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41 楽しい日々

 私は泣いていた。怖かった。凄い怖かったんです。結界の外から宝物庫内を血走った眼で見てる人が居るんですよ?しかも外は真っ暗です。

 失神から目が覚めると謎の衣服発火現象が起き、私の下着諸共消失したので宝物庫内の他の服に着替えました。べっ別に何かしたとかじゃないですよ?偶然着ていた衣服が燃えただけです。しかも私に一切被害を出さずに燃えただけです。


「漏らしたからって服毎証拠隠滅しないでください」


「もっ漏らしてないし。偶然‼何かの思惑が働いて服が燃えただけ‼しかも私が漏らす筈は無いし漏らした事も無い‼そしてそんな事した証拠なんて何処にも無い。憶測を語らないで欲しい」


 全く、何で想像を語るのですかね。そう言うのは証拠を出してから語って欲しいですね。


「…それで、何で休んでる筈の姫様が宝物庫内で遊んでるんですか?私言いましたよね?魔導炉は放棄してくださいって?」


 おおう、とてもいい笑顔です。見られて…入口からなら魔導炉は見ていない筈…誤魔化しましょうか。だってあれ作るの凄い面倒なんですよ。魔玉も複数の魔玉を合成して規格通り作るのも面倒ですし、あそこまで作るのだって並大抵の学者には出来ないと自負してます。つまり勿体ない。あれを実用出来れば私の偉大な発明品を動かせるんです‼まだ骨組も出来て無い物ですが、魔導炉さえあれば動かせます…まあ私を動力源にすれば技術的には動かせますし、属性竜クラスの魔玉なら武装は無理でも飛ばすだけなら出来ます。しかし全てを動かすには魔導炉が必要なんです。


「ちょっと魔道具作ってただけ、魔導炉はツクッテナイ」


 完璧です。私が魔道具を作ってるのはアリシアさんも知ってるのでこれで誤魔化せてる筈ですね。


「ではちょっと査察させてください♪危険物は軒並み撤去させていただきます」


「絶対駄目‼」


 そんな事をされれば殆ど撤去されますよ。あそこは危険物の宝庫なんですから。私の作品を撤去するなんて何処かの実家のお母さんみたいなマネは絶対に許しません。と言うか私の宝物庫は誰も入れませんよ。中の魔道具もいくつか魔力が残ってて起動した瞬間暴走しかねない物も多いのです。そんな中に魔道具の素晴らしさを理解出来ない俗物を入れる訳にはいきません。


「入りますよ?ほれ~そら‼さっさと壊れろ‼」


 ガンガンと結界に攻撃してますが、あの結界って兎に角頑丈なんですよね。何処から魔力を供給されてるか知りませんが、私の魔法でも壊せません。最大火力が私より低いアリシアさんでは壊せないでしょう…と言うか、あれって壊せるのでしょうか?


「ふふん‼無駄な事を」


「じゃあ姫様に入れて貰いましょう。ほ~らコチョコチョ。早く入れてくれないと止めませんよ」


 あろう事か私を擽りだすアリシアさん。ちょっと辞めて欲しいですね。余り表情を表に出さない私は擽っても笑い出しませんがピクピクと痙攣します。と言うか余り表情に出さないだけで普通に効いてますよ。


「姫様って面白いですよね。無表情でピクピクされると…扇情的です。このまま性教育でも始めたくなってしまいます」


「く……クート君…助け…」


「がるうううう」


 クート君が唸るとっは‼とした顔で離れるアリシアさん。流石にやり過ぎだって気が付いたようです。しかし同性愛者なんですかね?私も髪が逆立ちましたよ。流石に同性愛はありませんね。いくらアリシアさんが好きでも私の好きはライク、それか家族愛だ。無理無理です‼


「コホン。姫様は風邪を引いてるんですからお休みください」


「眠く無い」


 寝すぎで眠く無いんです。これは朝まで研究フィーバーするしか無いです。風邪?もう大丈夫ですよ。幾つか溜まってる実験とか制作とか今なら出来る‼アリシアさんと和解した私は既に全力全開です。溢れるアイデアや熱いパトスを研究で消費しなければ。

 幸せ全開の私は何でも出来ますよ。今なら魔導炉も作れそうです。この機会に一気に作りましょう。


「だからって…せめてベットで大人しくしててください」


 その日は嫌がる私をベットに入れてアリシアさんがつきっきりで監視されました。ベットに入って大体1時間程で眠ってしまうのは私が子供だからなのでしょう。

 次の日から学校に行きました。流石に元気全開の私をもう一日部屋に閉じ込めるような事はしないようですが、ちゃんと完治したのかと確認はされました。まあ私が居れば医者要らずですからね。呼ぶ必要すらありません。

 学校は何か嫌いです。嫌な視線は日を追う毎に増えてますし、居場所が無いんです。でも勉強はしっかりします。しかし冒険者の活動は暫く出来ないでしょう。私が普通に魔法を使える事をアリシアさんやお兄様も知ってるので図書館に籠って魔法を覚えた方が良いと言われました。

