02 変態襲来と精霊魔法
なにやら両親が話し合いをしてますね。偶に阿保な事を言ってお父様が鳩尾強打を受けてますが、貴方王様ですよね?多分ですけど、威厳が足りないのでは?と思います。
「しかしだなせめて暗部の警護は要るだろう。絶対教会の連中が奪いに来るぞ」
「それは仕方ありませんが…だからと言って近づく男の排除は早すぎます‼」
何やら将来?を心配されてるのでしょうか?娘に彼氏が出来るのは父親にとって悲しい事なんでしょうが、恐らく私は生後1日程度ですよ。早すぎません?
「それにギルの阿呆を抑えるためにも…」
何やらお父様が疲れてますねさっきまで元気ハツラツだったのに。
「どうしてあの子はああなってしまったのでしょうね……」
2人して溜息をついてるといきなり誰かが入ってきた!!
「父上、母上!私はいつまで待たされるのですか?居ても立っても居られずこうして来てしまいましたよ」
おお幼いながらイケメン発見!心が躍りませんね。何故でしょうか?あの子を見てると攻撃したくなります。
「ギル、ノックを忘れてますよ」
確かにノック忘れてますけど、ドアなら破片と化してますよ。お母様、横で口笛を吹いてるマッチョが犯人です。反省の色が無いようなのでもう一撃行きましょう!
「すみません母上ドアが無かったもので……おお‼この子が俺の妹なんですね!!天使過ぎる。どうでしょうか将来俺の花よふぐ……」
嗚呼新しきお母様、私ことアリスティアは生後1日目で求婚されました。
途中、般若の形相になったお父様の一撃で気絶して引きずって行かれましたね。どうやら私は危険予知と言うか危ない人を見分ける事も出来るようです。ついでにあの男の子は埋めといてください!絶対に変態です!ロリコンですよ女の敵ですよ、絶対埋めるべきです。無駄にイケメン顔なのが被害者を増やしそうです。
「ごめんなさいねアリスちゃんあの子が…貴女のお兄ちゃんのギルバートよ。余り嫌そうな顔をしないでね。本当に分かってそうね貴女…」
すみません顔に出てしまったようです。はいあの兄嫌いです。と言うか幼女以下に求婚する変態はノーサンキューです。
しかも、お母様は私の兄と紹介するのを躊躇いましたね。恐らく凄い問題を抱えてるのでしょうねあの子!是非更迭しましょう。収容所で洗脳じみた人格矯正をかけるべきです。私は断固とした態度で主張します。早すぎる貞操の危機の為に。
「何であんな子に成っちゃったかな~他は完璧なだけに残念だわ…」
他は完璧なんだ…って更迭し難いですね。何で初対面で求婚したのか謎ですが、大きくなったら近づかないようにしましょうか。
「ふう、やっと大人しくなった」
お父様お疲れさまです。何やらボロボロですね。激闘を繰り広げたのでしょうか?無駄に膨らんでパンパンの筋肉に包まれた上半身を女性の前に見せないでください…お母様は別に気にしてないようでした。
「お疲れ様です」
しかも、お母様は苦笑いしてますし。
「そろそろ時間だ。着替えたらバルコニーに出るからアリスティアが寒くないように頼むぞ」
ん?バルコニーと言えばお披露目とかですかね。ライオンキング的な感じでしょうか。あれ絶対怖いですよ漏らしますよ。バルコニーが2階…でも怖そうですね。
はい高いです。めっちゃ高いです。自慢の無表情が崩れそうです。
しかし、この国天国ですね。モフモフの獣人さんとか居ますし。分かってた事ですが、人間だけの世界じゃ無いんでしょうね。この国は他の種族に偏見とか無いんでしょうね。
だって獣人の人とか楽しそうにしてますし。この世界差別とかで困ってるとか言われてたんですけどね。
「皆の者‼我が娘アリスティアだ」
おぉぉぉ
びっくりしましたが、私はそれ以上の光景を見ました。何とこの世界に花火があるではないですか。知識しかないので初めて?見た事になりますが綺麗ですね。砲台からじゃなく人の手から撃ってるのも気になります。魔法?でしょうかねとお父様を見てみる。
「はっはっは俺も出来るぞ…オラオラー」
おぉ連射してる。凄い私もやってみたいな~憧れちゃうな~
「目をキラキラさせて可愛いな。ほら形も変えられるぞ」
凄い。流石お父様。私の中で好感度がうなぎのぼりですね。私もてい!とてを振りますが当然何も出ません。ぬう…卑怯な、私もやりたい!やりた~い。
「流石にアリスティアには早いな」
何かムカついたのでてい!っと手を振りまくってると手が燃えました!
「!!!」
「おい!直ぐに消すから落ち着け」
ブンブンと手を振りますが消えませんね。と言うか全く熱くないです。これが魔法なのでしょうか?最初こそ恐怖しましたがこれは【怖くない】んですよね。
そしていつの間にか私の横に居た白い精霊が透明化して、赤い子が実体化してました。私の予想が正しければこの子が出してるように思えます。私がコントロール出来るようですが別段何か、例えばお父様のように詠唱?とか出来ませんし。
「消えないだと!精霊様の仕業か…熱くなさそうだな」
お父様が私の手に水をかけたようですが手にまとわりついてる火が消える事は無いようです。
そして私は唐突ですがこの力の使い方を知りました。何ですかねいきなり頭の中に情報を叩きこまれたようで頭痛がします。
―情報の接続完了。やあ元気かな?見つけるのに苦労したよ。何処の誰として生まれるか何て僕は知らなかったからね
最初にあった人?っぽい人が目の前に居ます。目の前…つまり空中ですね、私は初めてこの人は人間じゃないんだと理解しました。
―酷い子だね…一応君にも出来る事だよ。今は魔力が少ないからすぐに落ちるだろうけどね。所でこの世界はどうだい?ああ口で話す必要は無いよ心を読むから
「(どうだいって私生まれて1日目、もしくは数日しかたってませんよ)」
―あれ?5年くらいたってないの?
