表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/377

03 生きる意味

 おはようございます。どうやら私の初めての魔法は3日間の昏睡と言う結果を出しました。原因は精霊が教えてくれました。どうやら魔力を消費し過ぎたのと、自身の許容量を遥かに超える魔力を使ったせいで体が拒絶反応を起こしたようです。これには流石の精霊さん達も焦ったらしく、魔力を途中で止め自分達の魔力を分けてくれたので3日で起きたようです。でなければ最悪死んでいたとお母様に物凄く怒られました。

 私はガチ泣き。お父様も流石にお怒りで1時間位泣いてました。まさか最初の号泣がお説教だとは…


「分かりましたかアリスちゃん。勝手に魔法や精霊魔法を使ってはいけませんよ」


 了解ですお母様。折角転生したのに初日に死にかけるとは。私には我慢が、いえ思慮不足でした。それと凄く怖いので説教されないようにしなければ。


「どうやらアリスティアは特別な存在らしいな。精霊から魔力の供給を受けた事例は確認されていない、それに教会から使者が来た。これから謁見の間に行くぞ、どうやらあっちはアリスティアの参加を要求してる…クソ耳の良い連中だ。滅びれば良いのに」


 お父様は教会関係者が嫌いなんでしょうね。まあテトから聞いてるような教会なら嫌われて当然ですが、疑問も残りますね。何故そのような組織が維持出来ているのでしょうかね?ああ言った組織は民衆の支持無くては存続出来ない筈です。でも存在し、尚且つかなりの権力を持っているようです。出なければお父様も私を謁見の間には呼ばないだろう。

 まあその件に関しては私が成長したら調べてみましょう。






 やってきました謁見の間です。RPGに出てくる部屋その物ですね。豪華な部屋に立派な椅子。そしてそこに座るお父様は王冠をかぶり赤いマントをつけています。

 私?お母様に抱かれ王妃様用の椅子に居ますよ。さて今回現れた使者の人ですが要求は3つ

1.自分の教育は教会ひいては皇国でするから身柄を寄越せ

2.亜人の不当な擁護を辞め、中央国家連盟の方針に従う事

3.この国が中央国家連盟の末席に加盟する事


 さてこの3つですが舐めてるのでしょうか?最初は、まあ力関係がありそうなので微妙ですが、この人はイエスが当然と言う風に言ってます。しかも敬語なしで。貴方一国の国王より偉い人なのか?お父様とお母様の額に青筋が浮いてますね至近距離に居る身にもなってください。凄く怖いのですよ‼お説教のトラウマが再び私の身を苛み震えが止まりません。


「大丈夫よ」


 お母様は気が付いてくれたようですね。先ほどの殺気が霧散して穏やかになってくれました。ですが隣のお父様の放つ殺気は膨らむ一方で、ついに使者の人は気絶してしまいました。


「全て拒否する。手紙を書くから、このゴミに持たせて国外に捨ててこい。この者を入国禁止とする」


 あらら国外退去&入国禁止ですか。まあ礼儀のれの字すらない人でしたし、仕方ありませんね。近くの兵士がまるで荷物のように脇に抱えて部屋から出ていきました。


「ボルケン今回の一件をどう思う?」


 お父様の近くに居た同年代の小父さんにお父様が聞きました。この人は何処か文官風の人で長い茶髪を後ろで一つ纏め、髪と同じ色の目をしています。鋭い目で、いかにも有能そうな人ですが目元が隈で真っ黒です。


「どうやら確認の為に来たのでしょう。でなければもっと現実味のある要求をしてきた筈です。ですが我等が飲む筈の無い要求をして、視線は姫の方に向かってました」


 ふむ私を見に来たと。しかも全て拒否されるのは織り込み済みだったと。しかし中央国家連盟の加盟も拒否と言う事は他種族の保護は少数派の国しか無いという事でしょうね、そしてあの連盟は多種族の差別を奨励している可能性ありと。確かに飲めませんねその話は。

 この国、と言うか私の知ってる範囲では王宮に他種族の人達は多く、想像ですが他種族の貴族らしき人もこの場に結構居ます。


「我等は他国に干渉せず、他国の干渉も受けない。これは初代国王陛下の言葉ですが、恐らく初代国王陛下はこういった未来を予見していたのでしょう」


「そうだな我が先祖は謎が多い人物だが他種族との共生を実現した御方だ。出来ればその考えは貫きたい。だが時代は変わった!我等はいつまで我慢すれば良いのだ。500年だぞ、中央の進軍を食い止め国を守る為にどれだけの兵と我が親族が死んで来た。俺の代になって王族は4人だけだ、このままではこの国の王族は消えるぞ」


 へ?王族が4人ってヤバくないですか。普通公爵家とかに降格して結構居る筈ですけど何故王族がここまで少ないのでしょうか?


「なればこそ王にはここに留まって頂きたい。戦場は兵と騎士に任せれば、少しずつでしょうが王族も増えるでしょう。姫様も生まれたのですし、将来は婿を取り空いている公爵家を名乗らせればよいかと」


 まあ普通はそうでしょうね下手に残ってても継承権争いの元ですし。まあ私は女王になりたいとかは無いので、お兄様の補佐程度で十分です。物理的に距離をおきながら。


「ならん!そんな事をすれば盟約は消え、国が分断するぞ。我等王家が戦場で先陣を務め彼らを導く。これは初代国王と他種族の族長との盟約だ。これがあるから彼らは平和の為に国に力を貸すのだ」


「ですが、それは戦場を常に無傷で駆け回った初代様だからこそ出来た事です。」


「くどい!変えてはならない事もあるのだ。我等は何故存在する?何故他種族に恨まれる普人が多種族の国の王族なのか分かるだろう?我等は償わなければならない。同じ普人として、そして他の普人とは違う事を証明し続ける事こそ王族の務めだ」


 中々深い話をしているようですが、私の将来は政略結婚でしょうかね?まあ私の両親は良い人みたいなので悪い人は選ばないでしょうし、私も王族らしいので覚悟しなければ。


「国境沿いに見張りを増やせ。今後はアリスティアの身を狙って攻め込んでくるぞ。我等はこの500年を怠惰に生きてきた訳じゃない。教会のように精霊使いを傀儡化などさせてはならん!神はこの子を通して我らの意地を見てくださる。アスト連邦が堕ちた今、この国が消えれば他種族と我等誇りある普人の生きる場は無いと思え」


 私は戦争の火種なんですね…ですが微力ながら、私はこの国の為頑張りましょう。話を聞く限り他の国で生きるのは不可能っぽいですし、誰だって誰かの人形には成りたくない。まだ何も知らない私ですが時間は待ってくれないのなら、私は早急に成長しなければならないのでしょう。私がこの国にとって災いとなってしまう前に。

 だから私は持てる全ての知識と力を使い、家族と国を守れる人になりたいと思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