あったが、この世界では火薬でなく魔法の爆発で弾丸を飛ばしているようだ。魔法の爆発の衝撃で弾を飛ばしているようだが結構しょぼい。あくまで婦人用の護身具としてあるようだ。使用者による威力の増加もないからだろう。ちなみに威力は弾丸が木に埋まるくらい。これを聞いただけで威力の微妙さが伝わるだろう。

どちらにしても今の自分には危険すぎて持たせてもらえないのだが。

そして、町の外には森や草原が広がりそこには野生動物のほかに魔獣と呼ばれる獣がいる。

魔獣もピンキリでクマなどの大型の野生動物に食べられる魔獣もいる。しかし魔獣は危険なことには変わらず、冒険者と呼ばれる者たちが随時討伐を行っている。魔獣から取れる素材は野生動物から取れる素材よりも性能がよく重宝される。そのため、素材を売ればそれなりに収入を得ることができるため冒険者という職業が成り立っているのである。

そして魔獣は魔法を使うとがその最たる使い方は身体強化である。ウサギが魔獣化してもせいぜい咬みつきが怖いくらいだが、クマなどが魔獣化するとその身体能力にものを言わせかなりの強さになる。さらに、オオカミなど一部の頭の良い動物が魔獣化した場合、放出系の魔法を使ってくることがある。そういった手前冒険者たちは結構重武装をしている。そして、先ほど書いたように銃が微妙なため剣や、槍などの武具を使用しているのである。

ただ、冒険者の職業がら、荒くれ者が集まる傾向にある。そしてそういった荒くれ者を束ねるのが冒険者ギルドである。冒険者ギルドは国をまたいだ組織というわけではない。国ごとにあるのだ。国によって冒険者ギルドと呼ばれたり、猟師組合とも呼ばれる。

そんな冒険者ギルドではあるが、意外と庶民的な依頼を受けていたりする。駆け出しの冒険者の小遣い稼ぎとして店番の仕事やベビーシッターの仕事などもあり、それぞれ専門の冒険者グループがいるくらいである。

この国では、10歳を超えたくらいから冒険者ギルドに所属しそうった仕事に携わるのは一般的である。ちなみに5歳から12歳までの6年間は就学の義務があるためあくまで時間のある時に行うのだ。そうでない場合は、見回りの騎士団や教育関係者に説教という拷問が待っている。

そして、自分の家のことである。なんと伯爵様だったのだ。貴族だったとは、いい家で裕福な家庭だと思っていたが、父様が財務官僚というだけではなかったのか。まあ、メイドさんも執事さんもいるんで納得してしまった。それ以上に貴族として誇り高く生きよと言われて緊張したのも本当だ。そしてサロネン先生だが、もとは男爵家の4男坊だったらしい。腕っぷしは強かったが勉強が苦手ということで騎士団に入団したが、規律を守るのが面倒くさくなったとかで、冒険者に転職した結構破天荒な性格の人だった。しかし、腕は確かだし、丁寧な教え方をしているので、剣術道場などを開くといいのではと思っていたりする。

最近ではジョージ兄さんはサロネン先生と試合をしても食らいつくように立っていた。リカード兄さんもレイピアの勝負であればそこそこいいとこまで行っているようだ。

そして自分だが、これから入学式だ。いつも来ているものよりも上等なスーツみたいなものを着せられた。もちろん半ズボンだ。サロネン先生の娘のシルビアを迎えに行き学校へと行く。シルビアはフリルのついたピンクのドレスを着ていた。とても似合っていたので

「可愛いね、似合ってるよ」

と声をかけると、勝気な目を少し伏せ少し恥ずかしそうにして

「ありがとう」

と言ってくれた。それを父様は少し心配そうに見ていた。

「女性を泣かせるのはリカードだと思っていたが、ヴェニーにも言い聞かせないといけないかな。」

「あら、まだ早いわよ。ヴェニーは素直なだけよ。」

母様から援護をもらいその場を後にする。そう、素直なだけだ。前世ではひねくれたせいで彼女なんてできなかったから、今世では素直になろうと思っているのだ。それに子供だと恥ずかしいセリフを言っても周りは気にしないから。

「娘を送ってもらってすみません。先輩」

「気にするな。いつもうちの子が世話になっているんだこれくらいはさせてくれ。」

サロネン先生もいつもと違いピシッとしたスーツを着ている。ちなみに子供が生まれたばかりということで奥さんは家で留守番だそうだ。

そして馬車に乗る。なぜ車ではないかというと格式というもので。車は普段使いで、こういう式などの場合は馬車を使うのだそうだ。

そして自分はシルビアの手を取り馬車に乗せる。シルビアは少し恥ずかしそうにでもニコニコと馬車に乗っていった。

「やっぱりなんか言ったほうがいいんじゃ・・・」

「いいじゃない。一人に誠実なうちはこのままで。」

両親の会話が聞こえてくる。さすがにさっきのはちょっと恥ずかしかったかもしれない。

サロネン先生は、複雑そうな顔をしている。目が合ったら笑いかけてくれたけど、目が笑っていなかった。

そうして全員が馬車に乗り学校へ出発した。ジョージ兄さんとリカード兄さんは学校が入学式で休みのためお留守番だ。

道中特に何もなく学校についた。家から馬車で5分ほど。歩いても15分程度だろう。馬車に乗る必要があるのか聞いたがやはり格式というものがあるそうだ。貴族が入学式に歩いて登校はまずないと。

校門は大きく馬車が4台同時に通れるほど広かった。そのまま校門を通り過ぎ、広場手前で降りる。もちろん降りる時もシルビアのエスコートは忘れない。父親二人は微妙な顔でそれを眺めていた。

