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種族,コボルト
名前,????
レベル4
状態,健康
HP,22/22
MP,2/2
筋力8
敏捷6
器用度12
賢さ6
耐久力7
攻撃力:13
守備力:13
技能、【言語理解(習熟度1)対象言語:人語、初級蛮族語】【食の探求者(習熟度1)】【カウンター(習熟度1)】【渾身撃(習熟度1)】【戦力把握(習熟度1)】
種族特徴、 長毛(耐久+1)
所持品、薬草×3、毒消し草×2、蜂蜜草×3、火炎草×2、グンタラビットの角×8
所持金、なし
装備品
一角剣(攻撃力+6)
皮の鎧(守備力+5)
木の盾(守備力+2)
翌朝、出発前に自分のステータスを確認する。
…うん、相変わらず弱い。だが、今の俺の力をフルに使って、せめてカーティスの足手まといにはならないようにしようと心に決めた。
「よし、そろそろ行くぞ」
「ああ、分かった」
いってらっしゃいとチビに見送られながら、俺達は再度美酒を求めて集落を後にした。
途中までは昨日と同じ道だったが、周囲の木々より更に一回り大きな大木の前まで来ると、昨日進んだ東ではなく北へと続く道へと入っていった。
こちらはあまり手入れがされていないのか、鬱蒼とした感じで日の光もほとんど届いていない。
「なんか、お化けでも出そうだな…」
昨日のように次々と魔物の群れに襲われるようなことはなかったが、これはこれで気が滅入る。
仮にお化けが出たとしても、カーティスがいればなんとかなってしまいそうだが。
「っと、危ない危ない」
考え事をしながら歩いていたせいか、つまづいて転びかけたものの、何とか木の幹に手をついて転ばずにすんだ。
「ギギ、キ」
ギギ?何だ、今変な音がしたな。
「伏せろっ!」
カーティスの鋭い声に、反射的にしゃがみこんだその真上を、ブン!と音をたてて木の枝が通過していった。
「な、何だぁ!?」
顔を上げると、ついさっき手をついた木がこちらを襲ってきていた。
技能:戦力把握が習熟度2になりました!
種族,トレント
状態,健康
HP,28/28
MP,20/20
筋力7
敏捷4
器用度7
賢さ19
耐久力10
攻撃力:10
守備力:16
お、戦力把握の習熟度があがったからか、以前はHPとMPしか見えなかったのに、より見えるようになってる。
こいつ、足は遅いが賢さとMPだけやたら高いな。
そういえば、こいつは確か魔法を―
「氷針」
どこか無機質な声で言葉が呟かれると同時に、凝結した氷の礫が一斉に俺めがけて降り注いだ。
って、こんなの直撃したら俺のHPなんか軽く吹き飛ばされる!
急いで逃げようとして、足元にある太い木の根につまづいて、ごろごろと派手に転んでしまった。
が、結果的にはそれでトレントの魔法をかわせたみたいだ。俺がみっともなくずっこけている間に、走りよってきたカーティスが抜刀してトレントに襲いかかった。
咄嗟に反撃したトレントの枝と蔓を斬り払うと、何か呟いて袈裟懸けに切り裂いた。
深手を負いながら、なお反撃しようとしていたトレントの様子に気付き、俺は走りよって一角剣で貫いた。それで力尽きたのか、トレントは動かなくなった。
経験値を42手にいれた!
レベルが5に上がった!
種族,コボルト
名前,????
レベル5
状態,健康
HP,25/25
MP,4/4
筋力10
敏捷8
器用度15
賢さ7
耐久力8
攻撃力:15
守備力:14
技能、【言語理解(習熟度1)対象言語:人語、初級蛮族語】【食の探求者(習熟度1)】【カウンター(習熟度1)】【渾身撃(習熟度1)】【戦力把握(習熟度2)】
今の戦闘でレベルが上がったらしい。
確かに、これまでのウサギに比べれば、魔法を使うというだけで強敵だった。
「おおっ、やったじゃないか!あそこで反撃されていたら俺もまずかったからな、助かったよ」
そこへ、嬉しそうに笑いながらカーティスがやってきた。
俺の肩をバンバンと叩きながら、まるで我が事のように喜んでいる姿を見ていると、こっちまで嬉しくなってくる。
「怪我はないか?少し休んだらまた進もう」
そう言ってどっかと腰を下ろしたカーティスに倣って、こちらも腰を下ろした。やっぱり、戦闘というものは緊張する。
ましてや、初めて魔法を交えた戦闘を経験したのだから精神的な疲労は確かに大きかった。
今の内にと蜂蜜草をむしゃむしゃと食べて自然の甘味に癒されたのち、カーティスに声をかけて出発した。「昨日よりは、余裕がありそうだな」
話しかけられた言葉に頷き、更に前へと進む。
カーティスは俺のそんな様子を見て、うんうんと頷くとやや足を早めて進み始めた。
歩き続けること30分、カーティスの「静かに!」という声で足を止め、草むらの中から周囲を見渡す。
技能:気配探知(習熟度1)を習得した!
