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43 帰国①

 魔力回路を改造し、魔法を自在に操れるようになって少し、今は夏です。そして訪れる夏休み。私は柱にしがみ付いていた。


「姫様‼いい加減手を離してください」


「お断り」


 待てども待てどもお父様からお叱りなしの書状が届かない。これは帰国次第捕まるパターンです。私は全力で柱にしがみ付いた。帰ってはいけない。帰ればマダム・スミスとお母様がタッグを組んで私を捕まえて洗脳紛いの再教育が始まるはずです。徹底抗戦の構えです。私は魔法を自在に操れるようになり【飛翔】も使えます。なのでもし竜籠内に捕まっても逃げれる筈ですが第一は部屋から出ない事です。

しかし今日のアリシアさんは違った。ガチャリと音が聞こえ、私が足を見ると魔封じの魔法が掛かった物が付けられてました。私に掛けていた【身体強化】が解け一気に柱から引き剥がされる。しかも保持してた魔法も一気に消えました。


「無礼者‼」


「これって王妃様から届けられた物ですよ?意味分かってますよね?」


 青褪め震える私を問答無用で竜籠に放り込むアリシアさん。クート君は竜籠の上でお昼寝するそうです。落ちないと良いけど。

 しかも今回は私が抵抗するのがバレてるようでお兄様と私は竜籠で迎えが来ました。お兄様は帰国次第公務があるので別の竜籠ですが。


「もう逃げられませんよ。大人しくしててください」


「うにゅううううううう」


 足に付けられた拘束具を引っ張りますが取れません。まあ金属製なので素手で壊すのは不可能でしょう。しかし帰国させる為に拘束するのは無礼極まる行為です。私は断固として帰りませんよ。

 私は体内の魔力を一気に放出し足枷を粉砕する。ふん!安物を使いましたね。こんな玩具で捕まる程軟じゃないです。

 私は【飛翔】を掛けると一気に窓に向かおうとした瞬間。


「お休みなさいませお嬢様」


「卑怯もの…め」


 首筋に何かを刺されてそのまま眠りにつきました。



 目が覚めると懐かしの私の部屋…ドアが違うのは何時もの事です。しかし体を見渡せば無数の拘束具が…体裁を装ってリボンだったりしますが全てが魔封じの魔道具なのでしょう。魔法が使えない魔法使い程貧弱な者は居ません。基本的に魔法使いは頭脳派なのです。私はその中でもかなり貧弱で500m走れません。なので魔法を封じられれば何も出来ないと浅慮な考えを起こしたのでしょう。

 しかし私も成長します。身体能力に成長の影は見れませんが、魔力は未だに成長してるのです。この程度の拘束など魔力放出で術式毎吹き飛ばせますよ。

 現に全ての拘束具がゴミとなって部屋に散乱してます。どうやら私専用の対魔力使用の魔道具は量産出来てい無いようで、数で対処しようとしたのでしょう。私は見つかる前に学園に戻らねば不味い事になりそうなので急いで身支度を整えるとドアに向かいました。


「捕まえた」


「にゃう」


 ドアを開けた瞬間お母様にぶつかって捕まりました。体裁を気にせず窓から飛び立つべきでした…私はそのまま腰が抜けてお母様の腰にへばりつきました。どうせ逃げれません。いえ、もし逃げればどうなるかを想像出来てしまいました。その豊かな想像力が仇となって逃げる好機を失ったのです。


「随分好き放題な留学生活をしてるようね。アリシアから散々泣き言が届けられたわ」


「ぬう…」


 どうしたものか、逃げ道は無いのだろう。廊下を見渡せば幾人の兵士が立っています。アーランドの兵士は油断出来ない相手です。兵士クラスで他国の騎士を足蹴に出来る実力者ぞろいなのです。しかも立ってる兵士はかなりの実力者…手柄さえあればいつでも騎士に成れる人達です。


「学園に帰る」


「あら貴女の家はここでしょう?全く何時までも返事を寄越さないと思ったらすっかり反抗期ね」


 もがく私に容赦なく関節を極めるお母様。他から見れば抱いてるだけでしょうけど肘が極まってます。

 これは死ねる…ここが死地なのでしょうか?しかしマダムの姿も見えない…先に地獄で私が来るのを待ってるのでしょうか?死んでも再教育…テト…私は約束を果たせそうにありません。儚く散る事を許して。