そのご御者は馬車を厩へ運び僕たちは講堂へと歩いて行った。そこで新入生をまとめている先生方に引き渡された後、両親たちは会場へと入っていった。

「はい、新入生のみなさんはこちらに来てね。そこ、一列に並んで。」

子供受けしそうな明るい声で美人先生が整列を促している。子供たちも緊張からか、列を乱すことなく前について進んでいく。

そして講堂の中央に集められると扉が閉まり。段の上に老人が姿を現した。たぶん校長先生なのだろう。

「みさんこんにちは」

「「こんにちはー」」

校長先生(仮)の挨拶に子供たちが元気よく返している。

「はい、元気な挨拶ありがとう。それでは、聖リベエラ学園入学おめでとう。私はこの学園の校長をしているグラエム・フォーテスキューです。今日はいい天気ですね。皆さんの元気で空が晴れたのでしょう。さてあまり長い話をしても疲れると思うので簡単に。わが学園にはいろいろな人がいます。それこそ身分に関係なく。ですが、それぞれの関係は同級生です。仲良くするようにしてくださいね。皆さんはまだ幼く、これからなんにでもなれます。この先多少の苦難があったところでそれをはねのけるだけの力もあると信じています。決して苦難に負けず、つらいときは周りを見てみましょう。そうすると助けてくれる友達がいるはずです。また、逆に周りに辛そうにしている人はいないか見てみましょう。辛そうにしていれば助けてあげましょう。そうすれば自分がつらいときに助けてくれる友達ができます。この学園でよい友達を見つけ、よく学び、よく成長してください。以上、私からの話は終わります。」

そういうと本当に校長先生は引っ込んでいった。本当に短い挨拶だった。

その後、新入生を引率していた先生が僕たちの前に来た。そして教室まで案内してくれる。

一クラス20人くらいで6クラスあるとのことだ。それが6年分+@だから生徒数は約900人結構な数である。

シルビアと同じクラスになってほっとした。知っている顔がいるのといないのでは緊張の度合いが違うからな。

そしてクラスの担任となったのはやっぱり引率の先生だった。

「はい、それでは皆さんの担任となる、ローリー・ブロウズといいます。よろしくね。」

と元気よく挨拶しウィンクした。

「それでは皆さん自己紹介とかは明日からするようにして、明日からこの教室まで来てね。わからなかったら門番の人に名前を言ってくれれば案内してくれるから。」

本日は教室の案内までみたいだ。両親たちがまだ講堂にいることを考えれば今日の所は一緒に帰るということだろう。

そのまま教室を後にして、また、親のいる講堂前まで連れてこられた。

「ヴェニー教室の場所は覚えたかい。明日から一人で教室まで行くんだからしっかりするんだぞ。」

「ヴェニーシルビアちゃんと仲良くするのよ。明日から一緒にお勉強するお友達なんだから。」

それぞれ両親のいうことにうなずく。そうしているうちに馬車が家族の前に止まった。

そして朝と同じようにシルビアをエスコートして馬車に乗せた。ここまで来れば意地というものだ。

やはり父親二人は苦笑していたが、母様だけはニコニコしていた。


学校が始まり簡単な自己紹介をする。すぐ後の授業は魔法の授業だ、自己紹介を聞き流しそわそわする。

もちろんそれ以外にも歴史や、国語といった当たり前の授業から剣術の授業などがあるが・・・

前世であこがれた魔法を使えると喜んでいた。いたのだが、授業が地味すぎる。瞑想瞑想ひたすら瞑想なのである。

魔法を使うための魔力を感じると言われているが、こちとら前世を含めて魔法らしい魔法などほとんど見たことがない。その状態で魔力を感じるとかどうすればいいんだ。

「あっ、何か体の中と外でぐるぐる回っている物を感じる。」

シルビアがいち早く魔力を感じたようだ。

「あら、シルビアちゃんすごいわね。1回目でもう魔力を感じるなんて。その調子でそのぐるぐるを意識してみて。」

「はい」

そのあと、は誰もつかなかった。

2回目3回目となると、どんどん魔力を感じる子供たちが現れてきたが。自分にはまだ何も感じられなかった。

すると横の憮然とした表情の男の子が話しかけてきた。

「おい、お前魔力を感じたか?」

「いいや、まだ何も感じられないけど。」

「最初に魔力を感じたやつはお前の知り合いだろ、ちょっとどんな感じか聞いて来いよ。」

なんだこいつ、えらく命令口調だな。でも言っていることはわかるので素直にうなずく。

「わかったよ。シルビア、魔力ってどうやったら感じ取れるの?」

「ええと、まず体の中を見る感じで、そのあと外との違いを考えたらぱっとわかったわよ。」

多少、感覚的だがなんとなく言いたいことはわかった。

「なんか体の中を見る感じらしい、そのあと外との違いを感じるんだって。」

「そうか、分かった。ああ、俺の名前はユリシーズ・ガードナーだ。」

なんだ、挨拶くらいはできるのか、こちらも返しておこう。

「僕の名前はヴェニー・イースディル。よろしく。」

よろしくというとユリシーズは少し驚いた顔をした後

「ああ、よろしく。」

と返してきた。何か変なこと言っただろうか。そういえばガートナーって公爵家があった気がする。

「もしかしてガードナーって公爵家の・・・」

「今更気付いたのか、でも口調はそのままでいろ。」

「うん分かった。」

「素直な奴だな・・・」

だって、公爵なんてもの現代日本になかったからね。どうすればいいのか正直わからないや。

その後、2人していろいろ試したて双方同じくらいに魔力の存在を確認することができた。

確かに体の中と外で渦を巻いているイメージがあった。どうやら元日本人でも魔力を感じることができるのだとほっとした。

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