 確かに私の魔法は偏りがあるので仕方ないでしょう。それに魔法の勉強は色々と忘れれるのと元から魔法は好きなので私としても反対する理由はありません。

 元より生活に困ってる訳じゃ無いんです。なので暫くは魔法を覚え、手札を増やす方が良さそうです。


「嫌になる。何で皆私ばっかり見てくるんだか」


「お嬢様の事を認めれないのでしょう。流石にお嬢様の年齢でここまで魔法が使える等聞いた事がありませんから、もう暫くすれば落ち着くでしょう。何も問題ありません。お嬢様は有象無象の悪意等気にする必要も無いのです」


 まあこれは私が成長すれば無くなるでしょう。まだ私が小さい子供だからこんな視線を向けられるんです。私がお母様みたいなナイスバディ―で色気の溢れる美女に成長すれば問題無いんです‼

 まあ私の将来は約束されたような物です。お父様は割とかっこよくて大柄ですし、お母様は美女…つまりその血を受け継いだ私も将来はお母様のような素敵な人に成れる筈…ちっこいのは今だけなんです。


「捕らぬ狸の皮算用とはこの事ですね」


「なんでその言葉がこっちの世界にあるの?」


 勇者か‼異世界にまでしょうもない言葉を伝えたのは‼…落ち着きましょう。将来の勝者である私が狼狽えればそれを事実と認めてるようなものです。ここは毅然とした態度を取って勝ちを確信してると思わせなければ、後々まで弄られます。

 その日も学校が終わり次第図書館に籠りました。司書の人や図書館に居る警備の騎士さん方とは既に顔見知りレベル…と言うか呆れられました。まあ毎日の如く通ってますからね。


「ん~古代の魔法は制御能力を術者に依存する代わりに威力が高い…でも現代の魔法は威力より制御性を追求してる感じだな。これは魔法使いが古代に比べて減ってるせいで魔法使いの育成を助ける為に制御しやすくしたのかな」


 古代の魔道書はどれも制御性に難があるのが多いのですが、それを改善すると今度は詠唱が増える…難しいですね。まあ無詠唱では使えない魔法とかもありますし、こう言う情報は知ってる方が良さそうです。

 日が暮れる前に読書を終了します。この世界は暗くなると一気に治安が悪化し、私が居る区画も余り安心出来ないそうです。犯罪者が暗がりに居るのは何処の世界も一緒なんですね。

 今日はアリシアさんと手を繋いで帰宅です。アリシアさんも嬉しそうで、お嬢様がはぐれないようにと自分に良い訳しながら手を繋いでくれました。

 帰宅時に寮の門でお兄様が警備に捕まってましたが私もアリシアさんも無視して部屋に戻ります。何で捕まってるのか理解出来ませんよ。お兄様は私の兄妹なので、普通に面会申込みすれば良いだけなの無理に入ろうとするから捕まるんです。まあその事を知らない可能性は高いですが、毎日来られても面倒なので教えませんけど。


「むー、クート君、これ付けて」


「主よ、それは安全なのか?明らかに危険な匂いがするが」


 クート君と一緒に作った魔道具の起動実験をしたり、アリシアさんに見つかって怒られたり。いつの間にかクート君は私達の輪の中に入ってました。偶に背中に乗せてくれますし、アリシアさんと遊んだりしてるようです。まあアリシアさんはガチでクート君の相手をしてますが、クート君は遊び感覚だそうです。

 最近はクート君もベットに入ってくるので一緒に寝ます。クート君の抜け毛とかは魔法のブラシを使いだしてからはさほど問題になる程じゃありませんし、お風呂も一緒に入ってます。しかもお風呂はアリシアさんの目を盗んで改造に成功しました。

 シャワーにジャグジーまで付いた魔道具型の浴室は当初こそアリシアさんの反対もありましたが良い出来です。

 いちお大浴場もあるそうですが私は入った事はありません。だって知らない人ばっかりですし。


「姫様、手紙が届きました」


 今日もアーランドから手紙が届きました。やはり空路での手紙は早いですね。私もお父様やお母様とよく手紙で文通してます。内容は主に学校の事や、覚えた魔法に魔道具のサンプルなど色々と話します。

 当然私が自分で返事を書いて送るのですが、手紙の割合はお父様が5でお母様が3でその他が2くらいの割合です。

 お父様の場合、私が止めなければ複数のソニックバードを権力を行使して集めると毎日手紙を送って来た事がありましたね。しつこいと返事を出したら週3位に落ち着きましたが、多いのかな?まあ普通ですよね。

 手紙を出すと食事を取るために食堂に行って、学校の数少ない友人と一緒にご飯を食べます。しかし彼女達も貴族の令嬢なので食事中に会話する事は無いんですよね。暫くすればもう少し仲良くなれるかな?

 

「眠く無い」


「もう寝てください」


 最近夜になると直ぐに眠くなる事が減ってきました。私も成長してるのでしょう。もうベットに入り次第直ぐに眠る子供じゃないんです。

 しかし強情なアリシアさんは私が寝るまでベットの脇で本を読んだり唄を歌ったりと私を眠りに誘うのでした。

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