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転生王女の国家大改造 ~無敵な国を作りましょう~  作者: 窮鼠
ヤマタノオロチを出荷せよ
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288 和の国へ

遅れ気味になり申し訳ない。

 と言う訳でヤマタノオロチを出荷する事になった。

 しかしさっさと行って出荷すると言う簡単な作業が出来る訳じゃない。

 和の国側から私が来るなら封印強化が可能か調べて欲しいと言う条件が出た。向こうからしたら寝た子を起こすような危険は冒したくないらしい。

 その言葉に何故かアーランド側が共感を覚え、賛同してしまった。何故私を見ながら全員が頷いたんだろうね不思議だね。


「取り敢えずわんこーずを帝都に派遣して転移魔法の魔法陣を設置しよう」


「君って本当に帝国嫌いだよね。本気で駄目だったら帝国に押し付けるつもりなのか……」


 お兄様がため息を吐く。


「今こそ大陸最大の国家(笑)の実力を見せて貰おう」


 ほら、私との戦争の時は全力じゃなかったんだよきっと。多分明日から本気出す的な感じで慢心してたんじゃないかと思う程に脆弱だった。

 たかが、何処に居るか分からないとか、移動速度がおかしいとか、接敵したり不利になると部隊を自爆特攻させるとか、帝国中を空爆されていたとか、その程度の私に負けたのだ。きっと隠された真の力的な物を持っている筈だ。

 ああ、そう言えば帝国が魔導炉の無い魔導戦艦(笑)を持ってたな。アレはあえて残しておいたから復活(笑)させると良いと思うよ。多分私はお腹を抱えて笑うから。

 ここらで帝国の真の実力を見るのも王国側としては利益が有るんだよ。舐めて良い相手じゃない。しっかりと実力を調べるべきだ。

 と言う訳でわんこ―ずと分身数体を帝国に派遣した。

 派遣された分身は秘密裏に帝国内に転移の魔法陣を設置。これで私でも手に負えない怪物だった時の対処も余裕だ。やったね帝国! 真の実力を示せるぞ!

 そして私とお兄様と騎士500人が和の国へ移動した。

 移動自体は楽だよ。和の国の大使館に転移装置置いてるし。

 まあ、安全の為に一回の転移で5人程度しか送れないし、魔力の関係で和の国側は必要時しか転移装置は動いていない。

 数の制限はそれを利用しての侵略を行わない。行えないと言う保証だ。そして、この転移装置は送る側と受け入れる側の両方が起動していないと転移出来ない。更に言えば結構な魔力を必要とする。

 普段はそれなりの容量の魔晶石をアーランド側の大使館で魔力を補充して転移する時に持っていき、それを向こう側の装置の動力にしている。

 まあ、コッチは魔導炉が有る関係で大使館も魔力が電気の様に通っている為、コストが安いんだ。

 取り敢えず騎士達が安全の為に先行する。当然最初は和の国の大使が一番先だ。行き成り他国の軍が行く訳にはいかないからね。

 移動だけで3時間も待たされたが仕方ない。私的には爆撃機で帝国横断して行っても良いんだけどね。爆撃機に爆弾も積んで、ついでに帝国を空爆して行こうと言ったら全員に却下された。解せぬ。


「ようこそ、おいでくださいました。私は和の国の外務大臣を務めるヨシオキ・トコヨと申します。皆さま方を歓迎致します」


 私が和の国に到着すると。見慣れぬおじさんが待っていた。外務大臣らしい。そう言えば見た事ある気がする。

 私が覚えていないのを察したお兄様が前に出る。


「いや、同盟国の窮地だ。我が国も民を引き渡す事は出来ないが、出来る限りの事は行おう」


 しっかりとアリシアさんと家族の引き渡しを断りつつも笑顔で握手するお兄様。

 その言葉を聞いたヨシオキ大臣はちょっとだけ眉が動いたが、不快に思ってる感じじゃないね。やっぱり駄目ですかと言う感じだ。まだ諦めてなかったのか。早く諦めないと、うっかり首都を廃墟にしちゃうぞ。

 本来ならば和の国の首都に行く必要はない。別に首都にヤマタノオロチが封印されている訳じゃないのだ。と言うか自国を滅ぼしかねない爆弾を封印している場所に首都を建てるのはアホの所業だ。封印場所は結構離れている島だ。

 ここを訪れた理由は一つ。和の国の封印庁が討伐に反対している事だ。

 ここは封印を行っていた一族とは別で、封印の強化や復活した時の対処を研究している和の国の魔法使い達――この国では一般的な魔法は普及しておらず、札術と言う魔法陣の書かれた札を用いた触媒魔法が主流だ――なのだが、ヤマタノオロチの戦力を鑑みると私じゃ勝てないって思っているっぽい。

 最もお兄様から聞いた話だと、私を侮っているとかそういう訳じゃない。単純にヤマタノオロチを前に心が折れているのだとか。

 彼等は一応頑張っている。封印の一族が滅びてからヤマタノオロチを封印しているのは彼等だ。しかし、限界が近い。彼等の主張はアリシアさんの家族を生贄に使って封印を強化するのが一番安全だと思っているのだ。これまでもそれで封印出来ていた。だから今後もそれで良いと思ったのだろう。

 私からすれば馬鹿じゃないのかと思う。封印には封印を行った一族の命が必要だ。しかし、既にその血はアリシアさんとそのお父さんしか残っていないのだ。アリシアさんを生贄に使ってどうするつもりだ? 精々100年程度の延命らしいじゃん。