「王妃様、例の件は私の方で止めてます。事実を知らなければ姫様も逃げようとするかと」


背後に出現したアリシアさん。城で隠形使って良いのですか?しかし私も唯では死にませんアリシアさんも道ずれにします。私は捕まって無い右手で神速の突きを放ち、揺れる尻尾を捕まえる。不用意に近づきすぎましたね、マダムが苦手なのは私だけではありません。アリシアさんも苦手としてるのです。私だけ再教育など許しませんよ。このまま一緒に連れて行きます。


「いだだだだだだだだだだだあ‼」


 私の逆襲を予想出来なかったアリシアさんは尻尾を掴まれた痛みに堪らず私の手から尻尾を離そうとしますが私も離す気はありません関節を極められてる激痛の中、出来るだけの力で引っ張ります。


「私だけマダムの再教育なんて許さない…アリシアさん一緒に地獄に堕ちよう」


「ちょ‼どれだけ嫌なんですか‼誤解ですから‼再教育は無しになったんです‼だから離してくださーい‼」


 もがくアリシアさんは戯言を言って私を騙そうとしてますがそうはいきません。正式な書類でそれを提出されなければ私は認めません。そう言えばお母様が何も言わない。私は顔を上げるとお母様の顔を見て…手を離した。恐ろし過ぎる。


「落ち着きなさい。再教育は次の機会にね。それより私達に話す事が一杯あるのでしょう?全部話しましょうね」


「きゅう…」


 余りにガチな視線に耐え切れずに私は意識を手放した。だって怖いんです。魔王と言われても疑わない視線を至近距離で向けられれば私も耐えれません。



 目が覚めて10分位。私は宝物庫に立て籠もってました。目が覚めるとお父様とお母様が共同で使ってる執務室に居たのですが余りに空気が重苦しいので一瞬の隙を突いて門を召喚。そしてダッシュで門をくぐればそこは私の領土です。宝物庫は何人たりとも私の許可なく入れません。


「ぬおおおおおお出てこーい‼」


「出てこないと怒っちゃうわよ?」


 容赦なく私の両親は門を攻撃します。しかし門の結界はビクともしません。途中私の察知範囲に見知らぬ魔法が弾かれたのを察知できましたが、恐らくお母様が【幸福】を使って門に干渉しようとしたのでしょう。しかし門にそんな曖昧な魔法は効きません。

 私は宝物庫内の木箱の陰から様子を窺っています。危なかったですね、もう少し宝物庫に入るのが遅れてたら私もどうなっていた事か…。


「アリシアどうすれば入れる?」


「私も分かりませんよ。姫様が認めないと絶対に入れないかと」


「お風呂とかはどうするの?あの子お風呂好きよね、まってれば出てこないかしら?」


「中にお風呂とかあるみたいです。放置すれば何時までも出てきませんよ」


 ふふん。ここは私の宝物庫。生活に必要なのはある程度揃ってます。お母様達が許してくれるまで立て籠もりますよ。

 暫く門を攻撃してたようですが10分程で壊せないと悟ったようで諦めました。しかしお父様は少し不機嫌ですね。恐らく私が隠し事をしてたより門を壊せなかった事が気に入らないのかと。だって私より門を睨んでます。


「お仕置きは無しにしてあげるから出てきなさい」


「じゃあ、それを書類に署名してお父様とお母様の連名のサインをして提出して。じゃないと絶対に怒られる」


 私は木箱の陰から出ません。既に私も涙目です。あそこまで激しく門を攻撃された以上、相当怒ってます。怖いのですよ。何処かに逃げたくなります。


「もう送ったでしょう。今回は怒らないから出てきなさい」


 ?そんな書類送られてきてない…アリシアさんか‼


「アリシアさん…隠してた?」


 門の前まで震えながら出てみるとアリシアさんが書類を持っていた。恐らく私に隠してたのでしょう。許されざる大罪です。それがあれば立て籠もる事なんて無かったのに。

 私も少し震えながら手を伸ばして受け取ろうとすると受け取った瞬間アリシアさんが門に入ろうとして結界にぶつかった。

 恐らく私に接触してれば入れると勘違いしてたのでしょう。しかし門にそんな抜け道はありません。


「何してるの?」


「姫様が魔導炉作ってるんです。何とかしてください‼」


 ああ魔導炉が欲しかったのですか。と言うか魔導炉を私から回収したかったのでしょう。しかし未知の門に対処を間違えたと。確かに私に触れてれば一緒に入れるのでは?と思われてもしょうがないでしょう。普通の結界ならそれで入れます。