どうやらこの人?は時間の感覚が狂っているようです。見た目赤ちゃんの5歳児が居たら何かの病気でしょう。しかしお父様達の前なので溜息をつくとかしたら不自然だと思うので私は我慢します。
―ん~そこは気にする必要は無いと思うよ。僕達以外に動いてないでしょう?今この世界で動けるのは僕達だけだからね。時を止めてると言えば分かるかな?
はい?時を止めてる?私は周りを確認しましたが、誰も動いてない。お父様も私を抱えたまま止まってますね。顔に落書きしたくなるので相手の方を向きます。
―理解してくれて何よりだよ。ここでパニックを起こされても面倒だからね。さて本題だ君にお願いがあるんだ。
「(お願いって他の種族の事?)」
―そうだね。それをしてくれると、とても嬉しいけど僕は君に対して何かを強要するつもりは無いよ。でもね僕にも誤算があったんだ。だから君に会いに来た。
「(誤算ってあなたか『待った』」
―僕を神様と呼んだら本当に神になるから止めてね…そうだな一応僕にも名前はあるけど人間の言葉に出来ないから…テトとでも呼んで。決して神様や悪魔とか思わないでよ。こっちもその危険を冒して君に会いに来てるんだから
そう言えばこの…テトさんって概念的存在らしいね。他の人たちにそう思われるとソレに変化するんだっけ。
―お願いね。じゃあ言うよ君に危険が迫ってるのとお願いの追加。報酬はチートで
「(チートってあのイカサマのような力ですか?)」
―そこまではあげれないけど君の目の刻印を刻み込んだのは僕だよ。君の人生の助けになればと思ってやったんだけど、どうやらこの世界は僕が目を離した隙に500年くらい時間が経ってたみたいでね。色々変わったみたいだ。例えば教会…これは僕が昔作らせたんだけど昔と違って手遅れレベルで腐ってる。本来この世界の人同士で助け合い僕の要らない世界を作る為の礎として作ったんだけどね…まあ宗教は何処の世界でも失敗したから仕方ないけど、僕の愛すべき子供達を傷つけるのはいただけない。
子供居たんだ!ビックリだよ。見た目子供だよ顔はぼやけて目の色はおろか髪の色も分からないけど
―子供と言う点では君もそうなんだけどね。僕は世界の親だよ。その世界に生まれる子供は全て僕の子さ。それでね君のような精霊と繋がれる人間を教会は集めてる。余り良いとは呼べない手段でね。だから僕は君に教えておくよ。気を付けてと。そして力…つまりその目と精霊術の使い方を君に流し込んだ。基礎的な物だけだから後は君次第だね。大丈夫、どうせ瞳の刻印自体がこの世界じゃチートの類だろうから。君には期待してるよ。君の生き方がこの世界に何をもたらすのかわからないけど、普通には生きれない。場合によっては、君に恨まれるかもしれない。でも僕は世界を廻すよ。その為に君をここに呼んだのだからね
何だかスケールが大きいですが、少しわかりました。
1,教会が精霊と繋がってる人を集めてる。これは原因を教えてくれない
2,1に対抗して私の力について基礎的な知識を貰った
3,私がテトを恨む結末の可能性もある。
3は結構な確率だろう。でなければ私の前に出てこないだろう。テトはそこまで世界に干渉しないはず。なら私のやる事は決まっていく。私の平穏の為大人しくして貰おう。
―じゃあもう会う事も無いけど君の事は観させてもらうよ…ああそんな目をしないでねプライベートは観ないから
変態2号と思ったらそこら辺の気遣いは出来るみたい良かった。兄様的な人じゃなくて。
「(所であの兄様の性格何とかできませんかね?)」
―それじゃ!僕は帰るねバイバイ
逃げた~~!どうやらテトは頼りにならないタイプのようだ。
テトが消えると周りの時間が動き出した。少しと言うかかなり不思議な出来事だったが人は慣れる生き物ですから私は驚きません。だって転生とか魔法とか変態とかで多分ですが、私の心は疲れているのでしょう。さて自分の能力を把握した今、お父様に出来るあの花火を私は使えます。実際には違いますが【同じ】効果を出せるでしょう。
精神を集中し精霊と同調する。それが精霊魔法の行使方法。呪文や魔法陣が無くても精霊魔法は行使出来るが安定しないみたい。呪文や魔法陣は魔法や精霊魔法を安定、かつ増幅する物らしいが私は喋れないので集中力でカバーしましょう。
「うぅぅ~」
結構難しいですが、初めての魔法です!私は成功させましょうとも。イメージは特大の花火です。お父様の出すのより遥かに大きい花火をイメージしながら手を空へ向ける。
「‼アリスティア」
私が何をしてるのかお父様が気が付いたのか、慌ててるようですが邪魔はさせません。私は何故かこれを使ってみたいのです。
そして維持するのが限界に来たところで射出……失敗ですね。確かに大きくて綺麗でしょうが、自分で射出したので私の真上です。つまりよく見えませんでした。そして急に襲い掛かってくる眠気に私は逆らえませんでした。