 と言う訳で連中を説得する必要がある。現在封印の管理を行っている彼等が一番封印に詳しいのだ。


「では予定通り封印庁へご案内します」


「頼む」


 僅かな会話の後に私達は和の国の首都で有る|都≪ミヤコ≫の端っこにある一見神社の様な場所に移動する。

 いや、移動中は見世物だったよ。見た目は大昔の京都かな。碁盤のマス目の様に整備された都だ。

 基本的に家は木製で、レンガとか石材は使っていない。地震で壊れやすいので使わないそうだ。木材の方が被害がマシなのだとか。

 そして都は私達を見物する群衆で溢れていた。

 この国日本っぽいけど、日本と東南アジアを混ぜた様な国だね。恰好もバラバラだ。

 そんな事を考えながら封印庁へ到着する。群衆はここまで入ってこれないので先ほどの喧騒は消え、静かな空気が流れている。


「ここが我が国の魔法の中心となる封印庁です。長官を呼んできますので暫くお待ちください」


 長官が待ってなかったのは今も封印の維持に努めているからだ。と言うか現在封印庁に居る札術士の全員が封印の維持に力を注いでいる。

 国力の無駄使いだよね。さっさと出荷して楽になれば良いのに。


「普通は対処出来ないから封印する物だ。と言うか家畜扱いなのか? 」


「ヤマタノオロチが私の知っている奴なら勝てる」


 精霊王の知識に残ってる奴だったら勝てるよ。負ける要素が無い。拓斗居るしね。

 まあ、アレが残っているかは不明だ。私はとっくの昔に破棄されていると思ってた。

 古代魔法王朝が精霊王を滅ぼす為に作ったが、肝心の制御装置が失敗作で制御不能の上に、精霊王の劣化版だった。実際精霊王と戦わせればワンパンで沈められたであろう。

 まあ、私も言ってみれば精霊王の劣化版だ。滅ぼすのは難しいかもしれない。なので幾つか方法を考えているのだ。

 例えば拓斗の持っている精神剣。現在拓斗は半分しか使いこなせていない。

 それを覚醒させて次元を切り裂き、テトの元に贈るとか。喜ぶだろう。ペットにするかもしれないね。

 まあ、不死の怪物の倒し方は限られている。決して解けない封印を施すか、塵も残さずに滅するとか。残念な事に私の知ってる怪物は消滅させるのは難しいかも知れない。正直精霊王も存在を知っていただけだ。詳細は興味も無かったっぽい。

 問題は私が封印術が得意じゃない事だ。

 いや、研究してた事は有るんだよ。私が大人しい王女を演じつつもマダムを封印する事を目論んだ事が有るのだ。

 結果、計算上ならマダムを1000年は封印出来るであろう魔法を作り上げた。

 しかし、良しマダムを封印して私は自由だ! とは成らなかった。

 マダムの不意を突いて何度か使おうとしたんだ。でもその度に私の本能が囁くのだ「それで本当にマダムを封印できるのか? 」とね。

 いや、出来る筈だ。計算に間違いはない。何度も再計算したし。

 でも私の脳裏には力技で封印を破壊し、復活したマダムに私のお尻は甚大な被害を受け、屈辱を味わう未来しか見えなかった。

 仕方ないので立派な王女を演じマダムに教育は終わったと誤認させ、地方の問題児な令嬢を生贄にしてマダムを地方に飛ばすと言う消極的な方法を取らざるおえなかった。

 誤算だったのは問題児があっさりと矯正されてマダムが戻ってきた事だよ。もっと頑張れよ! 20年くらいマダムに抗ってよ! 何で直ぐに諦めるんだ!

 と言う訳でそれ以降封印術の改良も行っていない。まあ、ヤマタノオロチでも100年は封印出来ると思うけどね。

 でも私は封印するつもりは無い。だって100年後もアリシアさん生きてるだろうからね。両親共に長命種で、両親の種族特性を共に受け継いで居る可能性の高いアリシアさんも同じく長命種の筈だ。

 100年後に私が生きているかは不明なのでここで討伐しないと将来アリシアさんが危険な目に合う可能性が有るのだ。奴は出荷して後顧の憂いを絶つ!


「そうか。倒れるような無茶だけはしないでくれよ。君は何時も無理をするからね」


「私は最強の魔法使いだし余裕だよ。賢者だもん」


「……また調子に乗ってる……」


 まあ賢者の私ならマダムだってワンパンで沈められるから余裕だね。唯、ちょっと手の長さが足りなくて届かないだけだし。当たれば勝てる。後数年して体が成長すればもうマダムだって脅威じゃなくなるんだ。あー成長が待ち遠しいね。

 取り敢えずまずは封印庁の札術士達の説得だな。その次に封印状況の確認。奇跡的に封印を強化できる可能性も微粒子レベルで存在するかもしれないからね。

 まあ、生贄使うシステムの時点で期待はしていない。そして駄目だった時の討伐だ。

 空軍は……場所的に難しいな。取り敢えず武装飛空船を一隻程こちらに向かわしてるので1週間程度で来るだろう。無論和の国に許可は取って有る。

 まずはこちらの戦力の確認だ。

 まずは新型のマナ・ロイドだが、生産ラインを作っている最中で、現在300程度しかない。

 ソルジャー・ゴーレムと重装突撃仕様のゴーレムが合計で9万程度。

 何とかなるか? いや、そう言えばペーパーレギオンは残ってるな。残数は……おお、30万程居るじゃん。オストランド兵にも苦戦する雑魚だけど使い捨ての即席兵士としては有用だ。と言うか雑魚だけどコストが一番安い。

 素材は紙とインクだ。どっちも高めの素材だが、ソルジャー・ゴーレムは全身金属だしね。

 そしてインクジェットプリンターを作ったお陰で材料さえ有れば幾らでも容易出来るのだ。

 これは勝ったな。お風呂入りたい。

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