おっ、新しい技能を手にいれた。
気配探知か、これまで戦闘は後手に回ることが多かったが、敵の気配を辿る事ができれば、逆にこちらから奇襲をかけることも可能になる。
これは、今後のことを考えても重要な技能だろう。
改めて周囲を見渡すと、いる。
前方の少し開けた所に、2体のトレントがいるのが確認出来た。
「ここを抜けた先に目的地があるんだが…」
そう言って悩むカーティスを見ていて、こちらも覚悟が決まった。
「よし、強行突破しよう。俺が一体は引き受ける。カーティスはその間にもう一体を倒して、二人がかりで残る一体を倒す。これでいこう」
俺の言葉に、カーティスはしばし呆気にとられているようだったが、分かったと力強く頷いた。
トレント達の隙を窺うこと数分、2体ともが俺達に背を向けたのを確認して、お互いに目で合図すると左右に分かれて走り出した。
俺の相手は左側にいるトレントだ。
種族,トレント
状態,健康
HP,30/30
MP,24/24
筋力8
敏捷5
器用度8
賢さ22
耐久力12
攻撃力:11
守備力:18
戦う前に相手のステータスを確認すると、先ほどのトレントより全般的にステータスが高めだと分かった。モンスターにも個体差があるのだろう。
俺の奇襲に気付いたようだが、遅い。
魔法を使われる前に一気に肉薄し、一角剣でトレントを貫いた。
素早く引き抜き、第二撃を放とうと剣を振りかぶり、距離を取ろうとするトレントに降り下ろした。
「ギキッ」
しかし、咄嗟に複数の枝でこちらの攻撃を受け止めたトレントの顔が歪んだ。
それは、トレントの笑みだったのかもしれない。
「氷針」
その直後、至近距離で魔法が放たれた。
到底かわしきれる距離ではない。
それでも上体を反らして直撃は避けたものの、左腕はトレントの魔法で引き裂かれ、部分的には凍結してしまった。
いって〜〜〜!!
想像を絶する痛みにうずくまりかけるが、そうなってはただの的になると考え、急いで手近な木の幹に身を隠した。
唯一の救いは、左腕は凍結しているため、出血が最小限で収まっているところか。
だが、そのせいでまともに動きやしない。
こうなったら一か八か、さっき覚えた渾身撃でトレントを奇襲してみるか。
左腕が使えないため、渾身撃は使用不可です
脳内に無情なアナウンスが響き渡る。
思わず膝を折った直後、トレントが俺を視界に収め、口を開くのが見えた。
詰んだ…俺の異世界での生活は、たったの3日で終わるのか。
数秒後に来るであろう死の運命を受け入れ、目をつぶってその瞬間を待った。
しかし、神はまだ俺を見捨ててはいなかったらしい。急いで走りよってくる音に目を開けると、カーティスがトレントの背後から一気に襲いかかっていた。
「火炎斬」
そうカーティスが呟くと同時に、刀身が炎に包まれ、トレントを切り裂いた。
やはり植物だけに火には弱いのか、一気に全身に炎がめぐり、トレントは力尽きた。
経験値72を手にいれた!レベルが6に上がった!
種族,コボルト
名前,????
レベル6
状態,健康
HP,29/29
MP,7/7
筋力12
敏捷10
器用度17
賢さ8
耐久力10
攻撃力:17
守備力:16
今のでまたレベルが上がったようだ。
しかし、今の自分は鮫にくっついている小判鮫みたいだ。
「よし、これで2体とも倒せたな」
剣を収め、笑って近づいてくるカーティスに笑い返す事が出来ない。
「どうした、まだ痛むようなら薬草を患部に当てるといい」
「そうじゃなくて、俺…カーティスの手を借りてばっかでさ、何の役にもたててないから」
こちらの言葉を聞き、一瞬呆けたカーティスは、直後笑いながら俺の肩を叩いてきた。
「何だ、そんなことを気にしていたのか。そんなもの、気にするまでもない」
「いや、でも」
「まあ聞け」
反論しようとしたおれの言葉を遮って、カーティスは言葉を続けた。
「最初から何でもできるやつなんていない。気負うのはいいが、実際に出来るかどうかはまた別問題。だが、そんな中でお前さんは一歩勇気を持って踏み出し、結果先の危機を乗りきることが出来たのだ」
恥じることはなにもない、と笑っているカーティスの表情を見ながら、自分の中のもやもやとした葛藤がすっと消えていくのを感じた。
「納得したか。なら行くぞ、目的地はもうすぐそこだ」
「ああ」
大きな背中について更に歩くこと約10分、目的地に着いたのかカーティスはふいに立ち止まった。
「着いたのか」
「ああ、ここがそうだ」
そう言ってカーティスが向かっていったのは、周囲の木々より一回りも二回りも大きな巨木の根元だった。「確かここに…お、あったあった」
あったという声に反応して近づいてみると、木のうろの中に琥珀色の液体が満ちているのが見えた。
「これがそうなのか?」
「ああ、そうだ。古代樹の中で作られる酒だ。人間の作る酒とは違うかもしれんが、これの方がはるかに旨いぞ」
背中の道具袋から木の実の殻を用いたお椀のようなものを取り出したカーティスは、お椀を持つ手をうろの中に突っ込み、たっぷりとすくった液体を一気に飲み干した。
「は〜〜っ、旨い。どうだ、お前さんも飲んでみないか」
そう言って、カーティスはお椀を差し出してきた。
一瞬迷ったものの、結局不安より好奇心が勝った。
同じようにうろの中にお椀を突っ込むと、すくいとった液体を一気に飲み干した。
全身に熱とほどよい甘味が染み渡っていくような味わいに虜になり、再度すくってお椀の中身を飲み干した。
「こんなに旨いとは思わなかった、本当に旨い!」
そうだろう、と嬉しそうに口にしながら、もうひとつ取り出したお椀でカーティスも次々と琥珀色の液体を飲んでいく。
頭の芯がぼーっとするような心地好い感じに身を委ねながら、二人して倒れるまで古代樹の酒を飲み続けた。
倒れる間際、これが勝利の美酒ってやつか…と、どうでもいいことを思った。
カーティスの背中に付いていきながら、主人公は少し成長できた…ような