 私も書類を確認するとそれを宝物庫内に置き、門から出る。そして即座に門を閉じるように命じると勝手に扉が閉まり、門が消えた。これで良し。


「さて、全部話して貰おうか」


 お父様もお母様もソファに座り、反対側に私が座る。恐らく全て話が通ってるのだろうけど私から聞きたいと言う事だろう。

 私は話せる所は全部話した。転生者である事、前世の知識は持ってるが前世で何をして生きてきたかは知らない事。テトの事、門や隠してる魔道具…まあこれは武器も作ってますよと言う事だ。ついでにお兄様に剣を上げた事も言った。

 全部話すのに一時間程掛かったけど、ある程度は理解して貰えたようです。


「ではアリスティアは私達の娘で良いんだな?」


「私にとっての親はお父様とお母様だけ。前世の両親は知らない。だって覚えてないし、もう私も別人に近いと思う」


 記憶の無い私がここで生きてきた以上別の経験をして成長してきたと言う事です。同じ人生でも辿らない限りは前世の私と今の私は別人でしょう。

 正直前世の親にはそこまで興味が出ない。他の出来事も余り思い出したいと思いません。唯、偶に自分が何だったのか気になるだけです。


「ならそこは問題ない。アリスティアは私達の娘だ。生まれ方が若干違うだけだな。俺はそれほど気にならない」


「そうね」


 幸いお父様もお母様も拒絶はしなかった。凄い嬉しい事です。だって最悪捨てられる可能性すらありましたからね。

 私も肩の荷がおりた感じがします。そしてそれからは今後の話し合い。私が何をしたいのか、何をしようとしてたのか。ある程度は話します。

 研究の成果はこの世界の言葉と前世の世界の言葉を10種類近く混ぜた私独自の言葉で書かれてる為、両親だけでなく異世界人でも読めないでしょう。

 なのでそこら辺をぼかしつつ、大体どんな物があるのかは教えておきました。


「世に出せば世紀の大発明ばかりだな」


「それだけ扱いも難しいわよ…」


 流石にヤバい代物ばかりなので、好奇心旺盛なお父様は目を輝かせてますが、お母様は頭を抱えてる。


「この国の戦力は早々に上げないといけないと思う。領内の魔物の被害だけじゃ無く帝国や皇国もそんなに時間を掛けずに本気で動くと思う」


 私の危惧する事、それは皇国の勇者達だ。絶対に動員してくる。もしかしたら私やお母様以上の魔法の使い手を複数…いえ数十人クラス存在するかもしれない。

 この国の魔法使いは弱い。他が異常な程強いから今は難なく両国を相手に出来てるけど今後は分からないのだ。

 それをどうにかするには彼等に無い技術を持つしかない。幸いそれは私の得意分野です。アーランドの兵士達に今以上の優れた装備を与えて抵抗出来る力を底上げすればこちらの被害も最低限で済みます。


「確かにあの2つの国の動きは怪しい。それに魔物の動きもだな。最近妙に被害が増えてる。アリスティアの意見には同意するがそんなに簡単に技術が生み出せる物なのか?」


「元々私の居た世界は技術力が高い。私はそれを魔法技術を使って再現できる。だから正確には私の発明品は意外と少ない」


 まあ真似っこですからね。完成品を知ってるのと知って無いのでは作る期間は全然違います。


「では明日狩りに行くぞ。アリスティアの考えを通すなら今までの成果を見せてみなさい。もし、成果が無ければ俺も認めれない」


「分かった。私も全力で行く。もう何も隠さないで良いのなら私の秘密兵器を使う」


 あれがあれば魔物何て敵じゃないのです。

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